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江東寺出世弁財天(東京都墨田区)【日本弁天巡礼】

日本で広く信仰されている女神・弁財天(インド名:サラスヴァティ)。日本各地の弁財天信仰の軌跡をたどるこのシリーズ、【日本弁天巡礼】。弁財天信仰を糸口に、日本文化をゆるりと探っていくつもりである。

今回は、東京都墨田区は錦糸町駅近くにある「出世弁財天」を取り上げる。

駅南口から歩いて5分ほど。江東寺の敷地内にひっそりただすむ小さな弁財天社。しっかり奉られ献灯もできる。筆者が訪問した際には弁財天像も拝むことができた。

こちらの江東寺そのものは昭和15年(1940年)に建てられた比較的新しい寺社。群馬にある水澤観音寺の別院である。しかし創建からそれほど経たない昭和20年(1945年)3月10日の東京大空襲により焼失。戦後の大混乱の中、翌昭和21年にはいち早く本堂庫裡が再建、さらには24年に現在地に移建された(由緒より)。

なお江東寺の公式ホームページによれば、こちらの弁財天は次のような由緒と書かれている。以下引用する。

「鎌倉時代の出現と伝えられ、昔は洞窟弁天と称され、安政の大地震により地中深く埋没し、当弁天が祀られていた江東区毛利2丁目一帯は江戸幕府ご用材の貯木場で、此処を管理する金原藤太郎なる者に夢告あり再出現し、名も出世弁財天と改称された。そして、昭和19年縁あって江東寺に移建奉安された。」

「夢告あり」という下りが大変興味深い。なお、以前、本シリーズで過去に取り上げた「漆坊弁財天」も、おそらく、夢のお告げにより復興された弁財天社である。

地震や戦災をものともせずに、復活する。そのたくましさゆえか、掲示によれば、人々に「立身出世、縁結に利益ふかき神として奉拝」されているという。

足下にはまさに水の神である弁財天らしく、河川を想起させる架橋の装飾が施されている

【データ】
出世弁財天、東京都墨田区江東橋3丁目6番5号(江東寺内)

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