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「What A Wonderful World(この素晴らしき世界)」ルイ・アームストロング <あの名曲を日本語で歌ってみる>

ディキシーランド・ジャズで、もっとも知名度の高いミュージシャン、トランぺッターのサッチモことルイ・アームストロング。1967年、彼が60歳をとっくに過ぎてから吹きこまれ、世界的なヒットになったのが、この曲。若い時の力強いトランペットならず、枯れてしわがれた渋いヴォーカルが、唯一無二の味わいになっている。

たぶんディキシーランド・ジャズのことはあまり知らなくても、この曲なら、だれでもどこかで必ず聞いたことがあるはず。まさに名曲と呼ぶのに相応しい。

この曲がリリースされた1960年代後半は、アメリカ国内でもベトナム反戦運動が激しくなっていた時代だ。G・ダグラスは、そのベトナムでの惨劇を嘆くように、この曲をつくったのだといわれている。

日本でも、たくさんのテレビCMに使われて、カバーも無数に存在している。わかりやすいメロディ、簡潔な歌詞、それでいて奥行きを感じさせる、ポピュラー・ミュージックのヒット曲に必要・十分な要素を備えた典型的な楽曲ともいえる。

テレビCMで、頻繁に流れていた当時、たしかに耳につくキャッチーな曲にちがいないけど、自分としては、しわがれ声の爺さんにわざとこんなのを歌わせるのは、いかにもあざとい気がして、なんだか、ずっぽりコマーシャルな音楽だなあと思っていた。

いや、しかし、若気の至りというのか、そんなふうに、はすかいからものを見るんじゃないかもなあと、老年にいたって気がついた。コマーシャリズムに乗っているかどうかなんて、どうでもいいことで、いいものはいいと、そう素直に認めるべきだなと。

若い時は、というか、いや、年齢とは関係ないんだろうけど、はすかいからものを見るのがカッコいいと思える感性ってのはあるかもしれない。いまの時代は、もうコマーシャリズム批判なんて、とっくに時代によって淘汰されたのだろうけど、1970年前後にはまだそういうのが、もっともらしく世間に流布していた。

もちろん、いまの時代は、はすかいからものを見る人がいなくなったのか、というと、そういうわけではないだろう。はすかいから見る、その角度のつけ方が、数十年前とは変わってきたというだけだと思う。

自分も歳をとったし、時代も変わったし、いろいろなことがあったわけだけれども、あらためて聞いてみると、うん、やっぱりいい曲だなあ、と思う。オーネット・コールマンなんか一生懸命聴いていた時期もあったけど、いや、オーネット・コールマンはいま聴いてもいいと思うけれど、こういう曲もいいよなあ、と思うようになった。

偉大なミュージシャンはみな、音楽にジャンルはないと言っているけれど、たしかに。コマーシャリズムに乗っていることを、ちょっとバカにしていた自分を、いまはすこし反省しますね。

「What A Wonderful World(この素晴らしき世界)」
作詞・作曲:G・ダグラス、ジョージ・デヴィッド・ワイス

きらめく みどりに
真っ赤なバラ
花は開く きみとぼくのために
それで想うんだ
世界は こんなに 素晴らしい

青い空 白い雲
昼の輝き 夜の深さ
それで想うんだ
世界は 素晴らしい

七色の虹が 空にかかり
行き交う人の 顔が輝く
友は手を取り やあ元気かい
その ほんとうの意味は 愛している
いま泣く あかんぼうが
大きく育つと
ぼくたちよりずっと
たくさんを 知るだろう
だから想うんだ
世界は やっぱり 素晴らしい

想うんだ 世界は こんなに 素晴らしい

What a Wonderful World
by George David Weiss, George Douglas, Bob Thiele

I see trees of green, red roses too
I see them bloom for me and you
And I think to myself what a wonderful world.

I see skies of blue and clouds of white
The bright blessed day, the dark sacred night
And I think to myself what a wonderful world.

The colors of the rainbow so pretty in the sky
Are also on the faces of people going by
I see friends shaking hands saying how do you do
They’re really saying I love you.

I hear babies crying, I watch them grow
They’ll learn much more than I’ll never know
And I think to myself what a wonderful world
Yes I think to myself what a wonderful world.

What a Wonderful World


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