現代人が悩む、つながり

森美術館の現代アート展に行ってきた。テーマは、つながり。
今の世の中、リアルだけでなくSNSでのつながりも増えてきて、一見すると昔より繋がりが密になっているように思える。しかし、つながりが多様化する一方、少しでも共感が得られない者とは繋がらない細分化、分断化も起きている。外からはつながりがあるように見えても、当の本人は孤独を感じているという場面も増えている。

そんな作品を観ながら、つながりとは何かを考えた。

現代人が悩むつながりとは、心のつながりだろう。物理的なつながりは確実に近くなっていると思う。地球の裏側にも1日あれば行ける。インターネットや電話があれば遠くの人とも簡単にコミュニケーションがとれる。テクノロジーの進歩で私たちは確実に近くなっている。

では、心の心のつながりとはなにか? 隣にいる人とでもつながっていると思えないときもあるし、親友とは全然会っていなくてもつながっていると思える。その違いはなんだろう。

心のつながりとは、その人自身をどれだけ受け入れるかだと思う。自分の深い部分まで見せられる安心感だ。どのような特徴の人でもよい。真面目でも、破天荒でも、明るくても、シャイでも、ありのままを受け入れてもらえれば、心も楽で安らぎを得られるだろう。本当の自分を受けいれてもらえるという安心感だ。

人は意識的にも、無意識的にも、心にバリアを張っている。この人にはここまで見せても大丈夫そうだから、ちょっと心を開く。少しずつ自分を開くことを繰り返して、心のつながりを深めていく。自分の深い部分まで知って受け入れてくれる存在につながりを感じるのだろう。

受け入れるのは、現在だけでない。過去や未来も受けいれる必要がある。生まれてから死ぬまでどう生きるか、人生の時間軸を本能的に考えていると思う。過去は実際に自分に起きたことだし、未来は当事者意識が持てる事柄だ。

その人の人生全てを受けいれる。

その中で、どれだけ深く広く自分を理解して受け入れてもらえるか。そういう人に心のつながりを感じるのだと思う。

人は一人では生きていけない。それは、古代からそうだ。もし人が協力しなければ、マンモスなど人類より身体能力に優れた動物に簡単に滅亡させられていたに違いない。それを人類は協力することで乗り越えてきた。今、この生活があるのも、過去の人が協力してきた歴史があるからだ。

今、地球史始まって以来と言ってもいいほど世の中は変わっている。人生100年を考えなければいけない時代。見えない人とも繋がれる時代。過去のどんな人類よりも、長い期間、沢山の人と関わりあう時代だ。その中で我々はどう生きるのか、考えていかなければならない。

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