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よくここまで歩いて来ましたね、感染したら死ぬ場所まで、けつの穴みたいな裁判官

 顎の骨が飛び出したところが果てしなく膿み続け、ついに唾液腺や耳下腺に飛び火した。顔が倍くらいの大きさまで腫れあがっては元に戻る、発熱を伴いながら。そんな日々が続いていた。僕は病院をたらいまわしにされ(うーん…うちじゃわからない、専門的な検査を受けた方がいい)、ついに大学病院で専門的なすごいお値段の検査を受けることになったところだった。駅までも歩けなかったけれど、それは僕の人生において珍しいことではなかったから(鬱を抱えた人ならみんなわかること)タクシーに乗って大学病院に向かった。

 今後の専門検査スケジュールを設定し、体重を計り、採血をして、血圧を測った。230の160だったかな、とにかくそんなものだったと思う。看護師さんは「この血圧計はどうしても高く出る」とか「病院で測るとどうしても高くなる」みたいなことを言ってくれた。やさしい人だった。もう一回計ってみましょうね、今度はもっと精密なやつで(パニックを起こさないでね、大丈夫だよ)。2度目の計器には"240"と表示されて、思わず笑ってしまった。看護師さんは「笑いごとじゃありません」と言った。その通りだった。

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