★3

酒ゲロ(しゅげろ)

初めてチャミスルを飲んだ。初めて酒のせいでゲロを吐いた。ゲロは抗えるゲロと抗えないゲロがあるが、酒のゲロは後者のゲロだった。

中途半端に吐き気に抗えてしまう方が辛い。私は年に何回か急性胃腸炎になってゲロを吐きまくるのだが、それは抗えるゲロなのでかなり最悪だ。腹から喉にかけた一体が縄で締め上げられ、口内から唾液がじわじわと溢れ出す。不快感だけが体内を支配する。ゲロを吐きたい。でも心の底ではゲロなんか吐きたくないと思っている。この期に及んでそんなしょうもないわがままでゲロを先延ばしにしようとする余裕をかます自分に腹が立つ。急性胃腸炎の最悪なところは、吐いたとて吐き気は治らない上に腹痛がマジでヤバくて、点滴を打ってもらうまでこちらに打つ手は1つもなく、強烈な痛みにより急激に遅くなった時間の流れと共にただただ地獄に沈むしかないところだ。もう2度となりたくないと毎回思うけど、いつも夏頃には必ず発症しているのでそろそろかもしれない。怖い。
酒ゲロ(しゅげろ)は「いっそひと思いに…」と思う暇もなく吐けるし、吐けば終わる。お腹も痛くない。ゲロの中ではかなりラッキーなゲロであると言える。

ただチャミスルはもう2度と飲まない。私は野菜生活100ビタミンスムージーを飲むぞ。野菜生活100ビタミンスムージーは美味しいしビタミンが摂れるしゲロも誘発しない。

歌い出し

「ヤメちゃえいっそヤなことなんて全速力回避せよ」
久しぶりに少女時代のGee(日本語版)を聴いたら開口一番にマジのことを言っていてウケた。「ヤメちゃえいっそヤなことなんて」の部分はまぁまだあるかなと思うが、「全速力回避せよ」と付け加えられることで途端に迫力が増す。「全速力」なのが肝である。確かに嫌なことに対する瞬発力は早い方がいい。「回避せよ」という言い回しも鬼気迫っていて好きだ。「逃げ」よりも「避け」の方が現実味がある。
Geeの面白いところは、このガチすぎる冒頭のフレーズ以降はまるで人格が変わったかのように明るくポップでキュートなラブソングとして最後まで駆け抜けるところだ。
いや、なんでだよ。もっとマジを言ってくれ。何故しょっぱなだけ熱く教壇を叩き私の目を見て訴えてかけてきたのか謎である。初回の授業の雑談が1番面白かった先生かよ。

こういう「冒頭だけこっちがめちゃくちゃ知ってる感情を言う曲」というのはたまにある。特に私が好きなのが、Lilかんさい(関西ジャニーズJr.)というアイドルグループの楽曲、「Tell me! Tell me!」だ。いかにも若手アイドルらしい猛烈に可愛くてマブいこのラブソング、出だしの歌詞は「ギリギリの精神状態で それでも平然装って」である。
完全にわかる。顔面蒼白で滝汗を流しながら電車に乗る会社員の姿がまざまざと脳裏に浮かび上がってくる。ウキウキでノリノリなメロディーと相まって、眩しすぎる日差しに酔う平日の朝のような感覚に襲われる、なんとも珍妙な歌い出しである。恐らく、「好きな子の前で普通になんてしていられないよ〜💦」という事を言っているのだろうが、本当にこの言葉選びでいいのか?写実に寄せすぎでは?と、かなり疑問なフレーズである。(面白いのでOK)
そして例に漏れずこの曲も、冒頭のフレーズ以降はずっとキャワイ〜♡ラブソング然として振る舞うのだ。だから、なんでだよ。

飲み物

飲み物はコップに淹れて飲むのと容器から直接飲むのとでは味の感じ方が違う。というのを最近実感した。迷信かと思ってたし、半分以上は迷信だとは思うけど、なんとなく違う気がする。

味の違いは「マジで違う場合」と「気分により違う場合」がある。コップに注ぐことによって得られる感覚がどちらに当てはまるのか私にはわからないが、なんとなく後者な気がする。一手間かけてるんだから美味くならないと困るので、美味い気がしている。そして一手間かける余裕があるから美味く感じることができている。のである。おめでたい脳の作りでよかった。

ていうか飲む度に思うのだが、液体って想像より美味しくて嬉しい。自分の場合、液体は切羽詰まってる時に飲むことが多いので、ありがたさによってより美味く感じる。いや、そもそも液体は切羽詰まる前に飲んだ方がいいのだが。
でも、つい最近までだいたい切羽詰まってる時にその場しのぎで水を飲んでいた。特に会社にいる時は切羽詰まりまくった時にしか飲まなかった。

社内では、水筒に入れた水道水を飲んでいた。その水は何故かめちゃくちゃ不味かった。駅のホームで飲む時は普通なのに、会社で飲むと苦い。そして蓋を開けるたびに、持ち上げた蓋と飲み口の淵から水がボタボタと垂れ落ちて机と床が濡れ、オマケに私の飲み方が下手すぎて口に水が注がれると同時に顎とマスクと腹がビシャビシャになってかなり最悪だった。給湯室にはドリンクディスペンサーがあったのだが、給湯室に行くと高確率で社員に出くわしてしまうので極力近付かないようにしていた。あと、ドリンクディスペンサーから直接水筒に水を入れようにも、水が排出される空間が異様に狭くて水筒が入らないため、紙コップに注いでから水筒に移さなくてはいけないのも意味がわからなかった。よって、仕事中はほとんど水を飲まなかった。水筒を買い換えたりペットボトル飲料を用意するのもムカつくのでそのままでいたら、どんどん体調が悪くなった。愚かなり。

最近は心に余裕があるのでコップにいれて飲んでいる。脱水or蛇口から出した水を手に注いで飲むの2択からの急激な成長。今はコーヒーを淹れる余裕まである。すごい。液体との和解だ。