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UNISON SQUAE GARDEN 『PatricVegee』感想 グチャってしてようが食べ残さない

2020年9月30日に私の『この世で一番好きなバンド』の枠を7.8年独占し続けている素敵なバンドがアルバムを出した。

前作の『MODE MOOD MODE』から2年半ほどが経過し、3つのシングルを抱えた今回のアルバムは期待以上に噛みごたえのあるものだったので早速感想を。

前作では事前にアルバムの中のシングルの位置を当てるという楽しみを提案してもらったわけでしたが、今回は事前に全ての曲をタイトルを一部隠して20秒程公開しその隠された部分のタイトルを予想するという楽しみをもらった。YouYubeのコメント欄を見ているとセンスのある回答が多いことこの上ない。とてもじゃないが自分には厳しい、なので曲順予想を行って発売を待ちました。

曲順予想

1.Hatch I need
2.世界はファンシー
3.摂食
4.スローカーブ
5.catch up
6.弥生町
7.春が来て僕ら
8.101回目
9.夏影
10.phantom
11.マーメイド
12.simple

既にアルバム聴いた方ならお分かりの通り、全く掠りもしていないんですよね。
このことについては後ろの方で『なんかグチャっとしてんだよな』という言葉を踏まえて考えます。

1.Hatch I need

ユニゾンのアルバムの1曲目はキャッチーな疾走感ある曲(e.g.サイダーロード)もしくは奇怪でパンチのある曲(e.g.エアリアルエイリアン)の2つのパターンがあると考えていますが、今回の1曲目の最初のベースを聴いた瞬間に

「あ、確実に変態枠(褒め言葉)だわ」

イントロのテンションの上がり方が最高でアニメOPとかにピッタリそうですよね(血界戦線のMADとか誰か作って欲しい)

自分は音楽に明るくないので言葉に目が行きがちなのですが、まず曲名のhatchは色々な意味があります。今回は日頃の田淵さんから発言からも『企む』みたいな意味で間違いないかと。私は企みを求めている。

ユニゾンのアルバムの1曲目はバンドのスタンスとかそのアルバムのスタンスを歌詞に散りばめることが多いですが、今回でいうとサビの歌詞がそれじゃないかと。

「1曲目だし無茶苦茶やる、これまでの我々をよく聴いてこなかった人でこの曲だけ聴いて判断するのは早計」みたいなニュアンスを勝手に深読みしたくなる

サビのコーラスが好きです、なんて言ってるんだろ

3.スロウカーブは打てない(that made me crazy)

ユニゾンのこういうカウベル使う系の曲(この括りで正しいかは分からぬ)
むちゃくちゃ好きなんですよね。

この曲はthrowcurveの表現は自由 (that made me mad)という曲がパロディ元になっているみたいで、有識者によれば同バンドの色々なエッセンスが入っているらしいのでぼちぼち漁ってみようと思います。

この曲もI must doubt〜の所に分かりやすい意思を感じて、ユニゾン流のポップであったりフェスであったりへの考え方が漏れている場所なのかも。

ちなみに私は斎藤さんのgo round baby が良すぎて2万回リピートしました

6.夏影テールライト

先行でYouTubeで公開された際に最初の印象が

「これサビ、さよならが聞きたいんじゃなくて〜でしょ」

ってくらいmouth to mouth を感じました。つまり初期感。

テールライトは車とかの後ろのライトのことなので、追いかける僕からは君の背中しか見えないみたいな意味合いかも。それも含めてこの歌詞の素直さ的なのも初期感の要因の1つだと感じました。

夏の夜(ライトは夜だから)特有の空気が淡く溶けて行く感じを前景化して表現できるのはさすがだし、本来の発売日である7月に発売されていればこの夏がより感傷的になったんだろうなと、同じアルバムに春の曲もあるんだけど。

11.Simple Simple Anecdote

タイトルからCheep Cheep Endrollみを感じて順番予想では最後にしたんですけど蓋を開けて見れば歌詞が分かりやすく良いmix juice枠(Dr.lzzyが好き)

今回のアルバムは全体的に歌詞が死ぬほど良いんですけど、これと次の101回目の歌詞はどうかと思うくらい好きなんですよね。

まず最初の「僕の言葉が死んだ時 アスファルトは気がつきやしないだろう」って歌詞にドキッとして、自分みたいな深読みしたがり民は田淵さんが書いた詩というだけで肯定的に捉えがちなので、脳死で反響するだけじゃなくて飲み込んで噛み砕き続けたい。


今だって誰かが泣いてんだ でも泣きたい時に順番待ちもないだろう

全部嫌になったなんて簡単に言うなよ 全部が何かってことに気づいてないだけ

誰にもわかんないことも解き明かしても 誰にもわかんないままでいいかも


いや、大天才か???

ユニゾンの励ますような曲って世界観に紛れてて直接的じゃなかったり、単なる未来への欺瞞に逃げない所が凄い好きなんですよね。あと言い回しが少女漫画かよってくらいロマンチックな言い回し。

君の優しさが死んだ時お月様は雲に隠れるだろう 
薄明かりを頼りにしてまた会える隙間を探す

いや、別冊マーガレットかよ。

12.101回目のプロローグ

simple simpleで終わりと見せかけて真の大団円に相応しいこの神曲。
正直初見は「なんかすごい曲だなぁ」程度の印象だったんですけど3回くらい聴くと「あれ、これエゲツない曲なのでは」みたいにじわじわと染みてきました。

このポイントが良い!みたいな風に色々挙げたかったんですけど、あまりにも良い所が多すぎて、この曲だけで1つ記事が書けそうなのでまたの機会にします。

【なんかグチャっとしてるんだよな】

この曲を聴いて初見で飲み込めない理由として意味の分からない曲構成があるんじゃないかと思います。普通のJ-POPの曲ってA→B→サビみたいなのを繰り返して曲になっているパターンが多いんですけど、この曲は1番が終わってから本当に意味の分からない展開が続くので圧倒されている間に曲が終わっちゃうんですよね。間奏が3回くらいあるの意味分からなくないですか?しかも全部良い。
途中のギターのメロがすごい聴いたことあるので、元ネタ知っている方がいらっしゃれば教えていただきたい……

101回目だけに限らず、今回のアルバムは構成が単純なものが少なくて、その辺がグチャってしている感初期感(昔の方は2サビスキップとか多い)に繋がっているのではないかと思います。

アルバムを通しての『季節』

ユニゾンにはちょいちょい季節を背負った曲が存在しますが(そんなに多くはない)今回のアルバムは春とか夏とか冬とか様々な季節が出てきます。(だからグチャっとしてんだよ)

そんな中101回目では『季節』という言葉を使った上で『期せず」と韻を踏んでるのを深読みしたくなりますよね……

ちなみにこの曲は過去曲を意識したエモいフレーズが随所に出てくるんですけど、そういったズルいフレーズを除けば、この『期せず』が含まれている

「期せず手に取ったパズルのピースで海岸線に暁を描き出したよ そうやって鼓動を待つことにしたよ」って歌詞がありえん好きです。

物好き用のエモいフレーズ

先ほど過去曲を意識したフレーズが出てくると言ったんですけど(4年とか間違えてないとか)その中でも初見であぁぁぁぁぁっあああぁぁあ(オタク死)ってなったのが最後のAメロ(締めにアレンジしたAメロ持ってくるの好き)の

「世界は七色になる」

あああぁcsvのいふぉxv;いbz;fshfbh;sフォボイア:jばいjbjb (オタク死)

からの………

「魔法が解けるその日まで」

あっ(オタク急死)

アカペラ解禁の妄想

突然斎藤さんがアカペラで歌い出した時はイヤホンが壊れたかと思いました。自分の記憶が正しければこれだけの長尺でアカペラを入れるのは初めてのはず。

アカペラで思い出すのはフルカラープログラムのライブ演出ですが、昔はよくやっていたのに一緒に歌う人が多くなりやめたという話を聞いた気がします。そう考えると先日のオンラインライブで披露したのも頷けます。その上で今回のアルバムでアカペラを解禁したのは今後ライブで、しばらく声を出さずに見るのがスタンダードになることに関係するのではと邪推してしまう。(本人がそういったことに影響を受けないと言っていたので完全に邪推)

総評

前回のMODE MOOD MODEが天元突破ってくらいポップに振り切ったアルバムだったが、その反動かうって変わって春が来て僕ら以外同期を一切使わない硬派なアルバムであった。加えて今までと2作とは違う起承転結をハッキリとしない曲順やそれを補うような歌詞繋ぎ。おそらく彼らが今面白い、良いと思ったものを自信をもって詰め込んだアルバムであることが伝わった。もう何年も好きだと声高に叫び続けているUNISON SQUARE GARDENというバンドは15年経ってもまだ私たちの心を離さない。






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