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Movie : 「ザ・バンド〜かつて僕らは兄弟だった」レビュー

"Once We're Brothers"
~Robbie Robertson & The Band~
2020年

個人的に大好きなバンド、その名も直球な"THE BAND"
1968-77年に活動し、5人のうち二人しか現在は生き残っていない。その、リーダー格のRobbie Robertsonの目線を軸に、その歴史を貴重な映像と共に振り返るドキュメンタリー映画。

そう、先日の「メイキングオブモータウン」に続き、音楽ドキュメンタリー映画だ。大好きだし、実際俺の周囲のおじさんたちの間でも話題だったからね。

タイトルにもあるように、かつては仲良しバンドだったが最終的には怨恨を残すような終わり方をしてしまったバンドなので、各メンバーの解釈は分かれるところだろう。なのであくまでロビーの目で振り返ったドキュメンタリーではある。

ってところでちょいとTHE BANDそもそもを軽く捉え直してみよう。なにせ現状俺の周囲でTHE BANDを好きな人聴いてきた人と言うのは、リアルタイム世代(=60際以上)を除けばせいぜい40代くらいまででしか見当たらない。たまにmabanuaのようにTHE BAND好きを公表する人もいるけど、基本若い人の間では興味を持たれなくなりつつあるバンドではある印象だから。

実際数十年もたてば、
THE BANDの出てきた1968年も
Van Halenの出てきた1974年も
Discoブーム全盛の70年代中盤後半も
全部一緒くたにされていくだろうことが想像される訳で、既に音質でもってどのジャンルであれ「あ、その頃の音楽ね」と一括りにされて行く訳で、そう考えた時にTHE BANDはどのように捉えられるんだろうか?と想像するのだ。

この映画の肝でもあるだろう、1970年前後に若者も熱狂したこのTHE BANDがやっていた音楽は、ポピュラー音楽のルーツに根ざしたものの組み合わせだったと言う事実。Taj Mahalもインタビューで言っていた
「彼らの音楽は音楽の根幹を捉えていた」と。
カントリー、ブルース、ロックからヨーロッパの伝統音楽からいろんなものを鍋にぶち込んで、Levon Helmのファンキーとも思えるタイトなドラムで仕上がることで独特なごった煮音楽となっていた。

でもそれはまだポップスの歴史が浅い頃のバンドだから出来たことと言う見方もできる訳だ。70年前後に50年代音楽へのリスペクトを当時最新のロックバンドスタイルで構築した訳だからね。そう言う意味でなら現代でも行われているとも言える。シティーポップの現代版があるように、ディスコのリバイバルがあるように、、、

ただ、それはいずれもその名の通り都会的な音楽の再利用であって、THE BANDのように、ローカルな音楽の再利用ではない。モータウンが脈々と受け継がれているように感じるのは、それが都会音楽だからだとも言える。

そう言う意味では今後
THE BANDの評価はどのようになって行くんだろう?
そんなことを思う視後感でした


映画で印象に残ったのは、ロビーは一人の妻と長きに渡って関係性を続けていること
(離婚してたことは映画では触れられてなかったが、wikiにはそう記してあった)

他、
*ロビーが復活ライブ直前に体調崩していた時に、ビリーグレアムのあてがった催眠術師のおかげで復活したこと
*68,69年あたりはメンバーが頻繁に交通事故を起こしていたこと
*もう一人生き残っているガースハドソンは未だにウッドストックに住んでいること
*やっぱLevon Helmのドラムの音がいいな
、、、などが印象に残った


個人的なTHE BANDとの接点は、
20代の時に読んでた本でやたら「名盤」と記されていたセカンドアルバムを購入してみたところからかな。
でも最初は「なにこの地味な田舎臭い音楽」としか思えず、しばし放置していた。個人的にブルースなどに精通し始めた頃に急に良さがわかるようになって、むしろ好きになった。Allen Toussaintとの接点もあるしね。


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