指す将順位戦6th 自戦記 A級2組6回戦

事前準備

6回戦のお相手はあさねぼうさん。広く深く将棋情報を発信してくださっている方で、その丁寧さを見ると寝坊などするわけがないと勝手に思っている。
将棋俱楽部24の棋譜を見ると、先手後手ともに三間飛車・中飛車を採用しており、相振り飛車も全くいとわない生粋の振り飛車党である。
対して私は、基本居飛車で、後手を引いて▲7六歩△3四歩▲7五歩△1四歩▲1六歩となったときだけは相振り飛車にしようと考えていた。

超速は苦手

先手番となり対局開始。最初の6手を示す。
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △5四歩 ▲4八銀 △5二飛
後手は予想の本命であるゴキゲン中飛車を採用してきたが、私は超速の序中盤を上手くさせた記憶がない。ソフトの評価値は+200など出るが、どうも私には向いていないようだ。また、一直線穴熊は指したことがない。結局は単なる勉強不足と言えるのだが。

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密かな趣向

△5三銀と上がり、一瞬飛車先が重くなった瞬間にこちらも▲3六銀と上がる。飛車先の歩を2六で止めているのがポイントで、銀の出先を2五にも用意している。ただ、抑え込みの方針を採るならば、▲7七角に代えて▲7七銀からニョキニョキ出る方が良かったか。後手の片美濃に比べ、先手の囲いはなんとも中途半端な形に見える。

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一歩掠めた後が問題

当初の目的通り3四の歩を取ることに成功したが、銀一枚だけではまだ攻めにはならない。対して後手が銀の活用を目論み6筋を伸ばしてきたのが下図。このまま△6五歩とぶつかると彼我の銀の差が大きくなるため、▲4五銀とぶつけた。△同銀と取られても正直よく分からなかったが、△2二角▲6七銀と進み、銀2枚を中央利かせてまずまずとみていた。

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歩得拡大、しかし

下図以降、▲5四銀△同飛▲6五歩となり二歩得。しかし後手も△5六歩と突き飛車角を目一杯働かせてくる。

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形勢は少し良いかとみていたが、網が破れると一気に混沌とするため、細心の注意が必要だ。▲同歩とさらに歩得を狙う手もあったが△7七角成▲同桂△3九角から馬を作られた後の方針が分からなかった。▲2二角成△同金▲4五銀と飛車に当てて強く反発したが、△3九角とさらに打ち合いになった。

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二択

下図以下▲5四銀△2八角成と飛車を取り合ったが、取らずに▲3八飛とした方が良かった。△5七歩成▲5四銀△5八と▲同金の瞬間は角取りが残り、後手は持ち駒を打って絡むのが難しい。△2四飛▲3九飛△2六飛にも、▲3七角と打てばそれ以上は何もない。早く▲6四歩を突きたい思いが読みを鈍らせた。

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馬の潜在能力

後手は△4六馬を引けると、▲6四歩を防ぎつつ△5七歩成を狙えるため味が良く、それを避けるため天王山に角を設置した。△5七歩成▲同金△3八飛には▲6八飛と打ち、▲2二角成が残るため良しとみていたが。△3八飛に代えて△3九馬があることに気づき自信を無くした。飛銀歩の豊富な持ち駒を活かしたで攻めを受け続ける展開になりそうで、▲2二角成の暇がなさそうだ。

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檻の中の飛車

飛車打ちに対して自陣飛車で対抗。前の局面の読み筋でも登場したが今回は飛車当たりではないので、お荷物になる可能性もある。できることなら飛車は敵陣に打ちたいが、個人的に玉飛金の横並びは結構堅く好みである。ここをしのげば依然として▲2二角成や▲6四歩の楽しみがあると判断し打つことにした。以下△4九銀▲5六歩△5八銀成と進み、5筋の歩のぶつかりを解消することができた。

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取り方を誤る

ここは当然▲同銀として飛車の視界を開く一手で、後の▲6四歩がさらに強力な一手になる。▲同金と応じたが、玉飛金の並びは保てても下段の風通しがよく危険だった。そして△4四金と打たれてはっとした。銀ならば角を逃げておけばよいと思っていたが、金だと5四の銀に当たるため▲同角と応じるしかなくなってしまった。

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苦渋の銀打ち

角金交換後、下段の薄さを解消するため▲4九金と打ちたかったが、△3六飛成▲6四歩にちょうど入手した歩を△6二歩と打たれて完切れの可能性があるため断念。自陣に手を入れずに▲6四歩は△4六馬があり、攻め合いに自信が持てなかった。▲4七銀は自玉から遠く、△3九飛成と手順に成られて気持ち悪いがようやく▲6四歩が実現した。

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先手は選択肢が少ない

後手も受けは難しく、△2九馬▲6三歩成△4七馬▲7二と△同金▲4七金と一気に取り合いになった。後手に踏み込まれると、先手は6筋の一点狙いしかないためこう応じるしかない。

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下図で後手の候補手として△6六歩、△7九銀、△5九角、△7九角など手が広く、いずれかは攻めが繋がる手順がありそうだったが互いに時間がない。実戦は△5九角と打たれ、飛車が逃げると角の効きが残るため、▲6三銀打と食いついた。いずれ後手の攻め駒の銀になりそうなため怖いが、他に手が見当たらなかった。

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屋上を目指して

△7一金とかわす手には▲5三角の追撃があるため受けは難しい。下図以下△6八角成▲同玉△6九飛▲7七玉となり、上部脱出を目指す形になった。さらに6三の銀を補充され、飛車を切られて△6九龍と迫られた。

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下図で△5八銀には▲7七玉、△7八銀には▲5七玉とそれぞれ打たれた方と逆側に逃げる手を見せ、何とか逃げ切る格好となった。実戦は△6六歩だったが▲5七玉とよろけ、ここまでくると後手に金がないのが先手にとって幸いで、ようやく勝ったと思えた。

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連敗を止める

投了図は、自陣の歩がすべて4段目以内にいる珍しい形になった。
この対局で敗れると、3連勝からの3連敗で大失速の感が否めないので、勝ててほっとした。

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最後に

ゴキゲン中飛車に対して珍しく序盤はある程度指せたが、その優位をフイにする手が中盤に目立った。ただ、急に形勢を悪くしたような内容でもなかったため、不思議な手ごたえを感じている。
対局相手のあさねぼうさん、ありがとうございました。
※棋譜は将棋倶楽部24から

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