見出し画像

【トランス女性を「踏みつけ」にしてきた女性の原罪―性自認至上主義の本音】 斎藤貴男氏論稿 2023.10.25会見から―

 ジャーナリストの斎藤貴男氏の「リベラルによるリベラル批判」3回連続の論稿は、とても貴重だと思います。文藝春秋オンラインに登録すれば読めます。

1つ目 2023/07/09「リべラルによるリべラル批判」  文藝春秋 2023年8月号
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h6647
2つ目 2023/09/26「経産省トイレ裁判」が残した課題―現実味を帯びる「セルフID」制度導入とLGBT先進国の混乱
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7035
3つ目 2023/12/17 「トランス女性は不当に踏みつけにされているから違憲」最高裁“性別変更”決定で代理人弁護士が語った本音」リベラルによるリベラル批判 第3回
https://bunshun.jp/bungeishunju/articles/h7443

 この3つ目の論稿中の、吉田昌史弁護士による2023年10月25日の記者会見での発言が注目されます。この日、性別取り扱い特例法の生殖能力喪失要件を違憲とする最高裁決定があり、その会見中の発言です。斎藤氏は、【トランス女性を「踏みつけ」にしてきた女性の原罪】として、性自認至上主義を進める論者の本音が出ていると指摘します。
           ―――――――――――――――

「現実の世の中は、みんなが法律の条文をいちいち考えながら生きているのではないわけで。単にハードルが下がったと判断する人もたくさんいるんじゃないですか?」という斎藤氏の女性スぺースについての質問に対して、吉田弁護士は次のとおり回答しています。


「いまの件、女性のほうが不利益を被る社会にしろということかと言うと、別に、これ、切り取られても私は構わないんですが……。いや、そうです。草野意見(最高裁裁判官のうち5号についても違憲だとした)はそうだし、そうです。それは不当に虐げられてるからですよ。

5号が違憲とされるということは、すなわち不当にトランスジェンダーの人が、トランス女性の人が、生来の女性の人に踏みつけにされている・・・・・・と判断するから違憲なんです。なので、その質問に対するお答えはもうその通りです。

人権と人権がぶつかる時に、平穏に暮らしたいという女性、脅威を感じるという女性がたくさん、仮にいたとしても、それを守るために、その脅威を除去するために、虐げ……恒常的に抑圧されている人の状態を見た時に、どちらを優先するんですか? っていうのが人権。今の質問は、もう仰るように、その通りですよ」

 なお、草野裁判官の補足意見とは、下記の通りです。
※この草野補足意見を含めた最高裁決定文の全体は、以下リンク先にあります。https://note.com/sws_jp/n/ncdb9deeac5e7

(様々な対策により)以上を要するに、5号規定が違憲とされる社会であっても、「意思に反して異性の性器を見せられない利益」が損なわれる可能性は極めて低く、一方、この社会においては5号要件非該当者に性別適合手術を受けることなく性別の取扱いの変更を受ける利益が与えられるのであるから、同人らの自由ないし利益に対する抑圧は (許容区域への入場が無制限に認められるわけではない以上「完全に」とはいえないまでも)大幅に減少する。

 斎藤氏は、これを受けて以下のように記載しています。
「生来の女性にはトランス女性を「踏みつけ」にしてきた原罪があるのだから、一部の者が生贄にされるのも因果応報、自業自得ではないかと言っているように、筆者には聞こえた。トランスジェンダーが違和を感じる許容区域に入場することが、それほどまでに人格の根幹に関わるということなら、社会全体が等しく引き受けるか、難しければ別立ての枠組みを用意するのが道理ではないだろうか。生来の女性だけが一方的に犠牲を強いられなければならない理不尽を必然とするストーリーは、どこか歪んでいる。」と。

そして、吉田弁護士らの話を更に報告しています。

***********
この先は吉田、南両氏のちょっとしたやり取り。
南「いまのは草野さんの反対意見なんで。『南さん・吉田さんの意見です』っていうのは違いますからね。はい」
吉田「私の意見ですよ、私の」
南「いや……、もう、わかった……」
吉田「言われたっていいんです。そうやから。実際にそれは」

----------
当会は、吉田昌史弁護士の発言は、性自認至上主義からの率直な見解だと考えます。
「トランス女性の人が、生来の女性の人に踏みつけにされている」「脅威を感じるという女性がたくさん、仮にいたとしても、それを守るために、その脅威を除去するために、虐げ……恒常的に抑圧されている人の状態を見た時に、どちらを優先するんですか? っていうのが人権」という耳を疑うような意見です。
 女性スぺースは、身体男性から性暴力を受ける身体女性が圧倒的に多いがゆえに出来たものであることを棚に上げて、全体的な数の多寡によってのみ、女性がトランス女性を虐げており、トランス女性の方の利益が優先されるべきだ、とするのですから。また草野裁判官と同様に、「意思に反して身体男性に自らの体が見られない権利」の方はまったく考えていないのですから。女性スぺースを守るために、容易に男性が入れないようにする「制限」が、特例法解釈からすれば別の「法律」として必要なのに、それがないままに言うのですから。
 吉田弁護士の発言には、女性への強い嫌悪と侮蔑の感情さえも感じとれます。

 性自認至上主義の方から、このような率直な考えを聞けることはまずありません。
 今、疑問を示すと、論者から「差別だ」「ヘイトスピーチだ」と言われるばかりでした。疑問の声が他に拡がらないようにするためか、X(旧Twitter)にはブロックリストがあり、各界によっては疑問を出すと集中的な批判と排除があります(キャンセルカルチャー)。芸能人が素朴に女性スぺースの安心安全の確保を主張すれば、非難が集中します。批判的な書籍の翻訳本を出そうとした出版社には、非難が集中します。

今回、ようやく性自認至上主義の本質がその論者自身から明らかにされたと思います。
 この性自認至上主義の考えの本質に、どうぞ注目して下さい。


🏡noteの TOPページへ戻る
https://note.com/sws_jp
🏠「女性スペースを守る会」サイトへ戻る
https://womens-space.jp

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?