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伏見稲荷様の夜間参拝

少し前の話ですが、今年の2/9、初午の日。
伊賀上野でさる用事があり、済ませたその足で、京都へ参りました。
日中は雪がちらつき、寒いけれど美しい日でした。

昼は他用もあり、おそらく初午のよき日、かなりの人出があったろうと思い、
夜行バスを待つ前の、夜間拝観を、初めてさせていただきました。
もしかしたら、初午は夜も祭事が続いているのではと思ったので...東京の王子稲荷様は、夜も賑わっていた思い出があるので。

けれど、すでに静まり、森閑としておりました。
昼の賑わいの名残りが伺えるばかり。

そろそろコロナ禍が現実に懸念され始めた頃、外国の観光客はほぼ来なくなっていて、常より静かだろうと思いつつ、
せめて奥宮様までご挨拶にと、千本鳥居をくぐりました。

おそらく、山中のお滝場や、各ゆかりのお社では、熱心な講の人たちや、いわゆるオダイ様ゆかりの方々のご修行がなされているのだろうと想像しつつ、
ひたすらな聖地の静寂の闇をくぐります。

参拝者ではなく、観光客でごった返している、常の様子とは、確かに異なりましたけれど...

ちがう賑わいが、時折、集団で訪れる様相に驚きました。
“肝試し集団”が、場をケガしていたのです。

だいたい4~5人のグループが、けしからぬことを口にしながら、静寂を乱し、
カメラやスマホをかざしながら、あやしげなものが出ないかと期待し、何もない、つまらない、と、
ケタケタ笑いながら、
お山の奥へ消えていきます。

ひと組ふた組でなく、ひと集団が行って静かになったと思えば、次の遠慮のない足音と下卑た笑いが近づいてくる。

ここは、そうした悪ふざけが、シャレにならない場所なのになぁ...

私は常のように、ご神前にてご奉納に、奥宮境内の少しはずれたところで、お山に向かい、琴を弾いて、ご挨拶させていただいたのですが、
その琴の響きと、ひっそり弾いている私の姿を「怪奇現象!!」とざわつく集団もいました。

氣を散らされそうになります。

私は肝試しは嫌いだし、そもそもここは、心霊スポットではなく、神霊やすまる聖地です。
ことさらの信仰は持たなくても、スピリチュアルでなくても、ここが長い時代、どれだけの尊崇を受け、守られてきたところかはわかる。

昼の賑わいはよいとして、

しっとりと静かに闇に沈む地、夜の境地を、わざわざ騒がしく踏み荒らすのは、いかがなものかと。
特に今日は、特別な日だったのに。

あの日がたまたまだったのか、毎夜あんなふうなのかはわかりませんが、

コロナで人少なくなった昨今、物忌の静けさを、こんなふうにざわつかせることが、
今はないものと思いたいです。

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