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たんすを切る。

和室を広く使うために、部屋の模様替えのメインイベントは大きくて邪魔なタンスの移動だった。
すでに十数年前の大片づけの時に整理ダンスだけ他の部屋へ動かしたので、今回も旦那と2人で何とかなるだろうと和室に残っていた洋服ダンスも運ぼうとした。
しかし整理ダンスのように上下に分かれなくてしかもひと回り大きい洋服ダンスは難航を極めた。

中身を全部出して引き出しも外して2人で和室から廊下までは出せたけど、移動先の5畳部屋に入る時の切り返しがどうやっても無理。
試しにベランダからもやってみたがもっと狭くて駄目。

タンスなんて無駄に奥行きがあって嵩張るだけで、いっそのことファンシーケースで充分だったなと、四半世紀以上前の「結婚には嫁入り道具ありき」という時代に遠い目。ファンシーケースなら移動も簡単で『どこでもタンス〜♪』なのに(使ったことはないけど)と思った。

狭い廊下で斜めになったままつっかえてるタンスを恨めしく眺めながら2人で諦めかけている時に、旦那が一言
「切るしかないね。よし、切っちゃおう!」と。
え?タンスを切る??

(切るしかないって、
財前教授か…?)

それからは早かった。
電動ノコでタンスの左端部分1/3を切りだした。
このタンス、実は安っぽく裏はベニヤ板だし天井も合板だし簡単に切れたのだ。
縦に2/3と1/3とに切られたタンスはスルッと運ばれ、切り離した部分は4ヶ所で術後の縫合みたいに繋がれて何事もなかったように5畳部屋に鎮座した。
10数年ぶりに整理ダンスと並んで。おお。

かつて娘の部屋でここしばらくは私の部屋だった変形5畳のスペースに、タンスふた竿と台所にあった戸棚とCDの詰ったカラーボックスを移動して、そして元々あった本棚を整理した。
あとは小さなクローゼットの中味を片付ければほぼ終了となる…予定。

邪魔だとか何だかんだ言っても、色々と大切なモノを長年しまっておいてくれたタンスは重宝したし今もお世話になっている。
服より多いガラクタ(端切れとか毛糸とか土産物とかぬいぐるみとか袋物とか思い出のごちゃごちゃしたモノだとか)をこの際一掃しようとしたが、不用品は結局ゴミ袋一杯くらい出ただけであまり中味は減らなかった。
まあ、ここに入る分だけは保存しておいてもいいかな。
西日の当たるこの部屋に来ると時空を飛べそうな気がするかもしれないので。
なんて。

広くなった和室には娘ら家族が集まってみんなでお正月などに宴会をするのを旦那は楽しみにしていて、
夜は私が1人でのびのびと寝ている。
夜中に古い仏壇が時々ミシッとかピキッとか云うのがちょっとコワいけど、それ以外はとっても快適です。