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これからの音楽 #2

 音楽界ではよく「20年周期説」などが囁かれたりする。60年代的ポップスが80年代に、70年代的なものが90年代に、80年代的なものが00年代にそれぞれリバイバルした、とする捉え方だ。少なからず当たっているとは思う。20年経つと資金力を持つに至ったおじさんおばさんにとっては懐かしいものであり、影響力のある若者にとっては知らない新鮮なものになるから、そこを狙うと「ビジネスとして成功しやすい」と言う「ビジネス論理」としてはよく分かる。でも果たしてそれは今後の音楽にも言えることだろうか?

20世紀のポピュラー音楽を振り返る

 前回記したように、「ポピュラー音楽は20世紀独特のもの」と考えたほうがいいのではないか?という視点からすると、あくまで「20年周期」は海の泡沫的なものであり、海そのものの動き(海流)はまた別と捉えたほうがいいのではないか?と。その考察のためにも、まずは20世紀のポピュラー音楽とはなんだったのか?を駆け足で振り返ってみましょう。

■音楽ビジネス誕生〜レコード・ラジオ誕生前夜(19世紀末〜1910あたり)
1900年前後には産業革命と並行するように、世界中に欧米人・中国人など(そう言えば世界中にチャイナタウンを作ってきた中国人が世界にどのように影響を与えてきたか?という論文は見たことないな。あるのかな?)と現地の人たちによる音楽交配が行われて、それがアメリカにおけるミンストレルショーのように、演芸的なものとして流行する。そしてフォスターのように「楽譜」を売ることで商売にするという、最初の「権利ビジネス」がスタートした

■黎明期〜レコード・ラジオの誕生(1910~30あたり)
それまでの、演奏した現場でチケットやチップで収入を得ていたスタイルから、レコードに記録して発売する、それをラジオでかけると言うスタイルが始まる。当初は演者が「仕事が減る」と猛反対していたというが、「著作権」などの考え方が出てきたことで、むしろ劇的に音楽が大きなビジネスになってきた時代となる。ラジオやマイホーム、マイカー(車)の普及も大きいだろう。でも大恐慌(1929年頃)あたりで一度終わりかける。

■成長期〜レーベル・アーティストが自己表現を始める(1930-60年代)
大手レコード会社による、富裕層のための音楽が大恐慌により破綻しかけた頃、アメリカの黒人及び黒人音楽を愛する非黒人たちの間で始まったジャズ〜ロックのムーヴメントが新たな時代を切り開く。メロディのあり方、ハーモニーのあり方、演奏手法などはこの時代が一番成長したと言ってもいいかもしれない。現在楽典となってるようなポピュラー音楽理論(ジャズ理論含む)も50年代あたりから整理され始めて、60年代までの音楽を70年代に理論化したものだしね。結果60年代には、USからは黒人主導によるモータウンレーベルが世界を席巻、UKの田舎からビートルズが現れ世界を席巻したことがこの時期の到達点として象徴的なことかもしれない。

■安定期〜(1960-70年代)
音楽ビジネスとしては何度も危険な状況にはなったようだけど、音楽そのものとしては面白い表現が世界中で最も生まれた時代だと思う。いろんなジャンルの掛け合わせ、演奏手法の掘り下げが一番深められた時代。個人的にはどのジャンルを聞いていても一番面白い時代だ。そして70年代後半にはディスコブームが世界を席巻し、1ジャンル・スタイルとして初めて世界を一つにしたムーヴメントだったのかもしれない。でもその広まりすぎにより、70年代後半には音楽的には窒息気味な時代に。

■転換期〜CDの普及、MTVの影響力拡大(1980年代)
1980年頃は「もう音楽ビジネスは終焉だ」と言われていたらしいが、そこで登場したのが音楽を映像作品としてプロモーションするMTVの誕生、拡大。そして80年代後半にはCDが一気に普及することでこのピンチを乗り越えるどころか音楽を更にビッグビジネスにすることに成功した。ただ、「音楽」そのものを考えると、すでに新規の表現方法は少なく、「映像的な音楽」への移行期という言い方のほうが的確か。結果マイケルジャクソン、マドンナ、プリンスなどの破格のスーパースターを産むことになる。

■リサイクル時代が始まる〜HipHopがメインストリームに(1990年代)
「映像的な」「キラキラな」「スタジアムな」音楽に皆が辟易し始めた80年代後半から、どす黒い音楽が徐々にメインストリームに台頭してくる。一方アンダーグラウンド音楽もクラブの世界普及と共に世界中にサブカルとして根付き始める。どちらも共通するのは、「ミュージシャン主導ではない音楽」の台頭と言う言い方もできよう。機材的にも発展著しいこの時代、サンプラーの普及により、演奏できなくても演奏自体をレコードなどからサンプリングして再利用(リサイクル)する形の表現が定番となってくる。ロックシーンもいろいろ出てくるが、21世紀から振り返ってみると総合的には下降期かもしれない。

 80年代以降は自分もリアルタイム世代なので、肌感覚でよく覚えている。当時感じたことなどは次回記すことにしよう。(一体何回で終われるんだろう?笑)

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■最後に一曲紹介

この最後の一曲紹介は定番にしていきましょうかね。
南アフリカのシンガーソングライターMiriam Makebaによる"Pata Pata"と言う曲です。当時は南アフリカと言えばアパルトヘイト真っ最中で、彼女はそんな中、国を追い出されて、アメリカに拠点を移したタイミング(1967年)での大ヒット曲(ポップチャート12位、ビートルズとか売れている中でです!)。どんな苦しいときでも、こういう明るく踊るための曲を作る感性は今こそ大事かもしれませんね。

追記)PataとはTouchという意味らしく、「パタパタとはダンスの名前」と歌ってますね。歌中で出てくる「コッ」という口を鳴らしながら歌うという「クリック」という技を駆使する歌い手でもあります。

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