産経新聞出版「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」を扱う書店への脅迫メールに抗議します
２０２４年（令和６年）３月３０日
声 明
女性スぺースを守る会
共同代表：山田響子/野神和音/森谷みのり
１ 本日、産経新聞出版が４月３日に発行予定の翻訳本「トランスジェンダーになりたい少女たち SNS・学校・医療が煽る流行の悲劇」に関して、同書を扱う書店への放火を予告する脅迫メールが、産経新聞に届いて同出版に伝えられ、また複数の書店にも同様のメールが送られているとのことである。同出版は、威力業務妨害罪で警視庁に被害届を提出したと報道されている。
そして、既に大規模書店の丸善ではこの脅迫のためにこの書籍を扱わないという状況になっており、類似の対応をする書店が続出することが予測される。
２ 表現の自由は、政治が誤った選択をしないために確保されるべき民主主義の前提となる国民の「知る権利」に尽くすものとして、極めて重要な基本的人権である。
同書は、性自認至上主義の立場から「差別本だ」と読みもせず具体的な指摘もしないままに批判する勢力があって、別の出版社が出版をその直前に取りやめたところを、この問題に慧眼をもって報道している産経新聞の出版社により発行されるところだった。
それが今回、かかる違法性の著しく高い脅迫事件にまで発展し、まさに表現の自由が危機に瀕している。
３ 性自認至上主義、クイア思想（「あらゆるセクシュアリティ」の承認）の研究者で、この問題のオピニオンリーダーである清水晶子東大教授は「討議や対話を拒絶することこそが生き残る戦術になる」などと述べてきた。
また当会の活動について生じた名誉毀損訴訟の被告である劉靈均氏や村田峻一氏及びその代理人である神原元弁護士は、当会を「トランス差別団体」と今も言い連ねるばかりで、差別団体との議論には応じるべきでないとしてきた。
このような自らの考えを「正義」と確信し、疑義を言う者との議論もせず強圧的に対峙するばかりの姿勢こそが、著しい違法行為までする輩を生み出してきたと見られる。
４ 当会は、来たる４月２３日の午前１０時３０分から、横浜地方裁判所で上記劉氏との名誉毀損の裁判の最終弁論を控えている。今、このような事態となり、陳述のために出頭する当会代表はまさに命がけの覚悟をしなければならないものとなった。
またその陳述を聞きたい人、裁判の様子を知りたい人もますます傍聴に来にくくなってしまった。裁判の公開原則の実質も、裁判を受ける権利も危機に瀕している。
５ 表現の自由は、民主主義の前提としての「思想と情報の自由な市場」における生命線である。国家による検閲はもちろん、決してこのような違法行為によっても侵害されてはならない。
すなわち、今回の脅迫行為は、明白に国民の知る権利・民主主義を崩壊させる「政治テロ」である。それも取り扱いをやめる書店が出てしまっているから、それが成功しつつあるというべき状況でもある。
どのような見解を持つ方にあっても、決して許してはならない事態である。
６ この政治テロの悪影響を止めるには、次の４点が必須である。各者、各団体に強く求める。
第１に、警察は早急なる徹底捜査の上で犯人を検挙し、司法は厳重なる処罰をされたい。同出版社と各書店につき相応の警備を実施されたい。
第２に、性自認至上主義に対して疑義を言う当会などに対して、トランス差別だ、差別団体だなどとレッテル付けをしてきた論者・団体は、直ちにこれをやめられたい。
第３に、この書籍につき非難してきた論者や団体、また当会を差別団体だなどと非難してきた方々は、ここまでの違法な脅迫行為をする輩に対して、厳重な非難声明を早期に出されたい。それさえ出さないようでは、このように違法行為までも容認している思想運動だと認めたものだという外はない。
第４に、出版業界はもちろん、新聞、放送局またネット報道をする方々や団体、そして様々な法律家団体は、直ちにこのような違法行為についての非難と厳重なる捜査を求める声明を出されたい。
また、各書店はこれにひるまず、国民の知る権利に尽くすために同書の取り扱いを是非とも続けられたい。インターネット販売の巨大な外国資本が市場を席巻する中、国内の書店各位は多大な営業努力をされていることと想像する。従業員や関係者の安全確保は最優先とした上で、今後も文化と思想の砦として、誇りを持って同書を取り扱うよう切に望む。今回の事件はなぜ起こったのか。敵を見誤ってはならない。
今、民主主義の基盤が崩されるかどうかの瀬戸際である。
今、一人ひとりの日本国民には、日本国憲法第１２条「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」を実践するかどうかが、問われている。
以 上
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