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気象衛星画像に天気図を重ねてみる

【2020/5/6追記】
重ね合わせた画像の緯線、経線が一致していなかったため、全体的に見直して修正しました。

はじめに

今回のネタは、10年以上前に他のブログサイト(現在は閉鎖)で公開していたもので、それを再編集してみる。

自作の自動天気図作成ソフトでは、今でも現役でせっせと毎日天気図を作成してくれてはいるが、よく考えてみるとやり方はかなり古い。その点はご了承願いたい。

環境

・Raspberry pi3 Model B+(Raspbian)
Imagemagick 6.9.10-23

自宅では、Raspberry Piで実行しているが、Ubuntuなどであれば、下記でインストール可能だろう。

$ sudo apt install imagemagick

ImagemagickはWindowsやMac版も提供されているので、それらの環境でも実行可能だ。

素材の準備

今回は気象衛星ひまわりの赤外線画像に地上天気図を重ねてみる。

気象庁の気象衛星画像のページから、「赤外」「拡大」を選択して、画像をダウンロードする。下記は2020/5/6 AM9:00の赤外線画像。

画像5

地上天気図はHBC北海道放送の専門天気図からダウンロードさせてもらう。「アジア太平洋地上天気図(ASAS)」のPDFファイルをダウンロードして使用させていただく。下記はダウンロードした2020/5/6 AM9:00(00UTC)の地上天気図の。

画像5

重ね合わせる

まずは、天気図のファイルフォーマットを、PDFからPNGに変換する。

$ convert -density 600 ASAS.pdf  ASAS.png

変換したPNGファイルを衛星画像のサイズに合わせてトリミングする。さらに、衛星画像のサイズにリサイズ、白黒変換、透過などを行う。

$ convert ASAS.png -crop 2170x1725+1460+1470 ASAS-01.png
$ convert ASAS-01.png -monochrome -transparent white -resize 1024x780! -fill blue -opaque black -negate ASAS-02.png

下記が出来上がった画像ファイル。

画像5

白黒を変換したので、緯線、経線は白になる(実際には黄色っぽく変換)。背景は透過になっている。

最後にファイルを統合する。

$ composite ASAS-02.png 202005022100-00_tmp.png output.png

できあがり!!
雲の位置と低気圧、前線の位置が一目瞭然にわかる。

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他にもいろいろと応用が可能だ。上空の大気の湿り具合を表している水蒸気画像と、500hPaの高層天気図を重ね合わせると、下記のような画像になる。湿域と上空の低気圧、上昇流、下降流との位置関係もわかりやすい。

画像5

さいごに

自宅の気象システムでは、wgetで衛星画像、天気図をダウンロードして、Imagemagickで変換して、をcronで早朝に自動で行っている。

今なら、Python 、OpenCVなどを使えば、もう少しスマートなことができるのかもしれない。

【2020/5/6追記】
下記に、Pythonのプログラムを書いてみた。こちらも参考にして頂きたい。

P.S. 予報士としての独り言

最近はじまったことでなく、かなり久しいことではあるが、テレビのお天気コーナーにおいて、ひまわりの衛星画像が軽視されているように思う。衛星画像が紹介されないテレビ局も多いだろう。気象庁のHPも衛星画像へのアクセスが悪くなったので、気象庁でも相対的に優先度が下がったのかもしれない。

以前、気象庁のOBが設立した?気象会社に勤めるある予報士さんに聞いたことがある。天気図を解析する際に、実況を客観的に把握するために最初にみるものが衛星画像だそうだ。

なるほど、、とそれを聞いたときに思った。

最近の天気予報は情報が多すぎて、でもテレビ局のお天気コーナーは2,3分で伝える時間が足りないのかもしれない。必要ならレーダー画像などで代替することが多いのではないか。

NHKの天気予報で、衛星画像、天気図(実況)解説、予想天気図、各地の天気、週間天気、と伝えているお天気コーナーがとても興味深く、物心ついた頃には楽しみに見ていた。特に実況解説、予想の解説が大好きで、その知識は気象予報士試験で大いに役に立った。この解説の入口になるのが衛星画像だったのに残念に思う。

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