「…れば」
米国人記者がウクライナでロシア兵士の凶弾に倒れた。
避難民の取材に向かう途中、銃撃を受けて死亡した。
一緒にいた写真記者も銃弾を受けたが命に別状ないという。
自身記者生活40年で唯一学んだことがあるとすれば、「絶対に死んだらダメだ」ということ。
記者、特に写真記者は現場に入ると必ず無理をする。
「もう少し」
その〝一歩〟がスクープを取れること、絵になることを知っているからだ。
現場で、
「後1メートル先に脚立を立てれば」
「あの崖を登れば」
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いろんな「…れば」を身をもって体験してきた。
その度に「生きて伝える」を心に言い聞かせてきた。
なのに、今回また悲劇が起きた。
「この車に乗れば」
世界で戦争、紛争が起きると、戦場カメラマン、記者が現地に入る。
そして、在テレビ局などで一斉にリポート合戦を繰り広げる。
「身の安全を確保して安全に取材に当たってください」
ワイドショー、ニュース番組の司会者が最後に付け加える。
戦場に安全なんてないのに…。
現地に入るジャーナリストは全て自己責任だ。
時代は変わった。
一昔前は、戦場記者、カメラマンが伝える一言、一枚でしか事実を知る術がなかった。
今は、SNSが主流だ。避難民、兵士が生の写真や動画をリアルタイムで投稿する。
それでも、戦場記者、カメラマンは「ピューリッツァー賞」を目指して、
〝一歩〟に命を賭けているのだ。
それでもやはり、生きて伝えないとダメだと思う。
常に心にブレーキをかけられるジャーナリストが一番勇気のあるジャーナリストだと思っている。
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