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ネットメディアのいい加減さについて

※本記事は統計学勉強中の素人が考察している記事です。誤りがあれば優しくご指摘いただければ幸いです。

こういう記事これから増えるだろうな。

上記のような記事がこれから増えると思いますが、筆者の方はイギリスに住んでいて、

3月の終わり、私は「このままでは日本もイギリスやイタリアのようになってしまう」という警告を含んだかなり厳しいコラムを書いた

方です。これについては、

喜ばしいことに、私のパニックじみた予測は大きく外れましたが、

と認めておられるので、全く問題は無いと思います。たしかに当時のイギリスにいれば恐怖心に駆られたことでしょう。で、その理由を

これは様々な制約がある中で、日本の皆さんが、何よりも外出を「自主的に」控え、衛生を徹底する努力をし、日本政府や日本の感染症の専門家の方々が、日本の国情や国民性にあった施策をとったということです。

と、されています。また、日本がイギリスに比べてコロナ被害が少ないことについて、

「私は日本出身です。イギリスの人々の行動を見ていたら、これは納得できる結果です。イギリスでは誰もマスクを付けていないし、手洗いうがいもしない。土足で建物の中に入るし、自己中心的で個人主義、トイレや公共の場の衛生状況はひどく、CTスキャンやMRIが少ない。政府の対応も遅い」

とツイートしたそうです。

2国だけ較べると、たしかにそう見える部分があると思います。

では、仮に「公衆衛生レベルが高いから日本の被害は小さかった」と仮定しましょう。

数値化できませんが、今まで僕が15カ国ほど訪れた国の中に日本より清潔な国はありませんでした。

例えば、ベトナムやカンボジアは正直いって衛生面は日本より環境が悪いと思います。(僕は2ヶ国とも大好きですよ念の為)

ところでこの両国。コロナでの死者は「ゼロ」です。

そもそも欧米各国とアジア各国の間で大きく被害が違うので、「何らかの別の要因」の存在があると考えるのが自然で、統計学者などの間では随分前から研究がされてきました。

BCGやHLA型などが有名な例です。

おかしいと思ったので、twitterで著者の方に、ベトナム、カンボジアの死者がゼロなのをどう解釈すべきか尋ねたところ、なんと速攻リプをくれました。回答は、

わかりませぬわ

でした。

ブロッコリーを食べると血中脂肪が増える?

さて、最近勉強中の統計学に少し寄り道しようと思います。

データから原因と結果の関係を明らかにすることを、「因果推論」と言うそうです。

実際のデータとして、ブロッコリーの消費量が上がると、血液中の脂質が上がるという、相関関係が観測されたそうです。これをみて、

ブロッコリーって油っこいんだ!!

となってしまうと、先程の記事と同じになってしまいます。野菜であるブロッコリーに血中脂質を上昇させるほど油が入ってる訳ありませんよね。

ここでも、何らかの別の要因があると考えるのが自然で、この場合はブロッコリーを食べるときに多くの人がつける「マヨネーズ」の存在でした(笑)

バカみたいな話ですが、実はこの手の話は昔から良く言われていて、

「む、犯罪の少ない街は警察官が少ないな。じゃあ警察官を減らそう!」

と言って犯罪が減るわけで無いという、因果の方向性という問題の場合もあったりして、すごく面白いです。因果推論。

なんでそんな記事が生まれるのか考えてみた。

これは統計学ではありませんが、かつてベストセラーになった「ヤバい経済学」では繰り返し、

「人はインセンティブにしたがって動く」

としています。「得することをする」という意味です。さて、ネットメディアの売上はどこから生まれているかご存知でしょうか。

PV(ページビュー)です。(他にもありますが)

「日本人が頑張ったおかげでコロナの被害が欧米より小さかった!!」

といえば、日本人が喜んで読んでくれて儲かるから、こういう記事を書いているわけですね。

データも示さず、統計学的な検証もせずに、掲載するわけです。

もしかしたらライターへの発注に「日本の自粛を褒める記事を書いて」も含まれてたりするのかもしれません(完全な邪推です)

ちなみにこちらのツイートは早くからBCGとコロナの因果関係について研究されている脳科学者の方ですが、

とされています。

「客観的数値の提示なく受け入れられているのが不思議」

まさに同感でした。

日本の人口あたりの死亡者数はたしかに欧米よりだいぶ小さいですが、アジアではむしろ高いほうです(誤差のようなちいさな差も含めてですが)

それでも、「公衆衛生レベルが高いから日本の被害は小さかった」と言えるのでしょうか。

なお、Miyakawa氏もおっしゃっているように、本稿は自粛や公衆衛生がコロナ被害防止に効果が無いと言ってるわけではありませんので念の為。

引き続き勉強を続けていきたいと思います。


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