③内服・静注ステロイドの長期副作用~副腎抑制
※注
以下の内容は、基本的には内服と静注で起こるものです。
外用、吸入、点鼻では
『あまり起こらない』
ので、それらを使ってる人におかれましては過度な警戒は不要です。
ではスタート。
まずステロイドとは何か。
作用がありすぎて本が何冊も出るレベルですが…
まずは根本として
『生命維持ホルモン』
『体調不良時に全身状態を保つホルモン』
といえます。
指令中枢は、他のホルモン(甲状腺系、性腺系、成長ホルモン)と同じく脳下垂体の前葉。
画像参照:https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/12-%E3%83%9B%E3%83%AB%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%81%A8%E4%BB%A3%E8%AC%9D%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E4%B8%8B%E5%9E%82%E4%BD%93%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E4%B8%8B%E5%9E%82%E4%BD%93%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81
![](https://assets.st-note.com/img/1681875417384-oSXgUnkhOX.jpg)
![](https://assets.st-note.com/img/1681875427964-7pYCDfaqft.jpg)
んで、下垂体から指令を受け…ステロイドが実際に分泌される場所は
『副腎皮質』
です。副腎髄質からは別のホルモンが出ます。
下垂体 『さあ、副腎皮質よ…ホルモンを出すのです…』
副腎皮質『あいあいさー!』
と、分泌されます。
ちなみに材料はコレステロール。
摂らなさすぎもよくないんだよ。俺は摂りすぎだけど。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103404798/picture_pc_ce3ed05bd2ba6c3520f4817edc60e663.gif)
![](https://assets.st-note.com/img/1681875735716-lxd8g96o87.jpg?width=1200)
さて。
問題になるのは「コルチゾール」です。
脳下垂体で発注、副腎皮質で産生、全身で作用。
通常時は
全身 『足りてます!』
下垂体『作りすぎなくていいヨ!』
副腎 『あいあいさー! こんぐらいで!』
といった感じで、適切な量を自動調整します。
生理量がコルチゾール7-8mg/㎡程度。
(体重ではなく体表面積換算です)
体調不良時にはステロイド分泌が増えます。
全身 『もっとくれ!』
下垂体『よっしゃ増産!』
副腎 『あいあいさー! じゃんじゃん出しまーす!』
軽度の体調不良なら生理量の数倍
めっちゃ具合悪いと10倍ぐらいは出ます。
さっきから副腎は『あいあいさー!』しか言ってません。
そう、言われたままに作って放出する、とっても素直な子なんです。
でもそれ後にが仇になる…
そんなステロイド。
過剰になると、当然あちこちに副作用が出ます。
これらは、1-2日程度では基本的に起こりませんが…
…個人的には1日で白内障になった小児なんて症例も診た経験があるんで、油断はできません。
これらは、量や日数依存で起こりやすくなります
![](https://assets.st-note.com/img/1681876071603-T3pTeLCWTq.jpg?width=1200)
この一覧の中にある『副腎抑制』が今回の話題です。
長期間ステロイドを内服していると何が起こるかって…
本社が居眠りします。
(内服や静注している)
全身 『足りてまーす』
下垂体『作らなくていいぞ』
副腎 『あいあいさー! ライン止めまーす!』
が続き…
全身 『足りてまーす』
下垂体『zzz…』
副腎 『作れって言われてない! ヨシ! ラインこのまま!』
になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1681876544997-r95Wzqyfhg.png)
これが3週間以上続いた場合…いきなり休薬すると…
全身 『足りませーん』
下垂体『zzz…』
副腎 『作れって言われてない! ヨシ! ラインこのまま!』
全身 『おーい?』
下垂体『zzz』
副腎 『ヨシ!』
全身 『…誰かぁぁぁ!!!!』
![](https://assets.st-note.com/img/1681876531507-hgUUCvPWiX.png)
…生命維持ホルモンであるステロイドが全く分泌されなくなります。
これを「副腎クリーゼ」と呼びます。対応遅れると死にます。
そう。副腎皮質は言われたらきっちりやるけど、素直でいい子過ぎる。
『ホントにライン止めてていいんですか?』
と本社に問い合わせを入れられないアホの子なんです。
基本的には、3週間程度の連日内服・静注で起こります。
ゆえに長期間ステロイド内服をする場合、我々はめっちゃ気を使って慎重にステロイドを減らします。
以上、長々書いたけど、つまりね……
個人輸入とか自己判断とか、そーいう薬じゃねぇし
あまつさえ食品に勝手に入ってるとか論外すぎるんだよ!!
ステロイドは作用も全身で様々だわ薬もたくさん種類あるわ…本が何冊も出るレベルの底なし沼です。今回のツリーはあくまで
・ステロイドの副作用の中で、副腎不全とは何か
の軽い説明と「だから自己判断ヤメレ」っていう極めて浅い内容です。そんな浅い内容を超ざっくり書いただけでもこの分量になります。
また、医師の把握なしのステロイド使用なんてケースを、我々は一般外来においては想定してません。基礎疾患ない患者の符牒に対して副腎不全を疑えるのは、医師ってより超能力者。
ついでにいうと
・下垂体から副腎への発注(ACTH)
・副腎ステロイド
ともに検査はありますが、院内項目ではなく外注検査の施設が大半なので、日数かかります。
結論
ステロイドは
勝手に使ったり止めたりせず
ちゃんと処方されたものを
https://twitter.com/syanosyano6631/status/1604738507351564289?s=20
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?