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カードの破壊が並行する場合 ― 発動と解決の順序(中級編) ― イジンデン ルール理解


はじめに

 イジンデンのルールを体系的に理解していくこのシリーズ。今回も前回に続き、発動と解決の順序を見ていく。前回の記事は以下を参照されたい。

 今回は中級編として、戦場のカードが破壊されることも並行する場合を見ていく。(初級編終わりの時点では今回を上級編にする予定だったが、より複雑な発動の例があるため、それを次回の上級編に譲り、今回を中級編にした。)

破壊されているカードを墓地に置くルール

 イジンデンのカードの中には、遺業能力(カードが墓地に置かれたときに発動する能力)だけでなく、カードが破壊されたとき/破壊されるたびに発動する能力もある。《今川義元》や《革命の広場》などの能力がそうである。

破壊されたとき、戦場のハイケイ1つを指定して発動できる。そのハイケイを破壊する。

《今川義元》の能力(抜粋)

イジンが破壊されるたび、1ドローする。

《革命の広場》の能力(抜粋)

 今回考える状況として、自分の戦場に《今川義元》とガーディアン1体が、相手の戦場に《ドナテッロ》と《革命の広場》が置かれていたとする。そして自分は《カタストロフィ》をマホウ使用し、ガーディアン1体を山札の下に戻して発動させた。ここで、カードの能力はどのような順序で解決するのか、そしてカードはいつ墓地に置かれるのかを見ていこう。

状況例1

 あらかじめ押さえておきたいルールは、破壊されたカードはいつ墓地に置かれるのか、ということだ。これはルール補足に次のように記載されている。

【破壊されているカードを墓地に置く】
破壊されている状態のカードは、他に行われる処理が無いときを待って、破壊された順番や、どちらのプレイヤーのカードかに関わらず、すべて同時に墓地に置かれます。
カードの使用中や、能力の発動中、発動を待っている能力がある間などは破壊されている状態で戦場に置かれ続けます。

イジンデンEXRule_240708.pdf(強調は引用者による)

 重要なのは太字で強調した箇所である。このルールは第3弾の初期から明記されるようになった。

破壊されている状態で戦場に置かれ続ける

 それでは先ほどのカタストロフィの例を見ていこう。前回導入した『スタック的』な棚を上段に、戦場の状況を下段にした図を用いて、それぞれの変化を段階的に見ていく。

状況例1の解決 (1/5)

 まず、《カタストロフィ》が発動を待っている状態になって棚の1段目に積まれ、そして実際に発動し、《今川義元》と《ドナテッロ》が破壊される(上図下段右側)。そして破壊されたことを契機として、今川義元と革命の広場(今川義元とドナテッロの2つ分)の能力が発動待ちになり、棚の2段目に積まれる(上図上段右側)。カタストロフィは発動済みの状態になるが、上方の段に発動を待っている能力が残っているので、便宜上、まだ棚からは取り除かれない。

 ここでのポイントは、《カタストロフィ》によって破壊された《今川義元》も《ドナテッロ》も、まだ墓地には置かれない、ということである。ルール補足が言う「発動を待っている能力がある間などは破壊されている状態で戦場に置かれ続けます」というのはこのことである。

状況例1の解決 (2/5)

 続いて、棚の最上段=2弾目に積まれている能力のうち、ターンプレイヤーである自分の能力を先に解決するため、《今川義元》の能力を解決する。これは発動が任意の能力だが、実際に発動させたとして、相手の戦場の《革命の広場》を破壊した(上図下段右側)。

 ここでのポイントは、《革命の広場》が棚の上方に積まれた(=入れ子が深い)能力によって破壊されたからといって、他のカードよりも先んじて墓地に置かれることはない、ということである(もし先んじて墓地に置かれるルールだったら、棚に残っている2つの能力はいわば「立ち消え」して実際には発動しないことになっていた)。《今川義元》や《ドナテッロ》と同様に、破壊されている状態で戦場に置かれ続ける。

状況例1の解決 (3/5)
状況例1の解決 (4/5)

 さらに棚の最上段=2弾目に積まれている能力を解決していく。残りは相手の《革命の広場》の能力のみであり、相手は《今川義元》分、《ドナテッロ》分の順に解決したとする。これで棚は空になった。

 そして発動を待っている状態の能力がなくなったことで「他に行われる処理が無いとき」になり、破壊された3つのカードはようやく、同時に墓地に置かれることになる(上図下段右側)。これらのカードはいずれも遺業能力を持っているため、それぞれが発動を待っている状態になって棚に積まれる(上図上段右側)。あとの解決はこれまでの例と同様である。

よくある状況1:《曹操》と《鑑真》

 ここまでに例示した状況はかなり作為的なものだが、もっと実際によくある状況として、徴募デッキにおける《曹操》と《鑑真》の例がある。

自分の戦場の青のイジンがアタッカーになったとき、アタッカー1体を指定して発動できる。指定したアタッカーを破壊して、1ドローする。

《曹操》の能力(抜粋)

航海 - アタッカーになったとき、1ドローして、これを破壊する。

《鑑真》の能力
状況例2

 例えば、両イジンが1体ずつ戦場にいる状況で鑑真がアタックしたとする。このとき、曹操と鑑真の能力はどのように解決できて、鑑真はいつ墓地に置かれて、結果的に自分は何ドローできるのか。

 結論を先取りすると、第3弾のルールではどのように解決しても、鑑真の遺業能力込みで最大3ドローできる(第2弾の裁定ではどのように解決しても最大2ドローしかできなかった)。そして、もし戦場に追加の曹操がいるなら、その分だけドローできる枚数は増えることになる。

曹操を先に解決した場合

状況例2を《曹操》から解決 (1/3)

 先ほどの例を曹操の能力から解決した場合を見ていこう。鑑真は曹操の能力によって破壊され、自分は1ドローした。鑑真は破壊されている状態になるが、発動を待っている状態の能力がまだあるため、墓地にはまだ置かれない。

状況例2を《曹操》から解決 (2/3)

 続いて鑑真の能力を解決する。自分は1ドローするが、鑑真は既に破壊されているため、鑑真自身の能力によって重複して破壊されることはなく(いわゆる「できる限りで行う」ルール)、単に破壊されている状態のままである。

状況例2を《曹操》から解決 (3/3)

 これで発動を待っている状態の能力がなくなったため、鑑真は墓地に置かれる。自分は鑑真の遺業能力で1ドローし、累計で3ドローしたことになる。

鑑真を先に解決した場合

状況例2を《鑑真》から解決 (1/3)

 今度は鑑真の能力から解決した場合を見ていこう。自分は1ドローし、鑑真は自身の能力によって破壊された(上図下段右側)。鑑真は破壊されている状態になるが、発動を待っている状態の能力がまだあるため、墓地にはまだ置かれない。

状況例2を《曹操》から解決 (2/3)

 続いて曹操の能力を解決する。この能力は「アタッカー1体を指定して発動できる」ものであり、そのアタッカーが破壊されているか否かは考慮していないため、鑑真を指定することができる。自分は1ドローするが、鑑真は既に破壊されているため、曹操の能力によって重複して破壊されることはなく、単に破壊されている状態のままである。

状況例2を《曹操》から解決 (3/3)

 あとは先ほどと同様に、これで発動を待っている状態の能力がなくなったため、鑑真は墓地に置かれる。自分は鑑真の遺業能力で1ドローし、累計でやはり3ドローしたことになる。

よくある状況2:《張角》と《バレット》

 他にもよくある状況として、戦場に《張角》がいる状況で《バレット》をマホウ使用&冥府発動する例がある。いわゆる「張角バレット」である。

これが戦場にいる間、ターンに1回、自分の墓地にある「冥府発動」の遺業能力は、戦場でない場所から墓地に置かれたときでも発動する。

《張角》の能力(抜粋)

自分の戦場のイジン1体と相手の戦場のイジン1体を指定して発動できる。それらのイジンすべてを破壊する。

《バレット》の能力
状況例3

 例えば、自分の戦場に《張角》が、相手の戦場にイジンが2体以上いる状況で、バレットを使ったとする。ここで、相手のイジン2体を破壊するために、自分の犠牲は張角1体だけで済ますことができるのか。

 図は省略するが、これも先ほどの曹操と鑑真の例と同様に、第3弾環境では破壊されたカードを墓地に置くタイミングのルールにより、張角1体の犠牲だけで相手2体を破壊できる。

 なお、第2弾環境でも張角バレットは可能だった。こちらの詳細はゆたかびとさんの記事を参照されたい。

おわりに

 中級編は以上である。次回は上級編として、発動の重複の有無と、何段階にも連鎖する発動を見ていく。

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