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これからの音楽 #1

こんばんは こんにちは
ピアニスト、プロデューサーのSWING-Oのnote第一稿です。そんな音楽家な自分が記す第一稿にふさわしい、「これからの音楽」をテーマに書き始めようと思います。もちろん明確な答えに向かって記す訳ではないし、明確な答えにたどり着けるとも思ってません。精一杯自分が調べてきた情報、体感してきたものを軸にあれこれと妄想してみる、その迷走になるかもしれない言葉たちが、読んでくれた人の何がしかのヒントになればこれ幸いです。だってこれからの時代に大切なのは「明確な答え」ではなく、「グレーゾーンの中で精一杯頑張って立ち上げた指標」だと言うのが俺の持論ですからね。

 収束の兆しこそあるものの、新型コロナ禍は音楽界にも大きな傷跡を残すことはもう間違いありません。国際渡航もいつ元に戻り始めるのか、ライブはいつ再開できるのか分からない。でも、元通りこそ無理でも「まつりごと」としてのライブ/イベントは遅かれ早かれ間違いなく復活します。それは社会的動物である人間の証ですから。どんな状況に追い込まれても、そればっかりは無くならない。無くなる時は人類滅亡の時です。新型コロナに人間を滅亡させる力はありませんから、隕石が落ちてきたり太陽が爆発でもしない限りはってことです。人間が人間である限りにおいては、「まつりごと」は無くなりませんし無くしようがないですから、そこを悲観するのは全く御門違いと言っておきましょう。もし自分が人間なのかどうか?に自信がない方は別ですが(笑)

 いきなりスケールの大きい話になったので、ついでに、そもそも音楽ビジネスっていつ誕生したんだ?てとこまで遡って、そこからこれからの展望を試みましょう。

ポピュラー音楽の20世紀

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  バッハやモーツァルトやベートーベンなどはもちろん「ビジネス」として音楽をやっていた訳ではありませんから、いわゆる「ビジネス」としての音楽は1900年前後から始まったという見立てを俺は支持します。故中村とうようが記した「ポピュラー音楽の世紀」を読むとそれがよく分かります。欧米の世界侵略などにより、様々な場所で人種が入り混じり、これまで有史以降儀式や祭りの形で育まれていた伝統音楽が混じり合い、他人種に見せるものとして新しいミクスチャー音楽(それを「ポピュラー音楽」と呼んでます)が誕生したのがその頃なのです。まずは楽譜の販売から始まり、その後蓄音機(レコード)、ラジオの発明などによってどんどんビジネス化が進んで行ったという話ですね。

 ちなみに日本では「音楽」と言う言葉自体が明治時代になるまで存在しなかったそうです。Musicの訳語として生まれた、まだやっと150年経ったばかりの言葉です。もちろん「雅楽」「神楽」などのある種の儀式と一体化した楽器演奏自体は日本にも古くから存在してますが、音だけを抽出する、音だけを提供すると言う考え方がそれまでなかったということですね。個人的にもそれを知った時は衝撃を受けました。

 そう、「音楽」も「音楽ビジネス」もそんな古くないんです。2020年の今から見ても120-150年くらいなんです。5,6世代ほど上の人たちから始まったものなんですよ。天気予報も一緒ですね。よく「観測至上最も**」と報道されますが、天気予報も同じく100年くらいしか歴史がない。そんな100年前後のデータベースでもって、2万年以上の人類史、増してや4億年以上ある地球史を脅かすかのような報道、あれは可笑しいです。報道の刹那主義っぷりをよく表す例ですね。

音楽は決してこれまでと同じようには残っていかないだろう

 ちょっと脱線しちゃいましたが、何が言いたかったかと言うと、そんな「大して古くないもの」は決してこれからも同じように残って行くとは限らないだろう、と言うことです。先にあげた中村とうようは「ポピュラー音楽は20世紀独特な音楽のあり方、すでに消えゆく兆しがある」と1999年に記されてますが、ある意味自分も同じことを感じました。いや決して「音楽」そのものは無くなりませんよ。これも人間が人間であり続けるための「まつりごと」として必須のものですから。ただ、音楽のあり方、そして音楽ビジネスのあり方はもう既に前世紀20世紀と比べても大きく変わってきています。ビジネスに関しては俺が説明するまでもないですね。だって音楽作品は、100年かけて遂に実体と販売価格を失ってしまったんですから。

 もちろんグッズ的な扱いとして、ドサ廻りをする演者にとっての手売り商品としては重要ですし、これからもしばらくは残っていくでしょう。かく言う自分にとっても重要ですよ、レコードもCDも。でも現在50歳な俺が、平均寿命まで頑張れたとしてあと30年前後、と仮定した上では「無くならない」と断定できますが、そこから先は???というのが正直なイメージです。レコードは意外や残る気はしてますが、CDはどうなんでしょうねぇ。

 では自分が感じた、20世紀にはあったけど、既に消えつつあるもの、ポピュラー音楽の終焉とは何か?と、これからの音楽については、次回お届けします。

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■最後に一曲紹介

最後に一曲紹介しておきましょう。世界最初の「大ヒット曲」とされる"La Paloma"です。これは中村とうよう「ポピュラー音楽の世紀」に紹介されていた1901年録音のものですね。120年前の、楽しそうな音に耳を傾けて、演奏する楽団の姿を想像してみてはいかが?あなたの祖父母なら知っている可能性の高い曲ですよ。


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