2023年3月4日/腹痛とマッツ・ミケルセン

腹痛には強いロキソニンとマッツ・ミケルセンに限る。
病院で処方されたロキソニンは市販のものとは比べ物にならないくらい速攻で効くし、マッツはこの世で一番かっこいい。

不規則に穴の空いたPTPシートに手を伸ばし、朦朧とした意識のなか唾液だけでロキソニンを飲み込む。本当は痛みが出る前に飲むべきなのだが、まあ大体忘れているので毎度毎度こうやって苦しんでいる。薬が効くまでの間、布団にくるまって冷や汗を流しながらひたすらマッツの画像を見る。

それでも夜は明けること、それでも腹は減ること、どちらもなんの気休めにもならないし、怒りの火種に油を注ぐだけのカッスカスの不要情報だ。しかし、『それでもマッツはかっこいい』これで紛れる痛みは確実にある。少なくとも私の痛みには効いている。
私がこうして腹痛で大ダメージを食らっている今この瞬間もマッツはかっこいいんだろうなと思うと、いくらか気分が晴れる。同じ地球上において、この痛みとマッツの美しさにはなんの関係もないことが嬉しい。どれだけ私の内臓のコンディションがめちゃくちゃであろうと、マッツは変わらず美しい。これを希望と言う。
こういうとまるで大ファンみたいだが、ただの顔ファンである。顔ファンとして、ひたすらマッツの美しさの恩恵を受けている。

さらに気を紛らわせるためにアナザーラウンド(マッツが主役の映画。アル中教師の話)のパンフレットをめくる。
この映画はたまちゃんの出てこないちびまる子ちゃんみたいな話だった。アル中のマッツ(まるちゃん)が教師仲間たち(はまじ・小杉・ブー太郎など)と一緒にあれよあれよと堕落していく…みたいな…。ちなみにたまちゃんは我々視聴者である。「ダメだよマッツ!」と心の中で引きとめるが、スクリーンの中のまる子(マッツ)は「いいや、あたしゃ飲むよ」とはまじたち(教師仲間たち)とグルになりながら酒を飲みまくる。たしかそんな感じだったと記憶している。しかしアナザーラウンドちびまる子ちゃん説を唱えているのは私しかいないので全然違う話だった可能性が高い。なにせ顔ファンなので大画面で見るマッツのかっこよさに気を取られて終始ボンヤリしていた。二本立て上映の映画館で観たのだが、あまりにボンヤリしすぎて二本目を見ないで帰った。やはり我ながらこの感想は信用できそうにない。腹はまだ痛い。