ハイキュー!!を読んだ

ハイキュー!!とは、高校バレーの青春物語。
主役は烏野高校。5年前に一度全国大会に出場したが、その後は低迷を続ける高校だ。この高校が努力の末、春高に出場して躍動する過程が描かれている。

弱者が強者を倒して成長していく。王道のストーリーだ。では、なぜここまで人気があるのか。

まずキャラ設定がしっかりしている。
主人公の日向は前回烏野高校が春高に出た時に小さな巨人と呼ばれていたエースに憧れて入学してきた身長164cmの小さな男の子だ。そして、中学の時は試合にも出られないくらいの弱小バレー部で、日向自身も初心者同然だった。しかし、烏野高校に進学して、メキメキと力をつけていく。その過程で、普通の人ならへこむ場面が沢山でてくる。小さくて技術もないのだから。
しかし、日向はそんなことで後ろ向きにならない。常に向上心に満ち溢れて、前を向いて進む。ポジティブすぎるくらいポジティブだ。
くわえて、日向のようにポジティブ設定されているキャラがいる。烏野高校でいうと、菅原や田中、西谷だ。体格も技術も抜きんでたところがなくて、試合中に狙われることもあるし、スパイクをことごとく止められたり、3年が1年にレギュラーを取られたりする。そんな劣等感が襲ってきそうな場面でも、ことごとく明るい。明るく現状を打破していくのだ。

上にあげた人たちが陽なら、陰のキャラもしっかりしている。
例えば、日向のライバルの影山。中学時代は王様と呼ばれる県内屈指のセッターだった。しかし、本人は王様と呼ばれるのを嫌がる。なぜかというと、王様とは唯我独尊の裸の王様という意味だったからだ。高校入学直後も自分一人でバレーができると思っていた。しかし、日向と出会い、烏野高校バレー部に出会い変わっていく。表向きには、明るい部分を見せないが、しっかりと人間的成長をしていく。
同じくチームメートの月島もだ。人並み以上に頑張ろうとしない色々なことに斜めに構える少年だったが、バレー部での活動を通して、努力することや今まで決して勝とうとしてこなかった才能ある人間にも冷静に勝てるポイントを見定めて戦っていく。そんな変化を見せた。エース東妻もだ。以前、試合でブロックされまくってへこんで休部したり、色々な場面で精神面の弱さを見せるが、その弱さと向き合い戦いながら、ひたすらスパイクを打ち込んでいく。
そんな陰のキャラも静かに変化を遂げていく。

そして他校のライバルたちも同じようなキャラが多い。ひたすら明るい木兎や、静かで運動嫌いな雰囲気を出しながらも日向との勝負を楽しみに狐爪などだ。
読み進めていくと、明るかったり暗かったりそれぞれのキャラ個性を出しながら、成長していくストーリーを読める。

そしてハイキュー!!は爽やかな場面が多い。スポ根で努力する場面も多いが、その中にも悲壮感はない。しっかり目標を見据えて、前向きに努力している姿が描かれている。そのため読んでいて、心が暗くなる場面はなく元気になることが多い。普通の県立高校の烏野がそんな短期間で全国までいけるまで変わるのかと思うが、選手たちの変化を恐れないところや日向に引きずられてメチャメチャポジティブなところを見ると、この変化も奇跡ではないと思えてくる。

大人たちが一歩引いたところから見守っているのもいい。顧問の武田先生はバレー未経験者だが、熱意で鵜飼コーチを招集したり、関係が途切れていた古くからのライバル音駒との関係を復活させたり、一人の人間として生徒と向き合い名言を連発する。
鵜飼コーチも生徒を尊重しながら、適切なアドバイスをしていく。
そんな大人たちの力も借りながら、高校生たちが成長していく。

ハイキュー!!は王道のストーリーを描きながら、高校の部活の爽やかな部分を描いている。そんな話だと思う。

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