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スマホを何時間みていますか?

 この記事はとても面白く、勉強になりました。
 ジョセフ・ヒース (Joseph Heath、1967- トロント大学の哲学教授)さんは、スマートフォンの画面からとめどなく流れてくる刺激にくぎづけにされてしまっている現代人は理性の力が損なわれてしまう怖れがあるとして警鐘を鳴らしています。

 電車に乗るとほとんどの人がスマホを見ています。また、飲食店で恋人同士らしいカップルも会話することもなく、それぞれがスマホに見入っています。
 このような光景を見るたびに違和感というか恐怖を感じてしまいます。そういう私もスマホを見ている時間が増えていると思いますし、今では読書もほとんどKindleです。

 ジョセフ・ヒースさんは情報技術により今の社会は正気を失っていると指摘しています。

「・・・貴重な資源である集中力が奪われてしまった。刺激に身を委ねるばかりで熟考の習慣を失った人々は非合理的な判断に傾きやすい。思考停止、他者への攻撃的な態度、そして摩擦と分断。情報技術がもたらしたそうした状況を見るにつけ、今の社会は正気を失っていると思う

日経新聞 2024.08 の弱みつけこむテック企業 哲学者が憂える「副作用」強調は祐川

 確かに、インターネットは人々を繋ぎ、効率的な社会を築くのに貢献してきました。でも、この情報通信技術の副作用は無視できないレベルに達しているのかもしれません。

 自分の人生のどのくらいの期間・時間をこのネット世界で過ごすことになるのでしょうか。

 以下の記事によると、1週間あたりのスマホの平均利用時間は約20時間(2023年9月7日:MM総研)で、約5年間で6割も増加したと言います。

 1日24時間を睡眠8時間、労働8時間、その他の時間8時間とすると、1週間で20時間というのは睡眠及び労働時間以外のその他の時間の約35%はスマホを見ているということになります。
 この35%を多いと診るか、意外と少ないと診るかは人によって違うと思いますが、私は多いように思います。

 ジョセフ・ヒースさんは、情報通信技術の過度な使用、不適切な使用が理性を損なうのではないかと危惧しています。

・・・テクノロジーの不適切な開発と使用によって理性の力が損なわれてしまうことを、私は深く憂慮している。

日経新聞 2024.08 の弱みつけこむテック企業 哲学者が憂える「副作用」強調は祐川

 しかし、今さら、X(旧Twitter)、Threads、Instagram、Facebook等のSNSやYouTubeやTikTokなどの動画配信、Line、Messenger、WeChat等の対話アプリやネット検索、ChatGPT、Minica、Copilot、Gemini等の生成AI サービスを利用しないということは絶対にありえないでしょう。無理です。

 ジョセフ・ヒースさんは理性を助けるためにテクノロジーを活用すべきだとしています。例えばスマートライト(定時に照明を暗くする)を使って睡眠を促し、活動量や睡眠の質を測定するデバイスで体調を管理するとか・・・

 テクノロジーは自己管理を向上させる力があり、その目的で使用すべきだと私は考えます。人が理性的な存在として機能するためには、意志の力にのみ依存するのではなく、望ましい行動を促進する環境を整えることが重要です。この基本的な事実を把握すれば、どのテクノロジーを選んで利用するかが自ずと明らかになります。

日経新聞 2024.08 の弱みつけこむテック企業 哲学者が憂える「副作用」強調は祐川

 今一度、スマホ等を使った情報通信技術との向き合い方を熟考する必要がありそうです。


 以下のnoteもご笑覧願います。


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