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【記者会見の前に】改めてゴーン事件を10分で図解で復習〜全能ゴーンが陥った第4の対立軸〜

記者会見の前に、一昨日の投稿

を図解で簡単に復習しつつ、問題の本質を補足します。

(写真はニコ動の宣伝を兼ねて使わせてもらってます)

 (ノーカットでみないと)

まとめるとそれぞれの対立軸のキーマンにゴーン氏を超える当事者能力がなかった悲劇です

まずは、改めて順を追って図解します。

(前回投稿をあわせてお読みください)

対立軸1. プロ経営者 vs  生え抜き役員+従業員

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西川社長を始めとする日産幹部にグローバル経営者の目線と経営・調整能力はなく(どんどん業績は低迷)

対立軸2.  政府 vs  民間企業 日本政府 vs フランス政府

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経産省と日本政府にグローバル企業とどう関わってよいかの視座はなく

対立軸3. 国内司法 vs  グローバル経営者と世論

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日本の司法(特捜も弁護団も)に、グローバル経営者の持つ財力と人脈そしてその胆力、行動力に想像力がなく今回の事態を招いている。

それらを全て掌握し行使の実行能力があったのは本来弱い被告の立場のゴーンであり、そのために過度にその全能を恐れ姑息な策(注1)(注2)を弄すので国際的な批判を逆に浴びる。(思い通りに行かない)

但し、この全能のゴーン氏に見えておらず、今回の記者会見を持ってしても彼を救うことが無いだろうと思われるのが究極の

対立軸4.  富裕層(1%) vs 貧困層(99%)

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トランプに投票する人、ブレグジットを願う人、チリやコロンビアでデモをする人、そして母国レバノン始め中東で貧困と紛争に喘ぐ人の気持ちと生活。

ゴーン自身が、それらの人々の反応とそれに振り回される国家が見えてない。

当初は国民的英雄の帰還の様に迎えたレバノン政府も、国内外の反応をみて関与の火消に既に躍起になっている。

(GDP3位で同盟国がアメリカという日本政府を刺激したくないことはもとより)国内の国民感情を刺激して再び内戦状態などは避けたい。

ゴーンがレバノン国庫に貢献できたとしても1個人、数10億円の話。引き渡しには応じないが、国内司法をゴーンに有利に行うかは、国際世論と国民感情を見ながら慎重に今後判断していくだろう。司法の独立性世界ランキング日本が5位に対して60位とも98位とも言われるレバノン。おそらく大統領や経済界との近さに期待してだと思うが、ゴーン氏に利用価値がなく国際政治のリスクでしか無いとわかった時、レバノン政府と独立性の乏しいレバノン司法が温かい判断をするか全くわからない。(というかしないと思われる)

改めて、まとめるとゴーン氏という稀有な存在が動くたび、フィールドが拡散し、今の世界の対立軸が明らかになっていくというのが前回の投稿の論点です。

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個人的にはカルロスゴーン氏が
どのような記者会見を行なっても彼が名誉回復し彼の望む形で社会に復活する事ないと予測する

実は、孫社長と一緒にゴーン氏に会った事がある。即決即断、典型的な優秀なグローバル経営者だ。おそらく記者会見は、入念に練り込まれた最高のCEOプレゼンテーションになると思う。ノーカットで観たい。

但し、残念ながら、彼を救うことにはならないだろう。

これから起きること

日本の政府と司法は、心の底での引き渡しは求めていないと思われる。証拠として刑事告訴立件はかなり無理筋であり、逃げてくれてありがたいと内心ほっとしてるかもしれない。少なくとも法律違反行為を行う人物である事の印象確定はできたのだから。ゴーンが告げる政府関係者はかなりの要人だろうから、しばらくは自民党がワサワサするが、「逃げた卑怯者に耳を貸す事はない」という日本だけで通用する情の論理で乗り切ると思われる。

フランス政府も、ルノーの新体制が固まった今、ゴーンの影響力は消していきたい。(シェア低下の中それどころではない)国内捜査でいくつか不正を摘発して送検して終わり。イエローベスト運動を刺激する4つパスポートを持つレバノン人の金持ちの為に、マクロンは動かない。(もともとゴーンが好きではない)

ルノー日産もこのダーティーなコーポレートイメージの事件を引っ張って業績低迷を続ける訳にはいかない、不正の継続追及の公式見解を広報が繰り返すにとどまる。300億円とも言われる株主代表訴訟の訴追断念(もしくは継続)を取引材料にゴーンを黙らせようとするだろう。

誰も池に落ちた犬を、助ける時代ではない。

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恐らく多少プライバシーを犠牲にされながら絆の深まった奥様と静かに、レバノンでセントヘレナ島のナポレオンの様に過ごすのではないか。

恐らく半年後、誰も思いだす事なく。20年後くらいの訃報ニュースで久々に名前を聞く、その様な事になるのではないか、と思う。


注1.
本来は、ゴーン氏が出席する取締役会において調査結果を開示し、弁解も聞き更に不適切な点があったのなら取締役会決議で代表権や肩書を剥奪する。その後、刑事告発するなら取締役会の総意を持って行う。
反撃を恐れてそのプロセスを踏まずに、国家権力を借りてまず奇襲逮捕し、その後弁護士も同席させずに社長が解任「予定」の単独記者会見をやるから、卑怯なクーデターと批判される余地を残す。

注2
とりあえず逮捕してから訊問で弁護士も同席させずに密室で犯罪を作っていく。まだ確定していない報酬の未記載で金商法違反って無理筋でしょう。
「あなた来年ボーナス、大体これくらい弾むからな、って上司に言われてたでしょうー、それちゃんと書いてないじゃないちゃんと申告しなきゃっー、逮捕です!」「え?」 
立証できないと、あんた絶対悪いことしてる、新しい容疑を作って永遠に再逮捕。

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