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ボーイ・トーイ

魅力のある若者になりたかった。
しかしながら、僕には渋谷を歩く才能はおろか新宿を歩く権利すら得ることができなかった。 

いったいここからどうすればいい?

立ち止まって得た自由は誰も道を指し示してくれない不自由で、やっと見つけた休憩所は僕の孤独感をより一層掻き立ててくる。

いったいどうやって進めばいい?

もう僕にはわからないよ。
どこに行けばいい?
誰がおすすめした道を行けばいい?
どうやったら間違えない?
思えば進んできた道は間違いだらけだった。
いじめられたのだってきっと僕のせいだ。野球なんてやらなければよかった。タバコなんて吸わなければよかった。自分のために音楽をやっていればよかった。あの子の今なんて知らなければよかった。お金を借りなければよかった。6/16に首吊りじゃなくて飛び降りを選んでればよかった。今まで泥臭く生きてきてしまった。
誤った選択が夢の中でも僕を責め立てる。ここ最近は嫌な夢ばかりを見ている気がする。自分のたらればの思いが今の僕を苦しめている。

今死ぬのが先か薬が効くのが先か、変な波形に揉まれて生きていかねばならないのか。

もっと普通の人生でありたかった。もっと普通に生きていたかった。もっと魅力のある人になりたかった。ボーイ・トーイになりたかった。

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