フランス料理デビュー未遂事件
【シャトー文雅】格式高いフランス料理店
「フランス料理が食べてみたい。」
小学3年の私は、母に告げた。
テレビの料理番組で見たフランス料理が美味しそうに見えてしょうがなかったのだろう。
その頃、家の近所にこじんまりとしたフランス料理店があったので、母が連れて行ってくれたことを覚えている。
なぜならば、あまりにも唐突だったから。
きらびやかなフランス料理を食べに行くには、かわいいドレスでおめかしして行くものだろうと、幼いなりに想像していたのだが。
いきなり行くと言われたその日の服装は、デニムのハーフパンツ。
あれ、なんか想像していたのとは違うぞ。いいのか?これで。
予約もせずに突撃したお店には、イメージ通りの長い帽子をかぶったコックさんがいらっしゃった。
「すみません、ランチはやっていませんので・・・」
残念。でもちょっとホッとした。
気軽に行けるところではないのだ、きっと。
丁寧に対応してくださったコックさんの紳士な感じだけでも、十分にフランス感を味わった、フランス料理デビュー未遂事件。
なぜか今でも、格式高いレストランに行くと、あの時のドギマギした気持ちを思い出してしまいます。
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