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「アリーーーサ!」と叫びたくなった人にオススメの曲

映画「アメイジンググレイス」Aretha Franklin

覚悟を決めて見てきました。
もう感動するのは予告編を見てるだけでも分かったし、
どれだけ覚悟してても絶対やられちゃうのも分かってたし
実際やられちゃいました
もう始めの"Wholly Holly"の第一声から涙腺がやられ
中盤の"Amazing Grace"などはもう嗚咽が止まらず・・・

そもそもライブ盤としての"Amazing Grace"は
申し訳ないが個人的には「ふむふむ」くらいで
「映像があったら全然印象違うだろうなぁ・・・」と思ってて
それがまさかの本当に映像があった!となれば
もう覚悟を決めて見にいくしかないよね

まだ29歳の、
絶頂の頃のArethaが、
日本に来たことがない彼女が「見れる」「聴ける」
そりゃあ覚悟を決めるしかないよね

さてそこから先はもう、気になる人は見てください。
より詳しい話は雑誌「ブルース&ソウルレコーズ」やら
音楽ジャーナリストなり
色んな方がしてくれてると思うのでそちらをご覧くださいw

映画情報はこちらです
映画「アメイジンググレイス」アレサフランクリン HP

初レコーディング曲"Never Grow Old"

ではここからは俺のいつもの妄想タイムです。
BGMはこの映画でも最後クライマックスで歌ってる"Never Grow Old"の
それもArethaが14歳の時(1956年)の初レコーディングバージョン

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俺が持ってるレコードは1984年に「初レコーディング集」的にChessから出されたLPですが、このリマスターと比べるとテープ速度のせいか音程が違いましたね。ま、この手の再発はマスターがヘタってる場合もあるので仕方ないんですが。。。とそこは本題ではないので置いといて。。。

12歳で第一子を出産したAretha

この14歳の彼女の声を聴いてもすでに凄いですよねぇ。かつ驚くべくは彼女は14歳にしてすでに一児の母(12歳で第一子出産!)で、この翌年には二人目を産む。そしてこの映画の1972年の頃はロードマネージャーとの間にも子供が出来て結果4児の母の29歳。いやあもう何から何まで別格だなぁ・・・と日本人な俺は思う訳です(笑)。こういう方がなんなら普通ですからね。前回紹介したMarilyn McCoo & Billy Davis Jr.のように50年間夫婦を続けてるのは稀有も稀有って印象です。試しにアメリカ人アーティストのプロフィールを誰でもいいから見てみるといいです。必ず「幼い頃に両親が離婚」「本人も何度も離婚」「なんなら私生児もいる」のが普通なのが分かりますから。

実際Arethaの両親も彼女が6歳の時に離婚。この映画にも出てくる父C.L.Franklinは牧師でありつつもかなりモテたようで、そこら中の女性と関係し、映画では横に座っていたClara Wardは内縁の妻だったとも言われてます。

4児の母である29歳Arethaを見にくる、
若い時に女問題で離婚した父と、
敬愛するゴスペルシンガーClaraが目の前に並んでカップル然と座っている。。。
この状況における彼女の心境は、俺にはとても語れません。

そこから思うあれやこれはあるんですが、それはまた後日にさせてもらうとして、「神に選ばれし声」と言って誰も否定しないであろうArethaは私生活もなかなかハードなわけで、それで持って「敬虔なクリスチャン」とも紹介されるとアメリカにおける「敬虔な」クリスチャンって一体どういうことなんだ?という疑問がチラついてしまうのは俺だけじゃないでしょう。肉体的な差はもちろんあるけど、日本人の比じゃないほどの日常のストレスが社会にセットされてるように思えてしまうんです。それが故の心の叫びとしての魂の音楽〜SOUL MUSICなんだなぁ・・・と。

で、結果としてこの素晴らしい「心の叫び」を映画の形ではあれ目撃してしまうと、Arethaが愛おしく思えて仕方がない。そして映画を見た後に真っ先に俺が思い出した曲が、この映画でドラムを叩いていたBernard Purdieの"Song For Aretha"なんです。

Bernard Purdie"Song For Aretha"

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これは普通にレアグルーヴ文脈で自分は持ってたんですが、このB面一曲目に入ってる壮大な曲、"Song For Aretha"が「悪くないんだが、浮いてるなぁ・・・」と思ってて、それが今回映画を見てめっちゃ腑に落ちました。

1972年1月にこの映画になったゴスペルライブがあり、
1972年3月にこの曲"Song For Aretha"がレコーディングされてます。
、、、てとこから推察されることがあります
&ほぼこれは間違いないと思います
「ゴスペルライブを一緒に体験した彼が感動しすぎて
これをどうにか彼女への感謝
彼女への恩返しの曲を作りたい!」

と思って作った曲がこれなんだろうと。

だって俺も映画を見たあとに「アリーーーサ!」と叫びたくなって、、、「そういやそんな曲あったな」と思い出して、、、「あ!この映画の中でもクールにドラムを叩いてたBernerd Purdieの曲じゃないか!!!」、、、そう思って聴き直すと、この曲はこの映画「アメイジンググレイス」を見た後に聴くのに最適な曲だと分かります。Soul sister number one!!と俺も一緒に叫びたくなりますw

もちろんこの前の年にLive at Fillmore Westとかも一緒にやってきて多くの人が熱狂してますけど、黒人にとって、教会で経験したものは格別なはずだと想像されます。ましてやこの神がかったArethaの歌を聴いて心が揺れないはずがない。緊張した空気感から始まって、あの高みにまでたどり着いたのを目撃して心が揺れないはずがない。

こうして神がかった人たちの中の「人間的」な部分を紐解きながら聴いてみると、音楽の面白さをまた感じますよね?映画を見た方は是非聞いてみてください!あなたの高揚感をきっと彼が代弁してくれるはずです!

"Song For Aretha" by Bernard "Pretty" Purdie 1972

PS: 「アレサ」vs 「アリーサ」問題

個人的にはどっちでもいい的な論争なんですが、Arethaを「アレサ」と表記するか「アリーサ」とするか問題ってのがあります。Chaka Khanを「チャカ」とするか「シャカ」とするかも同様ですね。特にそれを表立って言い出されたのはピーターバラカンさんです。もちろん英語発音をベースにするとアレサではなく「アリーサ」なのは分かるんですが、日本語自体〜カタカナ表記自体に千年以上の歴史があり、「英語発音を基準にする」というのはまだせいぜい戦後の70年程度です。。。。てことで個人的には
「カタカナ表記にする時点で、日本人同士で通じるならそれでいい」と思う派です。
なんにせよArethaが日本に紹介されてからはずっとこれまで「アレサ」だったんですから。今更いいじゃないかと俺は思ってます。

が、映画のパンフレットは奇しくもバラカンさんがコメントを寄せてたので、書く人によって
「アレサフランクリン」
「アリーサ・フランクリン」
と別れてしまってるのが、個人的には残念でしたね。

映画のサブタイトルは「アレサフランクリン」ですからね
バラカンさんは怒ってそうですけど・・・苦笑

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