指す将順位戦6th 自戦記 A級2組5回戦

事前準備

5回戦のお相手はたそがれジャムさん。指す将順位戦6thではここまで開幕4連勝で、大変な強敵である。
将棋俱楽部24の棋譜を見ると、角換わりで激しく動いていくことが多く、対振り飛車にも急戦策を多用している。
対して私は、合意があれば相掛かりで、なければ角換わりに突っ込もうと考えていた。

意外な出だし

先手番となり対局開始。最初の6手を示す。
▲2四歩 △3四歩 ▲7六歩 △3二金 ▲2五歩 △3三角
後手は一手損角換わりかと思いきや、角を上がってきた。居飛車党なので阪田流は考えにくいが、もしかしたら最近流行している△3三金型早繰り銀の可能性もあると思い、すぐの角交換は避けて普通の角換わりにした。後手はここから積極的な構想を見せた。

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いつ見ても恐ろしい桂跳ね

後手は居玉のまま、飛車先を突き捨てて勇躍△6五桂。その筋を警戒して右金は5八に上がっているのだが、大変怖い。ここで私は5分の長考に沈んだ。▲8八銀と引いても▲3六歩が突いてあるため、角のラインも絡めて技をかけられそうで▲6六歩から桂を捕獲する順はなさそうと判断し、▲6六銀を選択した。以下△8六飛▲8八歩△6四歩▲4六角△7三角と互いに角を手放して落ち着いた。

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思い切りよく

下図で、後手の飛車と玉の位置関係に着目し▲6五銀△同歩▲7三角成△同銀▲9五角と駒損ながら攻めていった。ここまではうまく咎めることができたと思っていたのだが、指しすぎだったようだ。角を打ってから後手の考慮中に切り返しの好手があることを発見し、後悔していた。

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クリーンヒットはしない

下図では、△8六角なら交換後再度▲9五角があるが、お返しに△6四角があった。先手は飛車を先に取れるが、取った後の角が7三の銀に当たってしまい、結局後手に馬と手番を許すことになる。実戦は△8三飛▲7四歩△6二銀▲7三歩成△同銀▲7五桂と進み、技がかかったかに見えるが△8四角と当て返された。

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飛車はうれしいが

▲同角△同飛▲9五角は△7四飛で桂馬が空振るため、▲8三桂成△9五角と飛車角交換になった。▲7七歩△7六歩▲9六歩と角に迫るも、△7七歩成▲同桂△5五角と二枚角が襲ってきた。玉のコビン攻めは、受けきれそうに見えてもなんだかんだ手が続くことが多く、実際されると毎回悩んでしまう。

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弱気になる

下図では▲3七桂と飛車を守る方がよかった。△7七角左成はもう片方の角が当たりのままになるため△7七角右成からだが、残った角は先手玉には直撃せず、右辺も広いため十分な形勢だったようだ。実戦はこの順を逃し、▲9五歩△2八角成▲4六角から後手の馬を消すも、△6二銀と逃げられ、局面の急所が全く分からなくなった。

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踏みとどまる

悩んだ末の下図の角打ちが、▲4一飛の詰めろと桂頭を守った手。見慣れない角だが、しっくりくる受けが私には見当たらず、打ってから意外と悪くない手なのではと思った。対局中は「敵の打ちたいところに打て」で△4一角も気になった(▲同角成△同玉は手損)が、見た目からして指しにくそうだ。実戦は△7四歩だったため歩の裏に▲7三歩と垂らし、駒損回復の目処が立ったため少し安心した。

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頑強な受けに遭う

香車を取りながら龍を作り、成桂と銀を交換して駒損を回復するも、後手の受けが粘り強く決定打には至らない。下図、先手は気を付けるべき筋がある。8五の角が逸れると△7六桂の一手詰。実戦の▲5九金△2九飛成としたあとも、いずれ△3六角と出られると△5九龍からの3手詰の詰めろになる。形勢は少し良いはずだが、非常に怖い局面だ。

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左右どちら?

先手は桂と角を前進させ、後手も△8二香から△7六桂と挟撃を狙う。下図ではelmo風の囲いがよく見え▲5八玉と逃げたが、これが後手の角のラインに入り危なかった。感想戦では▲7七玉と逃げておけば6六の空間が大きく、先手有望とされた。

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派手さに惚れて

△5五桂と設置されるが、構わずズドンと▲5三桂成と飛び込む。この手は詰めろ龍取りだが、△3六角と飛び出して龍取りは簡単に受かる。思わず指したくなり、他の手をあまり読まずに指してしまったのが、甘いところである。感想戦では代えて▲3七銀打を指摘され、このほうが冷静な好手である。後手は持ち駒が歩のみなので受けが難しい。

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猛反撃を食らう

△3六角以下▲4七銀△同桂成▲同銀に△3八龍。この手は先手の角の利きに龍を入れたままの手なので完全に読み落としていた。▲4八桂の合駒で何もないと思っていたが、△4七角成▲同角△4九銀が強烈な一発目の銀捨て。3八に龍を引いたからこそ生じる手である。

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▲6九玉△4七龍もありそうだが、とても1分で後手玉の寄せが見えないため断念。同金に△6九銀が二発目の銀捨て。

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無念の逆転負け

下図で▲同玉が敗着で即詰みに討ち取られた。感想戦で▲5九玉を指摘され、△5八歩には▲同金と応じて△3九龍▲4九銀△7八銀成のあと、後手玉が詰みそうということだった。実戦は後手の歩が5筋にも6筋にも効くことに気づいて焦ってしまい、正確な読みができなかった。1分で後手玉の詰みは正確に読み切れないのだから、先に自玉が詰むかどうかから読むべきだった。

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最後に

感想戦では、最終盤の読みはお相手の方が明らかに深く、逆転するべくしてしたのだと感じた。今期負けなしの方に勝てそうな将棋だったので悔しいが、前局の完敗をある程度払拭できる内容にはなったと思う。
対局相手のたそがれジャムさん、ありがとうございました。
※棋譜は将棋倶楽部24から

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