HSL日誌

5月22日水曜日晴れ


シーン16再検討

シーン16でJTとPLUTOの関係を築きたい

というところまでが昨日でした

現状スケッチでPLUTO最初の視線は自分を庇おうとするQの姿の予定でした

雛鳥の刷り込み行動のように最初に見るものが大事だと思っていて

その意味でQとの友情を思い描いたのですが

そっちはその後も築けると考えて

ここではやっぱり”象徴としての母”であるJTを
「初めて見る人」にしたほうが良い気がしてきます

構想のはじめからその構図は浮かんでいましたが
「キングコングと女性」のようなイメージを避けました

”女性”でなく”母性”のほうがベターな気がします なんとなくですが

”母性”が象徴するのは”無償の愛”かと思います

十字架を担いで罪人として行進するイエスを
泣き伏して見守るマリアの姿そのものです
(ブリューゲル『ゴルゴダの丘への行進』より)

少し偏った解釈かもしれませんが私の中では
『白雪姫』(ディズニー・1934年)の白雪姫が母性に近い気がします

継母に追われて恐ろしい森に逃げ込んで泣き崩れるシーン
心配してそばに来てくれた小動物たちを驚かせたことにさえ気遣ってやさしく声をかけてやる姿が慈愛の、無償の愛を想起させるのは私だけでしょうか

ちょっと飛躍があるかもですがJTに白雪姫要素を引用してみたい気がします


ではもう一度スケッチを再検討してみます

唐突な決めごとなんですがルールがあって
構成は「両開きレコードジャケット」をイメージしており
右半面がジャケット表、左半面がジャケット裏の構成になるよう構成しています
(絶対ではなく可能な限りですが)

それで言うとなんとなく”二コマ漫画”ぽいです

時間軸で言うと、右が先に起こり、左があとに起こったこととしても扱えます

シーン16で大事なのはPLUTOが再起動したという出来事です
これが右半分に描き
左半分にその次の出来事
つまり「軍勢がPLUTOに迫っているという事態」が描くと良い気がします

何が言いたいかと言うと、現状のQがPLUTOを庇う姿は画面全体が”次の出来事”
になってしまっているという点に気づきました
これでは再起動という一大イベントのイメージが薄れます

画面左半分をそのままにして
右半分をもっと再起動直後の状況に集中させなくては

もともと”上空からのサーチライト”のアイデアはPLUTOとRABBITSを結びつける契機として用意した出来事ですがもう少し素朴な感触にできないでしょうか?

このシーンの引用には『ゲッセマネの祈り』を想定しています
ここにヒントがあるかもしれません


『ゲッセマネの園の苦しみ』 アンドレア・マンテーニャ


だいたいの構図は
1神に助けを請うイエス
2それを慰める天使
3そばで眠りこける三人の弟子
4軍勢
5応えなき神
です

JTとQは2の天使でしょうか?
何もできずにいるほかない3はRABBITSの一面でしょうか?

なにしろ構図的にもお話的にも『ゲッセマネの祈り』とかけ離れて
引用元をまるで想起させることができない問題は?

シーン16は巨人が起動したこと、そしてRABBITSに邂逅することが大事です
そのことをもっと印象的に描きたいです

『ゲッセマネの祈り』の主題は”応えない神と絶望的な祈り”ですが
それはつまり”イエスが痛ましい己の死を受け入れる作業”です

悲愴なシーンです

少し安易に引用しようとしたかもしれません。。


翻ってシーン16は
むしろ希望さえ感じる明るいシーンです
その次の瞬間(=画面左)には大きな困難が迫っていても
右半面は心をくすぐるような邂逅の場面です

いったん右半面だけを考えてみます

現状スケッチでは誰も笑っていませんが
ここは笑顔があっていいような気がしてきました

それならJTの笑顔が注目したいです
他にQも笑うでしょう

何か場が和む出来事で笑えればいい気がします

PLUTOが起動した反動でアクシデントが起こる?
PがPLUTOの胸から転げ落ちる?


hsl 014 (2017)

↑起動直前
PLUTOの胸にJとPが乗り、Jが胸にりんごを挿入しています

Pは緑のタンクトップです

この状況でPLUTOが上半身を起こすとして
Pだけ転ぶとしたら木の根が足に絡まったとか?

JTとKは画面の外、少し離れて起動の様子を見ている想定です

できればJTとPLUTOに確かな結びつきができる出来事を描きたいですが
この距離感があると1シーンでそれは描ききれない気がします

今はなんらかの結びつきを示唆するにとどめてもよい気もします
それならPLUTOが視線が向けるだけで十分かもしれません

結論が昨日のまんまで少々しゃくですが空気は変わりました
緊迫感のある空気→和やかな空気


諸々考慮して構成を考え直すとざっくりこうなりました↓

相変わらずざっくりスケッチですが
PLUTOはJTを見ています
足を木の根に絡まれて転倒したPを笑いながら構うJ
わざと怒ってお道化るQ
笑いながらその場に駆け寄ろうとしているJT
JTの後ろには森の奥の異変に気づいて戦慄するK
左半面はほぼ前スケッチと同じだどGは銃でなく棒を持っている
(銃と両方持っててもいいキャラです)

依然として左半面にボリュームのなさを感じてしまいますが
JTとPLUTOの関係はたぶん鮮明にできた気がします
「目は口ほどに物を言う」でしょうか
目線を向けるだけでむしろ色々企てるより色々なことを語りそうです
それだけに描くのが難しいです
やはりどうしても”コングと女性”感は出てしまいそうです

前スケッチに比べてQとPLUTOの関係性は薄まりますが
次のシーンでは無理やりPLUTOにまとわりついて描こうと思います
Qはいつもしつこく関わろうとするやつです
しつこくPLUTOとともに描いていれば自然と関係は深まりそうです

その後、やっぱり左半面が寂しいのでJを左半面にくるように体勢を変えました

シーン16は現状スケッチこんな感じです


シーン18修正


次にシーン18を修正します

修正前↓


修正後↓


画面中央の少女JTはおばあさんと工場長に止められて居残り

その横、画面右には村(工場)の人々、その中にあとで助っ人になるエンジニアが飛行翼をつけて何か力説しています

このシーンは背景に豆粒ほどの群衆をできるだけ詳細に描きたいと思っていますが
それはのちにゲットー(下界)がお祭りからの暴動で火の渦になる前兆を描きたいからです

シーン19では起動エレベータに括り付けられて上昇するPLUTO の下で業火に包まれるゲットーの炎と黒煙だけでも描きたいです


シーン24「破綻」以降のストーリー

さて
これでJTの再登場のための伏線はある程度準備できたことにして

シーン24に至ってCITYの”新世界”が破綻に傾いてのちを想像していきます

結論から言って
PLUTOの暴走(への傾き)をJTの介入で阻止する流れを想像しています

PLUTOの暴走とは負の連鎖が善の連鎖を上回るイメージで
天使VS堕天使の戦い(引用:『ミカエルとルシファーの戦い』)
において堕天使側が攻勢の状態
地獄図の様相になるイメージでしょうか

ただ、この出来事は「CITY内の一施設でのシミュレーション」のイメージですが
それにCITY全体に波及してしまう感じかな?

CITYの外側からその波及していく様子を描ければ
JT再登場の糸口になりそうです

助っ人エンジニアの発明した飛行機に乗って
CITYまで到達したJTの姿をCITYの外観とともに描けそうです

ただその前に他のRABBITSクルーがまだPLUTO&Qに合流できていません

”破綻”はまずシミュレーション内で起こり
それがCITY全体に波及し始めて
同じく起動エレベータでCITYに到着したクルーがその様子をCITY内部で目撃する
というシーンを間に挟もうかと思います

すると

シーン24「破綻」=堕天使が天使を上回る

シーン25「波及1」=CITYの一部に”破綻”が波及、それをRABBITSが目撃

シーン26「波及2」=さらに広がる”破綻”が波及、それを空からJTが目撃

という流れが想像できます

シーン26ではRABBITSクルーが何か行動するのも同時に描きたいです
QももちろんいつもPLUTOのそばで何かしら行動していると思います

その辺りも掘り下げていかないとですが

とりあえずJTの再登場の道筋はなんとかなりそうな気がしてきました

具体的にCITY内部に侵入する方法は重要ではないので深く考えません
JTが来たこと自体が重要だと考えています



身体の不自由な少年について

さて
PLUTOが見つけた身体の不自由な少年はPLUTOに接して奇跡が起こるわけではないかなと思います
PLUTOはただ眼差しただけ、手を添えただけでいいと思います

ただ眼差す(愛ざす)ことで少年は存在価値を見出された

それ以上であってはいけない気もします

その眼差しがあったからなのか、そうでないのかは問題ではなく
とにかくそれをきっかけに少年はレリーフから抜け出して
無人の世界を生き始めた

彼は人類の始祖かもしれません
この世界で初めての人間
あるいは最後の人間であってもいいです
どちらでも同じことのように思えます

超現実の新世界の中で奇異な存在として生まれた少年は
だからこそ
少しも奇異ではない真っ当な人間かもしれません


破綻が波及したCITYにJTが到達しPLUTOと合流
PLUTOの暴走は止められましたが
波及した新世界はどうすることもできません

もはやその破綻はPLUTOの領分から離れました
破綻は少年の手に委ねられました

という設定にしようかな

今日は時間が来てしまいました

次回また考えます

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