THE TEAMを読んで
『THE TEAM』を読んだ。
昔、地球上には6種類の人間がいて、現在生き残ってのは我々ホモ・サピエンスだけだ。そして、能力が一番劣っているのもホモ・サピエンスだった。それではなぜ生き残れたのか。それは集団の力を使ったからだ。
最近だと、リオデジャネイロオリンピックで銀メダルを獲得した日本の400mリレーなども挙げられる。個々の力では絶対的に劣る日本チームだったが、バトン受け渡しの技術などチームの力をあげることでアメリカなどの強豪国に勝つことができた。
このように人は1人よりも集団の方が力を発揮できる。その力の発揮の仕方を書いているのがこの『THE TEAM』だった。
法則は5つに分けられる。それぞれをまとめていきたい。
①Aim(目標設定)の法則
チームは目標を見据えて動いている。その目標を適切に設定するのが良いチームだ。では、その適切な目標とは何を指すのか。
目標設定のレベルは大きく3つに分けられる。①行動②成果③意義だ。
これらの目標設定には、それぞれメリット・デメリットがあり、チームメンバーの能力、思考、行動力によって変わる。
アクションの分かりやすさ
大 行動目標 ⇒ 成果目標 ⇒ 意義目標 小
ブレイクスルーの起きやすさ
大 意義目標 ⇒ 成果目標 ⇒ 行動目標 小
また、時代変化のスピードが速くなるとともに、これらの重視される目標は 行動目標⇒成果目標⇒意義目標 と変化してきた。
そして今、意義目標に基づく「OKR」が普及し出している。
今の時代、意義目標をすべてのメンバーが意識し、自発的に行動し、成果をあげるチーム作りが求められている。
②Boarding(人員選定)の法則
メンバー選びはチームにとって、最も大事なことである。ここで間違えるとチームは全くうまく働かない。ではどのようにメンバーを選定すればよいか。それはチームの置かれている環境や、取り組む活動によって変わってくる。
『THE TEAM』ではチームを4つのタイプに分けている。「環境の変化度合」と「人材の連携度合い」の2軸の掛け算だ。
「環境の変化度合い」によって、メンバー選びは入口と出口のどちらにこだわった方がいいかが変わる。小さければ、入口にこだわった方がよい。大きければ、入口のハードルを下げて、パフォーマンスをあげていないメンバーには去ってもらう。
「人材の連携度合い」が小さければ、似たタイプの能力を持ったメンバーを集めた方がよい。大きければ、異なるタイプの能力を持ったメンバーを集めた方がよい。
なお、人員選定のトレンドは流動性・多様性のあるチームに移ってきている。
③Communication(意思疎通)の法則
コミュニケーションは多ければ多いほどいいのかというと、そうでもない。
コミュニケーションを沢山とることはエネルギーがかかることであり、取れば取るほどいいというものではない。
それを最適化する仕組みに「ルール」があり、Boadingの放送で示した4つのタイプに従いルールの設計について考えると、以下になる。
ルール1 What:ルールの設定粒度
人材の連携度合いが大きく、環境の変化度合いが小さいほど、ルールは多い方がよい。
ルール2 Who:権限規定のルール
人材の連携度合いが大きく、環境の変化度合が小さいほど、チームで(リーダーが)決めた方がよい。
ルール3 where:責任範囲のルール
人材の連携度合いが大きく、環境の変化度合が大きいほど、チーム成果に責任を負う方がよい。
ルール4 How:評価対象のルール
人材の連携度合いが大きく、環境の変化度合いが小さいほど、プロセスを評価した方がよい。
ルール5 When:確認頻度のルール
人材の連携度合いが大きく、環境の変化度合いが大きいほど、確認をおおくした方がよい。
次は効果的なコミュニケーションの取り方だ。
『7つの習慣』で紹介されている習慣の一つに「理解してから理解される」というものがある。特徴を理解して相手に合わせた文脈で伝えることで感情を動かすことができる。
また、メンバーが積極的な発言や行動をするために必要な考え方に「心理的安全」というのがある。
心理的安全に支障をきたす原因は、4つに分類することができる。
①無知だと思われる不安
②無能だと思われる不安
③邪魔だと思われる不安
④批判的だと思われる不安
これらの不安を取り除く環境をつくることで、積極的な行動や発言を生み出しやすい場をつくることができる。
④Decision(意思決定)の法則
現実は意思決定の積み重ねでできている。今この文章を書いているのだって、『THE TEAM』を読んでnoteを書こうと思ったから書いているのであって、そこに何か違う意思決定が挟まっていたら書かれていない。
では、どのようにすれば適切な意思決定ができるのか。
チームの意思決定には3つの方法がある。
①独裁 ②多数決 ③合議
これらにも、メリット、デメリットは存在する。
納得
低 独裁 ⇒ 多数決 ⇒ 合議 高
時間
短 独裁 ⇒ 多数決 ⇒ 合議 長
このうち合議はどうすればスピーディに意思決定をできるのかを考える必要がある。また、本書で紹介されている方法にKT法ものがある。
KT法とはアメリカの空軍を研究し、優れたスタッフ共通した思考プロセスを示したものである。
KT法は「状況把握」「問題分析」「決定分析」「潜在的問題・潜在的好機分析」の4つで構成される。
そのなかでも、決定分析は複数の選択肢の中から最適案を決定するプロセスである。
決定分析では、選択肢を選ぶための基準を出して、その選択基準に優先順位をつけることを明示している。これを行うことでスピーディな合議ができる。
また、決断は強く、速くする必要がある。そして、決めたら着実に実行し、正解にする努力が必要である。
⑤Engagement(共感創造)の法則
たとえプロであっても、すべてのチームはモチベーションに左右される。
ではメンバーのエンゲージメントを高めるにはどのようにすればよいか。その方法として4つのPが紹介されている。
Philosophy(理念・方針)、Profession(活動・成長)、People(人材・風土)、Privilege(待遇・特権)の4つだ。
チームのエンゲージメントを高めるには、4つのPのどう高めるか。自分がモチベーション高く活動するために、4つのPのうちどれに魅力を感じるかを明確にする必要がある。
そして、エンゲージメントという観点から投資対効果を高めるには、4Pのうちのどれをチームの一番の魅力にするか定めて、そのPをエンゲージメントの源泉にするメンバーを集め、そのPに絞って魅力を高めることが重要だ。
また、エンゲージメントには方程式がある。
エンゲージメント=報酬・目標の魅力(やりたい)×達成可能性(やれる)×危機感(やるべき)
この方程式を満たすことで、チームのエンゲージメントを高めることができる。
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