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アク取り一切なし!野趣と風味の突き抜ける行列店の「ブラウン」スープの作り方…とそれを「澄んだスープ」に戻す方法

 このnoteでは過去にスープの作り方を解説してきました。

前回はこんな感じのスープでしたね

 これですね。正直、ごく一般的な「スープ」に関しては、正直上記エントリでほぼほぼ解決してしまうのですが、最近流行ってるお店のスープはここからもう一段階先に進んだ技法を用いたのものが多いです。トップ画像になってるやつと見比べれば一目瞭然、まったく違いますね。前回のスープに比べると、今回のスープはかなり赤茶色が出ているのがわかると思います。ちなみに、使っている素材はほとんど同じです。

 最近のトレンドとして、よく言えば「素材の風味がよく出ている」、悪く言えば「店の前で嗅ぐとお腹の減る匂いだけど、服についていれば悪臭」みたいなラインで勝負している店の方が、やはりラーメン屋としては流行っている傾向があると思います。特に、家系ラーメンみたいなジャンルだとこれはかなり顕著な特徴と言えるでしょう。前回作った白くクセのない優等生なスープはあらゆる料理に使える汎用性を持つ一方、スープ単体としてのパワーはどうしても劣ってしまうわけですね。何せ、「旨味が濃く保存性が高い上に臭みがない」に全振りした汎用スペックなもので。

 「やみつきになる味はちょっとクセがある」、これはジャンクフードの鉄則と言えるかもしれません。マクドナルドもスターバックスも独特の匂いがあるじゃないですか、ラーメンにおいてもこの鉄則は当てはまります。なんにでも使える優等生な味では、お客様は喜んでくれない。他社との差別化もできない。じゃあそれどうやって出すんだよ、アク取らないってタイトルに書いてあるけどそれ食えないスープにならないか?マジで臭いスープになっちまうだろ?と思われた方。
 やり方をちょっと間違うと完全にその通りです。

 この料理は変数をいじるのにコツが要ります。正直きわどい料理です。しかし、やり方を覚えると「どの程度スープに素材の風味を出すか、どんな味に仕上げるか」の調整ができるようになるので、料理をやるなら絶対に覚えておいて損のない技術でもあると思います。やっぱり「スープ」ってのは料理のベースですからね。これを覚えておけば、牛コツから鴨ガラまでなんでも応用できますし、コンソメやフォンドボーの自家製も基本的な手法よりずいぶん手っ取り早く狙い通りにやれるようになるでしょう。

 前回のスープが「何にでも使えるコスパのいい汎用スープ」の技術であるとするならば、今回は「あなたの味を作るための技術」と言えます。いくつかのコア技法を覚えればまったくの素人からでも成功が期待できるうえに、現代料理のコアの一つ「ダシ」を習得できますので、読んで損はないと自負しております。これ作れるなら大体の料理はいけるってくらいエッセンスの詰まった根幹技法です。

それでは始めていきましょう。今回は豚骨のセガラを2、ゲンコツを2、若鳥のガラを3、親鶏(卵を産んできた老鶏)を3で配分していますが、これはあくまでも一例です。トンコツ100%でもいいですし、鶏ガラ100%でもやれます。トンコツ7割くらいでやる方がわかりやすいかな、と思うところもあったんですが、そうすると「ガツンとくる家系ラーメンの作り方」に限りなく近づいてしまうので、ガッツリ風味のある「親鶏(ヒネ鶏)」をベースにスープを組み立てました。

 この辺は各自の目指す味で調整されてください。こういうのは最初に大好きになった味に縛られるものですが、僕が初めて通い詰めたラーメン屋は「比内地鶏の親鶏100%」のお店だったので、ラーメンは鶏の香りがないと物足りない気がしてしまうのです。

いわゆる特選素材ではなく、ふつうのガラ類です。「まず比内地鶏を用意します」とかはあんまりおもしろくないですよね

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