ざっくりとした「将棋25級の認定基準」(2) ~飛角鬼ごっこで学習できること~
(注:私の教室は2019年に閉鎖したので、教室の話は過去形です)
前回より日が経ってしまいました。
ざっくりとした「将棋25級の認定基準」(1)では25級の昇級テストで実施している飛角鬼ごっこのルールを紹介しました。
(2)では、飛角鬼ごっこで何を学べるか。つまり、25級に認定される子は何ができるのかを考えていきます。
ここから読む方は、ざっくりとした「将棋26級の認定基準」もご覧ください。26級までにどんなことを教えているかを紹介しています。
といいつつ、読むのが面倒な方はそのまま下をどうぞ。
飛角鬼ごっこで学習できること
ほかにもあるかもしれませんが、代表的なものだけ。
A.大駒の偉大さ
玉は1マスずつしか動けませんが、飛車と角は一気に敵陣まで届きます。
B.強いのは竜と馬。飛車と角はそんなに強くない
本当に将棋を始めたばかりの子が飛角鬼ごっこを指すと、たまにこんな局面が現れます。
飛車も角も成らないまま進めていて、玉自ら大駒を取ろうとしてくるのです。
上記の局面の場合、飛車がどこに逃げても△6七玉(飛車の行き場によっては△5七玉)で失敗に終わります。※スワ的鬼ごっこルールは入玉で上手勝ち(あるいは練習やり直し)
将棋のことをよく知らない子でも「飛車と角は強い駒」という情報を持っている子はいます。
そこで私はいつも言っています。
「飛車と角が強い駒っていうのは、ウソです」
本当に強い駒は、竜と馬です。
ただ、飛車と角は、竜と馬に化ける(成る)ことができる駒だからすごい駒なんです。
飛車と角が成れるときに成らないのは、せっかく強くなるチャンスを逃しているのでもったいないです。
で、竜と馬を作れば、上手の玉自らが大駒を取りに飛び込んでくることはありません。玉が取られて負けちゃうから。
(あえて突っ込んで取られてしまうのも、昇級テストの前段階としては有効な指導法です)
竜と馬にして、まず取られることがなくなってからゆっくりと攻めましょう。
C.1枚だけでは攻められない(詰ませられない)
鬼ごっこの理想の勝ちは、
いろいろありますが、こんな感じです。
いずれも、竜と馬を両方使って詰ませています。
稀に、↓このステイルメイト問題がありますが、
練習だと、「詰ますまで先生はパスするね」と言って、馬が近づいてくれるまで待つこともあります。
こんな風に、将棋では2枚の駒を使って詰ます訓練が大事です。
D.玉はすみっこにいてくれたほうが詰ましやすい
これはCの図面3つを見ても明らかですね。
E.玉がこっちに逃げてくるとどうしていいかわからなくなる
これもBやCの図でお察しいただけるでしょうか。中段玉を2枚の攻め駒だけで挟み撃ちにするのはかなり大変なのです。
F.1手詰を逃すと泥沼に陥る
例えばこの局面。
ここで▲2三馬なら1手詰。
ところがここで(▲1五馬ならまだ「すみっこに追い詰める手」だからいいのですが)、▲1一馬と指す子が意外に多いです。
平手で香車を取るときに指す手だからでしょうか…?
でも▲1一馬△2四玉と進むと、
もう寄せるのは大変です。もちろんここで▲5五竜から立て直してくる子もいますが、1手詰の明快さには劣ります。
G.歩1枚だけでも大切な守り駒
25級昇級テストの最終関門、持ち駒に歩をプラスすると、よくこんな局面になります。(上手から指し始めるので3手目の局面です)
歩がなければ上手の玉は1段目と2段目をうろちょろするしかありませんが、歩を持っているおかげで、少しは粘れるのです。
(上図は下手に絶好の一手がありますが、その手を指せる子は20級まですんなり行けます)
歩を壁に利用してくるくる逃げることで、歩の偉大さを知ることができます。
* * * * *
もちろんこれらは、「講座」の中で先生が言えば伝わることではあります。
でも飛角鬼ごっこの対局、つまり自らの体験を通して自分で発見し、体感したことは、身につきやすいです。
言葉で伝えずとも、1局2~3分で終わる鬼ごっこを10局、20局と重ねることで自ら発見する過程が重要かと思います。
飛角鬼ごっこで学べる格言
飛角鬼ごっこで学べる格言もあるので紹介します。
★覚えておくと飛角鬼ごっこで役立つ格言
遊び駒を活用せよ
王手は追う手
玉は下段に落とせ
玉は包むように寄せよ
中段玉は寄せにくし
入玉に負けなし
内龍は外龍に勝る ←厳密な意味は違うけど
★飛角鬼ごっこを指すことで実感できる格言
金なし将棋に受け手なし
歩のない将棋は負け将棋
長考に好手なし
★飛角鬼ごっこでは例外になる(使えない)格言
龍は敵陣に馬は自陣に
さてこれで将棋25級の認定基準はおしまい。
次はいよいよ、えっ、いきなり? 20級です!
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