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裁判所の暴走を止めないと 抗議要請書を出しました―2023.10.11付静岡家裁浜松支部の決定について― 

10月12日夕方、静岡家裁浜松支部で、特例法のいわゆる手術要件を違憲と判断し、生殖腺の除去手術などないままに女性から男性への法的性別を変更することを認めた決定が出たとの報道が流れました。
 その審判書は、こちらのPDFのとおりです。

 当会は本日、同裁判所あてにも下記の通りの「抗議要請書」を出しました。PDFはこちらです。

抗 議 要 請 書

2023年(令和5年)10月13日

静岡家庭裁判所浜松支部
裁判長裁判官 関口剛浩 殿
裁判官 木地寿恵 殿
裁判官 島田真人 殿

女 性 ス ペ ー ス を 守 る 会 

抗議要請の趣旨

この10月11日付の性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律に基づく性別の取扱いの変更申立事件(令和3年家第335号)の審判決定につき強く抗議する。
国から参加申出があったときはこれを認め、その抗告を適法なものだとして取り扱うよう求める。

抗議要請の理由


1 10月12日夕方、御庁で、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律のいわゆる手術要件を違憲と判断し、生殖腺の除去手術などないままに女性から男性への法的性別を変更することを認めた決定が出たとの報道が流れた。報道によれば本人は現在48歳とのことであり、その卵子により「生物学的には母親となる男性」になる可能性も、子宮により「産みの母親となる男性」となる可能性も未だある。
御庁は、最高裁大法廷で手術要件が違憲かどうかなど審理されているのに、それを見据えて判断しようとするのではなく、ここで決定を出した。家裁も違憲だと考える法律を適用する義務はないから違憲判断ができるが、御庁はこの段階であえて出したとも思われる。

2 「男性から女性へ」ではないから、「男性器ある女性」が出現することとなれば女性スペースが危うい、性犯罪目的の男までが同様にしてくる可能性がある、ということはない。しかし、特例法の解釈として大きく論理を変えられる筈もなく、強く影響する。
御庁の決定は、現在、判例となっている2019年1月の最高裁小法廷での決定「女性から男性へ」と同じであり、明確に判例とは異なった判断を出したということとなる。
内容も問題だらけである。
審判書の11頁下から4行目には「医療界において、安易に性同一性障害の診断がされていることをうかがわせる証拠はない」との記載まである。残念ながら1日診断さえもあることは関係者間に周知の事態であるから、非常に問題である。「証拠はない」というが申立人側に不利な証拠であるから申立人側が提出するはずもなく、相手方がない審理なのであるから誤まった表現である。
審判書の13頁以下では、世界保健機構(WHO)、国連人権高等弁務官、日本学術会議、GID学会らの状況を無批判に記載している。申立人側の主張そのままであろう。逆にこの数年間の先行した国々では女性スぺースでの事件など大きく混乱していること、イギリスが正常化に舵を切ったこと、米国では州により大きく方向性が異なり混乱していること、国際水泳連盟や世界陸連で女子スポーツ選手権の参加資格につき、大きく変更したことなどを知らないからか、検討しないままの決定であることが明確になっている。
審判書の15頁では、この6月の「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(以下「理解増進法」という。)の成立をもって、家庭裁判所の当該判断を含めて理解されていくがごとく記載している。
しかし、理解増進法は「性の多様性」についての理解の増進であって、「性別が多様である」とかその理解の増進の趣旨は一切示されていない。成立した法案を企図した議員らにあって、特例法の手術要件が理解増進法の趣旨からすると抵触するかもしれないとかも検討を要するといった説明も議論も一切ない。理解増進法は、特例法と矛盾しないものとして成立したのである。したがって、御庁のこの考え方は、理解増進法の趣旨を誤解または歪曲しているものと言う外はない。

3 このような審判内容の失礼ながらあまりのお粗末さから、通例は相手方が、最高裁判例と異なるとして当然高等裁判所に上訴してくるものであるが、上訴する人は今、いない。相手方がおらず、申立人側の主張立証のみの場にて御庁は判断した。名前や氏の変更と同じく、特例法に基づく性別取扱いの変更の裁判は、国などを被告とするものではないから適法ではありこのまま確定する可能性が高いものではある。制度上の欠陥である。
しかし、最高裁判所はもちろん、家庭裁判所がこのような状態のままに違憲とする判断をして良いはずもない。いやしくも法律、それも2003年(平成15年)当時、全会派一致で成立した法律の中核的な部分について違憲かどうかを判断するという重大問題であるのに、相手方がいないことから何らの反論もなく、国が関与しないままに判断されて良いはずもない。
それは、違憲立法審査権を規定した日本国憲法の予定を超えるものであるばかりでなく、法律を定め国権の最高機関である国会の権威を軽視しており、司法の暴走と言う外はない。

4 家事事件手続法の参加規定は国が利害関係人として参加することを予想した条文ではないが、それを禁止する規定もない。最高裁の事案は既に9月27日、大法廷での弁論がされてしまったがまだ決定は出ていない。御庁の事案は10月11日に審判を下しており、高裁への抗告(上訴)ということとなるが、その前提として今から参加申出を認めることができるのかという論点までもあるが、現在の判例に反した決定をこのまま確定させて良いはずもない。
よって、御庁は、国から参加申出と抗告状があった時はこれを有効なものとした直ちに対応すべきである。

ここに冒頭の審判決定につき強く抗議し、また国から参加申出があったときはこれを認め、その抗告を適法なものだとして取り扱うよう求める。

以 上

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