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【スタンダード】ティムールクローバーガイド【ミシック2桁】

・前書き

初めましての方は初めまして。石川県でマジック・ザ・ギャザリングのしがない競技プレイヤーをしているSWDと申します。
普段はMTGAでbwd_shine、MagicOnlineではazatoyellowという名前で遊んでいるのでそちらの名前で知ってくれているという方もいるかもしれません。

さて、今回は3/14に行われるアリーナMCQに向け、最近ミシック帯で使い続けているティムールクローバー(以下クローバー)の解説記事を書いていきます。
自分は特に普段からスタンダードを熱心にプレイしているというわけではないプレイヤーですが、参考までに2月後半~現在まででMTGA上でクローバーを使い100戦近くBO3のランク戦を回し、7割越えの勝率と2桁順位をキープできています。勿論限られた環境のデータではありますが、ある程度の指標にはなるはずです。

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また、過去2回noteにて同様の戦略記事を書いているので、初めましての方はこちらにも目を通してくださると僕の人となりや記事の雰囲気が伝わるかと思います。合わせて読んでいただけると一層励みになります。(どちらも有料記事として公開していたものですが、旬が過ぎたスタンダードの記事に関しては現在無料で公開しています)


そして今回も前半の無料部分でデッキを使用するに至った経緯と概要を、後半の有料部分でデッキの基本的なセオリーや主要アーキタイプ8種とのマッチアップガイドを解説していきます。
サイドボーディングに関してはデッキの性質上最低限のインアウトのみ書いていますが、その分マッチ毎のゲーム観などについて力を入れて書いたつもりなので、前半部分で興味を持ってくれた方や更にこのデッキについて知りたいと感じた方は是非記事を購入していただけると幸いです。


・事の始まり

先月末、3月のアリーナMCQの参加権利を得る目的でラダーを走るにあたり、相棒となるデッキを探していた。
自作のラクドスサクリファイスを使いミシックランクには月の半ば辺りで到達していたものの、当時流行の兆しを見せていたジャンドサクリファイスやバントランプに対し相性がいいとは言えず、また最新のメタに合わせリストをアップデートする時間も無かったため悩んでいた。

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2月半ばにミシック到達したリスト。当時は青白コンや赤単を仮想敵としていた。

Team Cygames所属の強豪、市川ユウキ氏がPTQを抜けたリストを参考にジャンドサクリファイスもプレイしたが、上位帯に少なからずいるジェスカイ《創案の火》デッキに対して改善できない相性差があると感じ、感触はイマイチだった。


そんな中、アメリカで行われたMTGAの大型大会、Dreamhack Arena Open(http://www.izzetmtgnews.com/archives/91361)にて彗星のごとく現れ優勝をかっさらっていったのがこのクローバーというデッキだ。

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使用者のAaron Gertler(MTGAアカウント:littlebeep)は同デッキを使用し続け2月シーズンのミシック1位を保持し続けていた強豪ということもあり、一躍Tire1の一つとして認識されることとなる。
かくいう私もこの結果に影響され同デッキを使用し、ほぼ初回しに近い状態ながらミシック帯で8割近い勝率を維持し、安全圏に入ることができた。

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コンセプト自体は全環境からあったクローバーだが、最新弾のテーロスで全体除去の《嵐の怒り》や軽いエンチャント除去である《神秘の撤回》を手に入れ《願いのフェイ》の有用性が上がったことでデッキパワーが数段上がっていること、環境に《ショック》などの軽量除去が減り、《エルズペス、死に打ち勝つ》に代表されるような大振りなアクションが増えたことで《エッジウォールの亭主》が生き残りやすくなったことが勝因だと感じた。

また、レンジが違う多角的な攻めが可能なこともこのデッキの特徴であり強みだ。

1.出来事生物によるビートダウン
2.《幸運のクローバー》
《エッジウォールの亭主》のアドバンテージ
3.《豆の木の巨人》《僻境への脱出》によるランプ戦略

カウンターやアーティファクト対策にはスタッツの高い生物によるビートダウンで、除去デッキにはアドバンテージ差で、といった具合にどれか一つを対策されても乗り越えられる程度にはデッキ内の勝ち筋が多く、これら全てに対処できるデッキでないと勝率を維持することは難しいのだ。

以上が私が思うクローバーの強みだが、そこまでデッキパワーが高いにも関わらず何故大会の上位がこのデッキで埋まっていないのか?
それは、このデッキが難しすぎるからだと考えている。
出来事をスペルモードで唱えるか生物で唱えるかの選択は勿論、それらを展開する順番や《願いのフェイ》で持ってくるカードの選択など、とにかくゲーム中の分岐点が多く、そこに《僻境からの脱出》なども絡んでくると脳がパンクしそうになることもしばしばで、このデッキを完璧に使いこなせる人間はいないのではないか?とさえ思う時もある。実際、見た目で使うことを敬遠しているプレイヤーは多いのではないだろうか。

しかし、だからといってこのデッキが「専用機」だとは思わない。
並のデッキでは追いつけないほどのブン回りが複数存在し、多少のミスが気にならなくなるくらいの所謂「何やっても勝ち」状態になることもよくある。
ブン回りがあり、対策カードに強く、使いこなせれば最強だがそうでなくとも一定以上のデッキパワーを持っている。
トップメタの条件を全て満たしているこのデッキを使わない理由はない!

ということで今回は直近のラダーで使用していたリストを元に、クローバーデッキのキープ基準やセオリーなどについてできる限り解説できればと思っている。
アリーナMCQやPTQの参考にしていただければ幸いだ。

・デッキリスト

さて、前置きが長くなってしまったがこちらが現在のデッキリストだ。

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マナベース

土地構成は比較的オーソドックスだが、序盤に必要となる緑マナは最低限17枚欲しく、赤マナが足りなくなって《砕骨の巨人》や《僻境からの脱出》のキャストが遅れることも頻発したため基本土地枠を1枚削りショックランドを1枚増やしている。ランパンから持ってくる土地が足りなくなったことは一度もなく、現在の比率で概ね満足している。(後述する自由枠に採用するカードによっては赤や青の比率を増やすために占術土地の枚数を弄ってもいいだろう)

メインボード

メインボードは31枚が確定枠で残り2枚の自由枠を何にするかといった感じだが、現在は《世界を揺るがす者、ニッサ》と《成長のらせん》に振っている。特に《世界を揺るがす者、ニッサ》はランパンから早期に展開しマウントを取りつつ行動回数を増やせてデッキと非常に噛み合った1枚だ。
《成長のらせん》は追加の潤滑油として1枚採用しているが土地2と《豆の木の巨人》のようなキープもよくするため手札における土地が無かったりそもそも撃っている暇がないことも多く、ここは追加のニッサや別のカードでも構わないと思っている。
定番の《グレートヘンジ》は動き出せば無双するものの、序盤にキャストするためにはほぼ丸々1tを費やす上、環境にアーティファクト破壊が増えたことで場持ちも悪くなったため現在は入れない方が無難だ。

サイドボード

サイドボードは前述のクローバーマスター、littlebeepがuntapd.gg内で公開していた最新リストを元に調整を施している。
《送還》や《レッドキャップの乱闘》など1マナのカードが増えているのが特徴で、《願いのフェイ》で手札が増えたはいいものの盤面を捌ききれない状況が多発していた以前までのリストと比べ無駄がなくなっている印象だ。
特に《墓堀りの檻》はサクリファイス系には勿論、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などの脱出クリーチャーに対する蓋としても機能するナイスカードで、クローバーのサイドにおける革命とさえ感じている。

《発展/発破》はXドローのモードで使うことは稀だが《投げ飛ばし》をコピーしてのバーン勝ちや《嵐の怒り》をコピーして《世界を揺るがす者、ニッサ》、3/3土地、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が並んだ盤面を一掃したりと何かと便利な一枚だ。
同様にサイドの1枚積みカードを使いまわす目的で入っていた《過去と未来》(4マナ2枚回収)は大抵の場合撃っている暇がないかオーバーキルのどちらかで帯に短し襷に長しとなりやすく、30戦ほど回して一回もサーチしたい場面が無かったので不採用としている。が、対ランプや同系のロングゲームをより重視するなら検討の余地はある。

・ティムールクローバーのセオリー

ここからはクローバーを使用する上で意識すべきプレイングやマリガン基準など、より具体的なゲームプランの話に移っていく。

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