新作の完成と説明
新作完成しました
本作で14枚目のHSL(HOMO SAPIENS LUMEN)シリーズは物語形式の連作です
物語は架空世界の少年少女が巨人と出会い行動を共にするというものですが
具体的には描き進めながら筋立てています
物語形式の発想は宗教絵画の模倣です
もともといわゆる”人間性”を描いてみたいという気分から下のような前段階的な制作がありました
などなど
そのほかいろいろ試行錯誤するなかでだんだんと群像図の形式に関心を持ち
聖書の物語を再現する宗教絵画の形式を模倣することにしました
映画の絵コンテのように絵で物語を展開させるアイデアは後付けでしたが聖書のように元ネタがないので必要でした
ストーリーテリングに捉われて説明的になってしまった面もありますが
いまは物語のうちの特別なシーンを選んで描きたいと考えています
それは喩えの映画の名シーンをなぞるのではなく
”絵画としての名シーン”のようなものです
前段、宗教絵画の形式を模倣していると書きましたが
今回の14枚目では実際に宗教画のテーマ「受胎告知」を引用してもいます
下はダ・ヴィンチの『受胎告知』です
宗教画は多くのアレゴリー(寓意)つまり聖書の物語の内容を示唆するアイテムが用意されています
たとえば「受胎告知」では「白百合」「鳩」など
宗教絵画では登場人物はそれぞれに物語における背景を持っています
「受胎告知」でマリアに相対するのは神の意思を伝えるメッセンジャー大天使ガブリエルであると決まっています
今回はこの「受胎告知」を引用することで物語を示唆しようと試みています
画面やや右の青いドレスの少女がマリア
画面左の切れ切れの少年は大天使ガブリエル
左端の白百合、少女の頭上の鳩は「受胎告知」のアレゴリーを引用しました
それから画面中央、ケルトの墓前にはトケイソウを描いています
(画像では小さくて確認難しいですが)
「受胎告知」のアレゴリーではありませんがこのトケイソウには「受難」という寓意が込められています
大天使ミカエルのようなメッセンジャーである切れ切れの少年は、青いドレスを着たマリアのような少女に”りんご”を託そうとしているのですが、それが受難の始まりであるという示唆として描いています
このりんごによって少女たちは巨人に出会うという筋立てなのですが、その邂逅ををより印象的に象徴するのに「受胎告知」を引用してみました
「受胎告知」では告知を受けるのはもちろんマリア一人ですが、本作では六人のチームで告知を引き受ける筋立てです
もしもこういうことができるとしたら
マリア一人でなく六人にキャラクターを分散・拡大することでより幅広く”人間性”を描くチャンスを作れればと考えています
ちなみにこれの次の一枚はもうすでに完成しています
これはりんごの導きで眠って遺跡化した巨人(人造物)を発見し
そのりんごを胸に埋め込んで再起動させるという筋立てです
そして次作はこの巨人が目覚めて六人と邂逅する場面を描けたらと思っています
しばらく構想期間として毎週金曜日の当投稿はお休みになると思いますが
構想のめどがつけばまた週一回のペースで制作近況お伝えできたらと思います
今後ともよろしくお願いいたします
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”火事の家”をモチーフにしたシリーズ作品とその制作ノートを発表します。 作品画像は一日一点、ノートは週一度のペースを想定していますが、不定…
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