戦う看護師

　covid-19が蔓延する中、昨今の医療従事者の職業的価値は上がりつつある。
　私自身看護師として働く中で、家族や友人から、「看護師さんはコロナで大変さだね、大丈夫？」
など、心配されたり、時に感謝されたりする。
ついこの間も、#看護師達の限界線　などという医療ドキュメンタリーが放送されていた。

　誤解を恐れずに言うと、私は自分の命を危険に晒してまで看護師を続けるつもりはさらさらない。
危ない、しんどい、と思えば辞めるし、自分の命を犠牲にしてまでする仕事など、本来はないと思っている。これはどんな仕事においてもだ。
なので世の中の風潮が、医療従事者にエールを、などと持て囃されると、正直言って虫唾が走る。
　世の皆んなは医療者はコロナ患者のために頑張っている、などと思っているのかなんなのか知らないが、コロナ患者のために命を投げ出すつもりはないし、辞めたきゃ辞める。
幸い、この仕事はいくらでも潰しが効く上に、実際本当にコロナと戦ってる医療従事者なんてのはごく一部である。
私はエクモなんて使用したこともないし、見たこともない。
もちろん、その最善で命を張る一部の医療従事者には頭が下がる思いだが、医療従事者だからといって必ずしも危険に身を晒す必要はないと思っている。選択の自由はいつも自分自身の権限に限られる。

それが今回の褒め称えによる妙な違和感を抱く大きな理由である。
頑張って、と言われるとなおさらだ。
私は別にコロナ患者の為に働いてるわけではないし、そこまでの情熱を持って働いているわけではないから申し訳ないけど、辞めたきゃ辞めるし、ましてや頑張れなどと他人に言われる筋合いはない。
と、もちろん心で毒づいてても口に出すことはしない。
　ただ、医療従事者を変に称えるような風潮はやめて欲しいと思う。
医療従事者である前に一人の人間である。誰の命よりまず、自分の命が1番大事だと言うことは、当たり前であると思っていること、もしくは自分の命を犠牲にしてまで働くつもりはない、とここに宣言したいと思う。