ICT支援員21年生

~現在の抱える課題と見える風景~

昨日(2022/5/14)、東北大学大学院情報科学研究科 情報リテラシー連続セミナー(オンラインセミナー)に参加しました。

ICT支援のプロ!であり、実際にお目にかかったことはありませんが、Facebook上ではお友達としてお付き合いいただき、リスペクトしている五十嵐さん
https://www.facebook.com/rana.akikoigarashi
が講師でした。

「ICT支援員」としての仕事内容や、抱える問題点について、現状を包み隠さず赤裸々に語っていただきました。
私も20年。この仕事をやってきた者として、ようやく。日の目を見る職業になってきたのかなー?と、少し感慨深いものがありました。
上手にお話されていて、「うん、うん」と頷くことも多かったです。

”学校”って一般の人にはブラックボックスであり、子ども達が勉強する場、という認識ぐらいだと思います。
そしてその現場に入っている「ICT支援員」は、パソコンやタブレットのトラブルに対応する人、ぐらいにしか理解されてないのだろうと客観的に見ております。

昨日のセミナーでも話されていましたが、ICT支援員の守備範囲は想像以上に広く。パソコン、タブレットのトラブル対応が仕事の柱の1つではありますが、それだけではなく。学校校務のICTに纏わる作業全般を担っている場合が多いです。
・授業支援・・・文字通り、子ども達が授業を受ける上で必要な機器(今なら大型提示装置や、タブレットなど)の準備や、アプリのインストールも含まれます。
・校務支援・・・先生方の事務的な作業。名簿管理や成績管理。保健、栄養、事務など学校運営に関わる校務分掌のICT回り全般。
・環境整備・・・サーバやPCなどのハード面のメンテナンスや、ネットワークトラブル対応など。
・研修/企画・・・教職員向けの研修や、職員個別へのサポート、ICT利活用の提案、ソフト面での対応など。
 挙げれば「4つの柱」となりますが、それぞれの柱には大小さまざまな枝葉の作業があり、とても全てを語ることはできません。自治体によって仕事内容は異なりますし、学校間でも微妙に違います。

私の場合で20年。色んな経験をさせて貰ってきての今があり。その経験が血となり肉となっています。「マニュアルは?」とか言われますが、その場その場で判断し対応してきたものも多く、マニュアルがあっても必ずしもそれが今、役に立たないことも多いです。自己弁護してるようで、また誤解を恐れずに言いますが、現場では”臨機応変”に対応しなければならないことも多く、マニュアル通りに行かないことも沢山あります。
事実、困っておられる先生を目の前にして、「一週間後に対応します」じゃぁ、話にならない場面も多いです。
やはり”経験”に勝ものはないと個人的には(あくまで私個人の見解です)思っています。

 「ICT支援員を配備して欲しい」と言われる一方。配備されても「どう指示して、どう働いてもらえばよいか分からない」という現場の先生の悩みもよく耳にします。
片や教職(免許)を持たない者が学校現場に入り、「何しに来はったん?」みたいな目で見られ、職員室にポツンと一人で居るという超アウェイな状況は、ICT支援員にとって精神的にキツいものがあります。
先生方も時間の余裕がないためにコミュニケーションが取り辛かったり。上記「4つの柱」に対し、ICT全般に長けた支援員がいるワケでもないのに、自分の不得意な分野について聞かれて答えられなかったら「使えねぇ~!」なんて陰口叩かれてしまう理不尽なケース、ミスマッチも多々あります。

 ICT支援員として学校に入る入り方、勤務形態の違いもあります。
どこかの教育教材メーカや人材派遣会社からの派遣であったり、教育委員会が直接雇用する場合もあります。
給与待遇面、勤務形態も違いますし、「仕様」によって守備範囲についても細かく規定されているところもあるでしょう。なので横のつながり、連携が取り難く。結果、孤軍奮闘するICT支援員さんも少なくありません。
 学校側の事情、ICT支援員側の事情、自治体・教育委員会側の事情とそれぞれの思惑が微妙に異なるが為に上手くハマることがなかな難しい、というのが実情と思います。

 私の様に同じ地域で20年やっていても、今のやり方が別の地域で通用するか、と言えばそうとも言えないです。一年ごとの「単年度契約」ですし、いつクビになっても文句すら言えません。
よく「後継者育成を」と言われますが。単年度契約で、自分ひとり食べていくのがやっと(いぇ、断然足りてないです)の状況でどうやって人を育成できるのか?とも思います。
色んな課題を抱えた状況下でのICT支援員な職業は、ようやく認知されはじめたとは言え、まだまだメジャーではなく。待遇面でも決して良い環境とは言えず、この状況が一気に好転するとも思えません。

ただ。

「GIGAスクール構想」で一気に学校のICT環境が変わってきたこのタイミングや、「教育DX」が叫ばれている昨今。今までの自分の経験が活かせるチャンスだとも思っています。
学校を、そして子ども達の未来を「ICTの力を活用して」どう導いて行けばいいのか? ICT支援員としてどう関わっていけば良いのか?
朧気ながら見えてきた自分なりのビジョン(=軸)を明確にしつつ、アドバイスと支援ができる、学校に一番近い者としてもう少しの間頑張ってお役に立ちたいナと思う、ICT支援員21年生。

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