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江島神社・奉安殿(神奈川県藤沢市)【日本弁天巡礼】

日本で広く信仰されている女神・弁財天(インド名:サラスヴァティ)。日本各地の弁財天信仰の軌跡をたどるのが、このシリーズ【日本弁天巡礼】である。

今回は「日本三大弁財天」の一つともされている「江島神社」のことについて触れたい。

あまりにも有名で、かつ多くの人がレポートを書いているため、単に紹介するのは気が引けるところもある。そこで、私の【日本弁天巡礼」では、私が特に気に入っているスポットを紹介したい。それは江島神社・奉安殿(ほうあんでん)である。

奉安殿のファサードを見上げる

ちなみに内部は撮影禁止なので、併せて江島神社の公式ホームページもご覧いただきたい。ご祭神|江島神社について | 【公式】日本三大弁財天・江島神社 (enoshimajinja.or.jp)

江の島は、島全体がいわば弁財天信仰の聖地になっている、関東では珍しい島である。島内には商店があり、民家があり、郵便局もあり、そして日々観光客で賑わっている。そうした面から決して「島全体が聖地」とは思いにくいのだが、各所に見られる道標や、島全体に社殿が複数配置されているところから考えると、やはりこの島は聖地である。

社殿のうち、本州側から足を運んだ場合に島の一番表側にあるのが、「辺津宮(へつみや)」だ。この辺津宮の敷地内に、八角形の建物(お堂)がある。それがこの奉安殿だ。

内部には2つの重要な像が置かれている。1つは、「八臂弁財天(はっぴべんざいてん)」。もう1つが「妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)」だ。江戸時代には、これら「江島弁財天」への信仰が集まって、「江の島詣(もうで)」のための民衆で賑わいを見せたと言われている。

八臂弁財天(はっぴべんざいてん)と妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)が奉られている

江島神社と言った場合には、社殿である辺津宮、中津宮(なかつみや)、奥津宮(おくつみや)の3つを指しているのだが、こちらの奉安殿の弁財天も、先の「江の島詣」の対象になっただけに、信仰対象としての聖なる雰囲気を湛えている。

奉安殿に入るには入場料(大人200円・2024年1月現在)が必要だ。しかしそれに見合う、いやそれ以上の迫力と魅力を放っているのがこの2つの弁財天像である。

実際、入場してみると、人々から奉納された日本酒や卵などがいつもガラス戸の前に奉ぜられている。江戸期から現代に至る、人々の厚い信仰心がうかがえる。

奉安殿の案内版

江島神社そのものの祭神は、三姉妹の女神である。

多紀理比賣命(たぎりひめのみこと:江の島最奥部の奥津宮に奉られる)
市寸島比賣命(いちきしまひめのみこと:中津宮に奉られる)
田寸津比賣命(たぎつひめのみこと:辺津宮に奉られる)

以上の3柱だ。この3柱は「江島大神」と称され、古くは「江島明神」とされていたという。

3柱をそれぞれ奉った社殿それぞれ、もちろん素晴らしいのだが、奉安殿の2つの像は、3柱の別の姿を示しているようにも感じられて興味深い。




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