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第一話「社会的弱者ー石ころを川に並べるだけの人生だった男ー」

タイムラインをスクロールしていると、とある嘆きツイートが流れてきた。どうやらその男は、「在宅ワークでスキルなしで誰でも稼げる副業」を教えてくれるという話に釣られ、46万円を支払ってしまった様子。しかし教えてもらえたのは実現性のない、スカスカな情報だったという。

いわゆる情報商材詐欺だ。

詐欺に騙される人間は相当なバカだ。普通に生きていれば、まずおいしい話はないと分かる。本当に稼げるノウハウが存在するのであれば、それをわざわざ赤の他人に親切に共有するアホはいないと、誰もが気付くからだ。

しかしそれでも詐欺は減らない。カモはいつの時代でも一定数湧いて出る存在だからだ。

カモになりうる社会的弱者は、何の努力もせず、一握りの成功者しか知らない魔法のようなおいしい”秘密”があると思い込んでいる。その秘密さえ知れれば一瞬で富を得られるのだと、心の底から信じ込んじまっている。その「幻想」をいつまでも夢見て、おいしい話が舞い込んではカネを支払い続け、失い続けるのだ。そうして何もかも搾り取られ、最期に初めて気が付く。「自分は騙されていた」のだと。そして誰にも看取られぬまま、死ぬ。

数多の哀れな屍の山の上に、詐欺者の暮らしは成立しているのだ。

「バカだなぁ」

とつぶやこうとした瞬間、喉から出かけたその言葉を飲み込んだ。

かくいう俺も、とある市場においては紛れもない「カモ」だったからだ。

may be continue(もしらす)..


次回:麻雀で46万円を失った男の話

お財布の中身がたりんちゅしていて死にそうです