ブリンの脱走事件
スマホが鳴った。11時前の中途半端な時間、なんだろうと手にすると長女からだった。その声は少し悲しげに踊っていた。それもそのはず、我が家のワンコのブリンが行方不明、どこにもいないと。
やる気なしのフレンチブルドック
ブリンはオスのフレンチブルドック。一応、犬である。7歳になったのだろうか。犬としての自覚がないというのか、犬を代表して精いっぱい生きているという気持ちも微塵もない。ただ、なんとなく生きている。
基本的にやる気がないのだ。
毎日が楽しくてしょうがないという様子もなく、けして悲しいという態度も見せない。エサを食べる時だけ妙に元気で、あとは基本的に寝ている。年齢に関係なく女性が好きで、散歩中に女性とすれ違うと妙に喜ぶ。
恥ずかしながら飼い主に似ている。 (笑)
それは突然に
家の1階、南側に小さな庭がある。窓を開ければ、そのままベランダが続くので、ブリンにとってはまさに自分の庭である。なので朝食を食べたりすると、ルンルン気分でベランダに出てはゆっくりとオシッコを涼しげな顔してするのが日課なのだ。
オシッコが終わるといそいそと部屋に戻ってくる。犬のくせに引きこもり系なのであるから、はきだしのベランダと言えども外になるので、すぐ家に引き返すというわけである。
まったくもって根性もない。
ところがである。その日はベランダにちょっと出たついでにどこかに消え失せてしまったのだ。そんなアクティブな行動およびチャレンジ精神はまったくないので、何を思ったのかよくわからない。しかも、どこから外へ出たのかその脱出方法もわからぬまま。
とにかく突然消え失せたのである。
110番
ことの顛末を後に長女からの報告で明らかとなった。困り果てた長女はダメ元というよりも思わず110番をしてしまった。110番の担当者および関係者、はたまた地域の皆さまにこんなことで110番をしてしまったことをお詫びするも、担当の方が丁寧に近くの交番の連絡先を教えてくださった。
頭が真っ白になりながら、ほかに打つ手もなく教えていただいた交番に連絡する長女。すると、交差点を横切る首輪のないフレンチブルドックに驚きつつ、すぐさま確保してくれた方から連絡があったと教えていただいた。
なんとブリンを確保してすぐ交番にその事実を伝えてくださっていたのだ。
女だ!
なにごともやる気のない我が家のブリンであるが、なにかがベランダの柵を乗り越え、塀のちょっとした隙間から外へと出るエネルギーを与えたのだ。なにがその引き金となったのか!?
「それは女だ!」と、迷わず思った。
日頃から年の功は20代後半から30代前半の、まだまだ若さあふれる女性が我が家のブリンの好きな女性のタイプであるとうすうす知っていた。飼い主代表のこの私はというと、30代後半から40代前半、いや時と場合によっては50代前半でもいける。
このへんが人間代表の飼い主の私とワンコ代表のブリンの微妙に違う女性のタイプなのである。それもそのはずである、生きている年齢が7年とまもなく60年を迎える男と違って当然である。
しかしなのである。
女性の前で見せるそのやる気を日ごろ見せてもらいたいものだと、ブリンのとぼけた顔を見ながらつくづく思ったのだが。私の顔を見上げるブリンも、どうやら同じように思ったのかもしれないとふと。
このオヤジ女性の前ではやる気を見せるのに…。
(こちら、marusblog記事のご紹介です) (;^ω^)
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