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お墓参りが変わる瞬間

妙福寺「寺の市」

http://saga.mypl.net/mp/odekake_saga/?sid=28577

 以前住んでいた場所の目の前にお寺があって、我が家はそのお寺の檀家だった。

だから、小学生の頃までは比較的多く、お寺の行事には参加していたほうなのかもしれない。

顔をだそうがださまいが、信仰心のうすい私はお寺に興味がなかったし、お墓参りも形式上のものを済ますという程度だった。


肉親を亡くすまでは。


 お墓の中に、自分を育ててくれた人がいるようになった瞬間、お墓参りがとても意味のあるものになっていく。

「このお供え物、美味しく食べてくれているかな。」

「私は変わらず元気です。そちらはいかがお過ごしですか?」

「まだ嫁に行っておらず、すみません。」

物を言わない相手だと分かっていても、ついつい心の中で話しかけてしまう。

お墓に手を合わせるという行為自体は以前とまったく変わらないのに、行為を行う自分の内面は、まるで別人だ。


 直近の遺族を思い出し、懐かしみ、あたかもすぐそばにいるような気持ちで語りかける場所。

人類が滅亡しない限り、ずーっと継承されていくものなのであろう。


誰にとっても、他人事ではなくなるのだから。





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