ヘリの音がする日だ

ヘリの音がする日だ。
朝八時半、刃物を持った男が行ったことのあるうなぎ屋に襲いかかったらしく、
朝十時頃、そんな報道が出ていた。思わず「え!?」と叫んだ私たちに無理はない。
夕方、ホームを漂ううなぎの匂いは六年間嗅ぎ続けたものだ。
3歳と6歳の子どもたちが人質になっていたらしく、どうしても心配になるのは同じ人間だから、近くに住んでいるから、
それでも私の一日は通常通り進む。
近くのスーパーに行く途中、まだ刃物を持った男に捕まっている子どもたちがいて、私はイヤホンの音楽に身を委ねていて、世の中、そんなに別世界な出来事があるだろうか。たった徒歩15分の違いで。

わたしの影を枝の刃物が刺した。バラバラとヘリが飛んだ。ウーウーとサイレンが唸る、うなる。走る

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