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雨音が聴こえるようになって

 雨音は、素晴らしいもの。そんなことを最近は思うようになった。地球が水で満ちてからきっと(たぶんだけど)絶え間なく雨は降り続けていて、その音は最初の一粒が落ちたときからずっと美しかったのだろうけれど、僕がそれに気づいたのはこの数か月の出来事で。世の中には見えていないことも聴こえていない音もたくさんあるんだなと改めて思う。もちろん僕も立派な中年男だし、身体的能力なんてとっくにピークを過ぎているだろうから、眼も耳も若いころより性能で言えば劣っているだろうけれど。それでもこの歳になったから聴こえる音も見えるものもたくさんある。それが美しいものとは限らないのは、ちょっと問題だけれど。

もう10年以上聴き続けている曲だろうか。この曲のビートが大好きだ。「降り始めた夏の雨みたいなビート」と表現してきたけれど、ある夏の日、窓の外から聴こえてきた夕立の音に"The Verdict"の冒頭が聴こえてきて、ああこれは本当に雨を主題にしたビートなんじゃないかと不意に感じた。本当かどうかなんてわからないんだけどね。でも、いい曲ですよね。10年聴き続けられる曲は多くないけれど、この曲はあと30年聴ける気がする。

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