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所変われば魔除け変わる

「今度のシェアメイト、なんか憑いてるみたいなんだよね」
仕事中、ビリーが話し始めた。
「見える人が見ると女性がいるらしい。白い服を着て犬歯がすごく長いらしい」
ビリーが言うには今度の日曜日、友達がシェアメイトとして一緒に住み始めるらしいが、その彼に何かが憑いているらしいと言うのだ。しかも憑き初めてかなり長いらしい。

リン、ギフ、グスと私がどよめく。
「あ、でも俺、そういうの一切見えないし、大丈夫。魂のレベル高いから」
(た、魂のレベル高い?自分で言うか?)
「そういう影響一切受けないんだよ。クリスチャンだからかもしれないけど。でもまあ、なんか、ね」

「塩盛ってみたら?」と私。
日本では盛り塩をする人もいるってことを伝えると、インドネシア出身のビリーが「インドネシアでは塩と米を同時に邪悪なものに撒くよ」
「ベトナムではガーリック」とリン。
(ドラキュラかよ?)

なんかアジアは食べものばっかりで魔除けしようとするなぁ。なんだか料理はじまりそう。

そこへいくとシドニーでの邪悪なもの騒動ではクリスチャンの牧師さんが来て魔除け(お祓い?)して食べものではなくクロスを各部屋に置いて行ったらしい。きっと聖水とか撒いたのかな。映画の見過ぎ?

その邪悪なもの騒動というのは、友達のゆかちゃんの体験談で、ある夜、シドニーのホームステイ先で眠っているとなんだか邪悪なものがドアの外にいる気がして夜中、目が覚めたらしい。それと同時に、一緒の部屋で暮らしているシェアメイトも「ゆかさん、起きてます?トイレに行きたくて起きたんだけど、何か怖いものがドアの外にいる気がしてずっと行けないんです」。
2人ともしばらく凍り付いていたらしいが、しばらくしてその気配は消え、幸いにもその邪悪なものと対面しなくて済んだらしい。
でもその後もあまりに変な感じが続くのでホストファミリーを2人で説得して牧師さんに来てもらったという顛末だった。

ゆかちゃんに「その邪悪なものってどんな感じなの?幽霊っぽい?」って聞いてみたが「いやいや、幽霊っていうよりもなんかもう邪悪な感じやねん。’Evil’って感じよ」

確かにこんなドライなシドニーに湿り気たっぷりの円山応挙の幽霊図は似合わない。
ゆかちゃんも「やっぱりここは海外やなって思ったわー」

所変われば魔除け変わる、のである。
果たしてシドニーで盛り塩は効果があるのか?どうせなら米もニンニクもクロスも一緒に盛ちゃう?



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