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最高裁弁論 傍聴記録-滝本太郎 2023.9.27

⭕️傍聴記録 2023.9.27

 本日9月27日、午後2時から最高裁大法廷で弁論。抗告人代理人の吉田昌史弁護士と南和行弁護士が計20分ほど、最高裁裁判官15人に対し陳述した手続きである。なお、抗告人代理人の陳述の中に、昨日9月26日、本人も来ての(非公開の)審問をしたとあった。
 最高裁大法廷の判断である決定の期日は、追って告知するとして言わず。年末になるか、いつかは不明。
 氏や名の変更と同様に「相手方」は存在せず。国はついに利害関係人としても参加申出しなかった模様。

 事件番号は、令和2年(ク)第993号「性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告」事件、原審判は岡山家裁平成31年(家)第438号、原決定は広島高裁岡山支部令和2年(ラ)第43号
 裁判所がネット上で表示かつ傍聴人に配布した資料は、下記写真の通り。

配布資料
抗告人代理人の弁護士2名のスケッチ©️女性スペースを守る会

 抗告人代理人は「性別のあり方が尊重される権利」、何者にも否定されない権利という表現を多用していた。それは日常生活で否定されない権利であり、他者に求めることが許されるとも述べた。そして、原決定のような機械的な適用(手術していないからと性別の取扱いの変更をしないこと)をすることは、裁判所がこれを侵害している、裁判所が抗告人に対し社会成果上の不利益を一生背負っていけというのと同じである、と。
 特例法3条1項の4号、5号には、1~3号と異なり事実判断の要素がある。「手術」という単語はない。よって、ホルモン治療により事情が認められる本件では、法解釈として適用すべきであると主張す。必要性、相当性、なしうる限りの個別事情を考慮して判断がされるべきだと。
 昨日の審問で、本人が陳述し、また陳述書、診断書、調査報告書にある通り、女性としての社会生活を送っている現実が既にありギャップが存在する、ホルモン療法により、生殖機能は著しく低下していると。
 それができないという機械的解釈をするのであれば、手術を法的性別の変更と引き換えにしており、憲法13条(幸福追求権)、14条1項(平等原則)ら違反して憲法違反だと主張す。
なお、抗告人代理人の主張には、旧優生保護法の問題である「断種手術と同じだ」との文脈はなかった。

 個別事情が年齢さえも明らかでないまま。岡山家裁から始まった、男→女、原審では生殖不能要件をクリアしてないとして棄却になったことだけが分かる。合憲とした2019年事案は女→男であり、家裁、高裁のは判例集にあったが。メディアらは、代理人二名に聞き、報道して然るべきものである。

 なお、傍聴は162席に対し140程で全員入れた。なんと指定席。入る前に筆記具等や貴重品以外はロッカーへと。虹色のマスクや荷物を持ったまま入ろうとした人は、もちろんロッカーに入れるよう言われ戻されていた。傍聴人は実に静かであった。閉廷して裁判官退席後、代理人弁護士2人の退席時に拍手した人がいたなあ。
 外で構内への入場、建物への入場を待つ間に、道路の反対側で単独右翼?の人が「チ〇〇のある女性は認められない」とかがなっていたのは、弱る。

 最高裁の違憲判決は直ちに効果を生じ、手術要件は死文になる。続々と類似する人の性別変更が認められよう。その上で「男性器ある法的女性⇒法的女性なのに女性スペースに入れないなんてありえない」運動や訴訟になるは必定。不特定多数の女子トイレの利用公認なぞ当然だと言い出す。
 ああ、性犯罪目的の男こそが偽りを言って診断書をとり家裁に申し立てるだろう。警察は「法的な女性」なのだから、防犯の観点ではまともに動けず、通報があっても腰が更に引けてしまうのは確実にて。

 それにしても、抗告人代理人の「性別のあり方が尊重される権利」=「日常生活で否定されない権利」「他者に求めることが許される」という論法には驚く。他者にも人権がある。表現の自由さえもTPOと相手により内在的な制約があるのに。100%の権利は「内心の自由」だけが定説なのに。

 そして最大の問題は、「相手方」が居ないから批判をする者がおらず、裁判所はそれへの反論も聞くことがない、事情を汲み取れ、というだけを聞いていること。
① 女性の安心安全が危機に瀕すること。
② 男・女の定義変更によって戸籍も社会も混乱していくこと。
③ 親子関係まで混乱していくこと。
についての議論が最高裁に伝わっていないことは、大問題である。

 最高裁の判断としては数は別として、
① 認められない、合憲
② 本件は手術に値するから認める、憲法判断は回避
③ 違憲
④ 違憲状態だ
があり得るかと。④は③のように直ちに手術要件を無効にするのではなく、国会に改正せよとするもの。
 私は、ホルモン療法で「永続的」な筈もないから②もおかしく、①が正しいと確信する。願わくば、最高裁がここ数年で世界的に明確になったこの問題の状況を知り正しく理解することを。「尊重」は、他の者の権利法益を軽視せずとも、女性・男性の定義をかえずともできることなのだから。 

以上。

弁護士 滝本太郎

⭕️参考資料(2023.9.29up)

❶手術要件についての説明のレジュメと、❷性自認主義についての論点レジュメを紹介します。

❶手術要件についての説明のレジュメ
❷性自認主義についての論点レジュメ

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