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初クルーズ体験記

5月25日〜6月4日までクルーズに乗ったので、その感想を残しておく。
とても良かったので、是非お勧めしたい。


クルーズに申し込んだきっかけ


僕自身大の旅行好きではあるが、今までクルーズに乗るという選択肢は無かった。
周りにクルーズ好きもいなかったし、無意識に「クルーズ = 老後の趣味」「大金が必要で若者には無縁」といった先入観があったのだと思う。

ただ、ふと妻がダイヤモンドプリンセスのツアーを見つけたことがきっかけで乗ることにした。
この時僕は仕事を退職してアフリカと南米を放浪しており、帰国後は次の仕事を始めるまで少し時間があった。
またこの機会を逃すと早々クルーズに乗ることも無さそうだし、意外と安価だったこともあって申し込んだ。

クルーズの詳細


乗船したクルーズのパンフレット

詳細は上記パンフレットの通りだが、旅程が少し小さいので以下に載せておく。

1日目 16:00に横浜を出発
2日目 終日航海日
3日目 7:00 ~ 17:00@青森市
4日目 8:00 ~ 17:00@酒田(山形)
5日目 7:00 ~ 16:00@伏木(富山)
6日目 10:00 ~ 19:00@境港(鳥取)
7日目 9:00 ~ 19:00@プサン(韓国)
8日目 8:00 ~ 18:00@長崎市
9日目 終日航海日
10日目 8:00 - 17:00@清水(静岡)
11日目 横浜に朝着

他の旅程や料金が気になる方は、公式のパンフレットを読んでみると良いだろう。
個人的には「PDFダウンロード」ボタンから読む方が読みやすい。

乗客の構成

ダイヤモンドプリンセスには2,700人超が乗船していた。
日本人とアメリカ人がそれぞれ800人超、オーストラリア人が300人超、カナダとイギリスはそれぞれ100人超で、この5カ国が乗客数のTOP5だった。
実に9割近くをこの5カ国で占めることになる。

客層の殆どはシニア層であり、見かけた若者カップルは3組のみ。
その中間の年齢層も少なかった印象だ。
またプリンセスクルーズ(ダイヤモンドプリンセスもこの会社のクルーズの一つ)では乗船回数や泊数に応じてランクがあり、船内で使用する「メダリオン」と呼ばれるメダル型端末の色が変わる。
僕の色は白地に青だったのだが、他の乗客はそれ以外の色が目立つ。
リピーターの方が非常に多いようで、聞いた中で最多の方は7回ほど乗ったとのことだった。
ちなみに、僕が乗った時期のダイヤモンドプリンセスは午前に横浜に到着、当日の午後に次のクルーズに出発というのを繰り返していたが、次のクルーズに連続で乗船する方もいるそうだ。
実際クルーズ最後のセレモニーでは「殆どの方は下船されますが」と司会の方が仰っていたのが印象的だった。

メダリオン。写真は公式より

船内設備

とにかく豪華だった。
ジムやカジノ、バスケットボールコート、美容院、ネイルサロン、劇場、スパ、ナイトクラブなどがついている。
プールは4つ、レストランは10つほど、バーは無数にある。
必要なものがすべて徒歩圏内にあり、さながらコンパクト都市のようなものだ。

船内中央部のグランドプラザ
屋外プールのうちの一つ。巨大ディスプレイでは映画が放映されている。
シアタールーム。人気のショーは満席になる。
ジムには一通りの機材が揃っている
カジノ。夜は熱気に溢れていた。


感想


ここからは僕の感想を書き連ねていきたい。

移動の手間が段違いに低い

出発は横浜港、かつ16:00のため、関東近郊に住んでいれば前泊せずとも行けるだろう。
僕は東京に居住しているため、非常に楽だった。

乗船後は夕方に港を出発し朝には次の寄港地に到着するため、「日中は寄港地を観光 → 夜は船内のエンターテインメントを満喫 → 疲れたら就寝 → 起きたら次の寄港地に到着」のサイクルで非常に快適。
寄港地で港が市街から離れている場合は、有料だがシャトルバスを利用可能。
また観光も好きな時間に船外へ出て、疲れたら船内の自室に戻ってくれば良い。
手間なく観光したければ、割高だがツアーも用意されている。
体力に自信が無くても快適に過ごせるし、実際、杖や車椅子を必要とする方も一定数乗船していた。

多様な寄港地をまとめて観光できる

僕の旅程で言えば、11日間で7箇所に寄港した。
北は青森から南は長崎まで、間では韓国も訪れたが、同じことを飛行機や新幹線でやるのは大変だろう。
また通常の旅行では主要観光地に行きがちなので、酒田や伏木、清水など中々候補に挙がらない土地を観光できたことも良かった。
これらの土地は自分が知らなかっただけで観光する価値は充分ある。
単に知らない街を歩きまわることが好きな自分にとっては大満足の旅程だった。

目白押しのエンターテインメント

船内では常時イベントが開催されており、全く退屈しない。
僕は寄港地での観光に時間を割いていたが、夜や終日航海日は劇場でのショーやクイズイベント、パターゴルフなど色々楽しんだ。
他にも例えばワインの試飲イベント、船内キッチンツアー、宝探し、社交ダンスレッスンなど多彩だったので興味をそそられるイベントを見つけることは難しくないだろう。
イベントのファンで無ければ、プールやカジノを楽しんでいればあっという間に1日が終わる。
ちなみにカジノはテーブルゲームでもミニマムベット5USドルと安価なので、使いすぎる心配は低い。

個人的には、毎晩のように開催される劇場でのショーが最高だった。
ミュージカルや大道芸のようなもの、チャップリンのような非言語で楽しめるコメディなど毎晩本当に飽きない。
夜はショーを見てから豪勢な夕食を楽しみ、毎晩異なるバーで飲むのが日課になっていた。
もちろんプールサイド含め至る所にバーがあるので、昼から飲んでいても良い。

シャンパンタワーをしながら船長など紹介する変わったイベント。タワーにシャンパンを流し込む体験もできる。
シェフたちが集うキッチンショー
ナイトクラブは落ち着いた雰囲気で誰でも楽しめる。この日はDJがマイケルジャクソンのヒットメドレーを流していた。

洗練されたサービスと民度の高い乗客

毎日楽しく過ごせた要因の一つは間違いなくこのことだろう。
人が大量に集まる場であれば、往々にして態度の悪いスタッフや感じの悪い客もいるものだが、そういった類の方は一切いなかった。

クルーズの立ち位置を考えれば、接客態度が丁寧なのは当然かもしれない。(それでも、1,000人以上いるスタッフに滞在中一度も不快にさせられなかったのはすごいことだ)

ただ、客層の良さには非常に驚かされた。
経済的余裕は心の余裕を生むのかもしれない。
交流を持った全ての方が友好的で、何かと良くしていただいたり色々話してくださり、素敵な方々だった。
自分もあんな風に年齢を重ねたいものだと思えた。

他の乗客との交流

クルーズでは他の乗客と仲良くなるタイミングはたくさんある。
食事は他の乗客とのシェアテーブルも選べるし、円卓を囲むアフタヌーンティーのようなイベントもある。
バーではお酒の力もあり、より話しやすくなるだろう。
用意されている数々のイベントでもそうだ。

また、乗客の大半が英語を母国語とする欧米の方という点も大きい。
僕の経験上、彼らは他人と話すハードルが非常に低く、日本人と比較しても会話が生まれやすい傾向にあるように感じる。
英語での会話が前提になるので躊躇する方もいるだろうが、育ってきた文化も環境も異なる人たちとの交流もクルーズの素晴らしい点の一つだと感じた。
プールサイドには小さなジャグジーが何箇所もあり、僕はよくそこで他の乗客と会話していた。

飲食の娯楽が多彩

レストランは高級感があり、アラカルトをコース料理のように楽しめる。
何ヶ所もあるので毎晩異なるレストランで食べても良い。
メニューはどのレストランでも共通(メニュー自体は毎日変わる)だが、有料レストランに行けばシュラスコや寿司など異なるメニューを楽しめる。
高級感に疲れたらビュッフェでラフに食べても良いし、プールサイドで無料のバーガーやピザを食べたり、ルームサービスを使って部屋で食べても良い。

酒に関しては船内にはバーがたくさんあり、それぞれ雰囲気が異なる。
通常のバーだけでなくナイトクラブもあれば、ピアノ演奏付きのバーもある。

誰だって不必要に太りたくは無いだろうが、船内では相当難易度が高いので諦めた方が良い。

通常料金で利用可能なレストランの一つ
レストランにて牛肉のステーキとロブスター。航海中1度だけメニューに出てくる定番らしい。
どのメニューもこんな感じで洒落ている
食後のデザートも日替わり含め選択肢がたくさんある
プールサイドで飲んでいる人も結構いる
ルームサービスで注文
巨大なパフェを注文できるスイーツカウンターもある
有料オプションの一つ、寿司レストラン「海(Kai)寿司」
バーの雰囲気

ネガティブな側面は無いのか

正直、思い当たらない。
1度しか経験がないので、運よく嫌な経験をしなかっただけということもあるだろう。
リピーターの方の話だと、台風に遭ってしまって旅程が変更されたりと、当然だがトラブルもあるようだ。
それでも、支払う値段以上の経験を得られる期待値は相当高いのではないだろうか。


費用の総額


オプショナルプランの有無や部屋のグレードにより料金は異なるが、僕の場合は以下の内訳で1人あたり約32万円。

  • 最安の部屋(内側)約17万円

  • チップや酒、WiFi等が含まれるプラン「プリンセス・プラス」が約8万円

  • 港湾税等が2万円弱

  • 船内での追加料金約2万円※1

  • 寄港地での観光代約3万円(ツアーは使わず)

オプションをつけたことで殆どの費用は含まれることになるが、中にはプラン対象外の高額ドリンクや有料レストランもあったりするので、利用した場合はクレジットカードに請求される。
僕はカジノで使用するチップ、フォトグラファーに撮ってもらった写真、オリジナルグッズの購入、スパで追加費用が発生した。(※1の部分)

観光については、全ての寄港地で観光した。
移動は主にタイムズカーシェアや自転車レンタルだったため、タクシーやツアーを利用される場合はもう少し費用がかかるだろう。
あとはどれだけ土産を購入するかにも左右されそうだ。


これから乗る方にアドバイスできること


クルーズの情報は調べればいくらでも出てくるだろうが、1度のみの経験でも話せることをまとめておきたい。
なお、ここでの話は僕が乗ったダイヤモンドプリンセスでの話である点はご留意いただきたい。

予約が埋まるのは早い

一般的にクルーズの予約は前年など相当前からしておくようで、直近だと空室率は0%に近い。
多くの方は外国籍で、飛行機の手配含め前もって予約が必要ということもあるだろう。

とはいえ、数ヶ月前に直前割というものが出ることもあるようで、この場合の料金の割引率は凄まじい。(見る限り半額に近いものもあった)
この割引は狙い目だが、クルーズや旅行会社の予約窓口の方によると、割引が出るとすぐに満室になるとのことだった。

ちなみに客室は1,300以上あるが、確認した限り1ヶ月以上前から満室で、乗船後に発表された乗客数は定員を超えていた。

部屋は中央に近い方が良い

主な理由は2点で、

  • 真ん中の方が揺れにくい(と言われている)

  • 諸々の船内設備へのアクセスが用意

特に2番目が大きく、先頭の方の部屋を取っていた僕は特に後方設備への移動に時間を取られがちだった。
船は全長290メートルあるため、往復すると結構な移動距離になる。

以下は僕が泊まった11階の地図だが、スクロールするとその長さが分かるだろう。
割り当てられているアルファベットと数字の組み合わせの区切りは客室番号だ。

海側の部屋を強くお勧めする

僕が予約した際、1,300室以上ある部屋は内側6室を除いて埋まっていたため、必然的に窓のない部屋で過ごすことになった。

当然だが電気をつけない限り真っ暗で、1日中夜のような感覚になる。
体内時計が狂い、僕の場合は朝自然に起きられなかった。

特に朝にカーテンを開けて日の光を浴びられないことがストレスだったし、バルコニーで飲食したり海を眺めたり出来なかったことも残念だ。
旅行ではホテルに拘らない僕でも、次は確実に海側の部屋に泊まるだろう。

船内は意外と寒い

船内の気温は20度前後に調整されており、長袖長ズボンでちょうど良かった。
夏が目前なのでプールも気持ち良いかと思ったが、普通に寒い。
ただ屋内プールもあり、そちらは快適に楽しめる。

客室内はかなり乾燥する

これは内側の部屋だったからかもしれない。
夜に洗濯して絞っただけの服を部屋に干しても、日が全く当たらないにも関わらず朝には乾いている。
持ち運びサイズの加湿器があると良いだろう。

意外と揺れを感じる

船は全く揺れないという情報もあるけど、僕は頻繁に揺れを感じた。
揺れと言っても微かなものだが、念の為毎日酔い止めを飲んでいた。
そのおかげかは分からないが船酔いするようなこともなく、酒を飲んでいても平気だった。


おまけ


寄港地で訪れた観光地を1部紹介しておく。
実際には各都市プラス1〜2箇所訪れた。またそのための十分な時間もある。
これだけ日本中様々な観光地を移動の手間もなく訪れられるのだから、素晴らしい体験だったことは言うまでもない。

青森では奥入瀬渓流へ
酒田では国指定史跡の山居倉庫へ
伏木富山では国宝の瑞龍寺へ
境港では店を梯子して海鮮を食べてまわった。
プサンでは街歩き・食べ歩き・買い物を満喫
長崎のグラバー園。ダイヤモンドプリンセスが見える
清水で訪れた三保の松原。世界文化遺産「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」を構成する1部としても知られている。
雲がなければ松林の奥の海岸から富士山が間近に見えるとのこと。

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