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寸胴一つあれば誰でも作れる、豚の頭スープについて

 みなさんは豚の頭を調理したことがありますか?
 まぁ、基本的にはないですよね。実は、水あめなんか塗ってパリッパリに焼き上げればアジア各地で食べられているお祝い料理だったり、あるいは「頬肉の煮込み」なんかをレストランで食べた方もいると思いますが、「豚の頭を丸ごと調理する」のはなかなかハードルが高いと思います。

 しかしこの豚の頭、ことスープの材料としては間違いなく最強スペックを誇ります。まず、第一に安い。仕入れ先によって変わるところはありましたが、僕はこの丸頭を1500円で買いました。5キロ以上は確実にありましたので、これはスープの材料としてメジャーなトンコツ+トンソクより遥かに安いのです。意外と誤解されているところがありますが、「トンコツスープ」はおおよその部分が「骨」から出ているわけではありません。骨の髄に含まれるコラーゲンを筆頭としたうまみ成分がお湯に溶け出しているのです。

 なので、いわゆる「ゲンコツ」と呼ばれる豚の骨は効率的に抽出するためにハンマーで叩き割る、あるいは長時間煮出す必要がでてきます。「セガラ」と呼ばれる背骨は真ん中から二つ割りにされているのでこの手間がありませんが、ゲンコツほどにはダシが出ません。僕も自宅でスープをいろいろ作ってみて、「流石にゲンコツを使ったトンコツスープはめんどくせえな…」という結論に達することになりました。しかし、やはり「豚」はうまいのです。鶏ガラだけのスープではやはりふくらみや甘味が物足りない。豚足を使えばコラーゲンは補えますが、あのコッテリとしたトンコツの美味しさはやはり不足します。骨、肉、髄、ゼラチンそれらをバランスよく配合し、しかも安価なダシ材は存在しないものか…。

そこでこう!!!(1500円)

このスープはもう少し手をかけますが、実際「このままひたすら煮込む」だけでもうまいスープは取れてしまうと思います(焦げ付きのリスクだけはありますが)。youtubeで「ゲンコツ 割り方」とか検索すれば出てきますが、あんなめんどくせえことするくらいなら、豚の頭を丸ごと寸胴に叩きこんだ方がよっぽど楽です。豚の頭なら、割るのは頭骨を一回だけで済みますからね(やらなくてもいいです)。ちなみに、キッチン内でゲンコツ割ろうとするとキッチンが割れかねないぞ、気をつけろ。

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