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エベロンの住民たち─エベロンの種族─

エベロン世界では種族の特性よりも育ったコミュニティ、国家への忠誠心や信じる宗教に大きな影響を受けます。ですが、それは種族特有の特性、エベロンの歴史で占めた役割によって受けた影響がなくなるわけではありません。もし、キャラクターを作る際に育ったコミュニティの影響を重要視する際はこちらの記事が役に立つはずです。


既存の種族

エベロンの世界でも他の世界で一般に見られる種族を見かけることが出来ます。ですが、そのまま他の世界でのステレオタイプが種族に当てはまるわけではありません。例えばオークが必ずしも野蛮な血に飢えた種族という訳ではなく、ゴブリンは多くの都市で平和に暮らしを立てていることが多いのです。エベロンの種族は悪魔や天使といったその属性が固定された存在以外の生物は生まれ育った環境や文化に強い影響を受けています。そのため、同じエルフでもエルフの共同体で育ったものはエルフの、ドワーフの共同体で育ったのならドワーフの文化に強い影響を受けます。エベロンの都市部ではエベロンに住まう種族の殆どが暮らしていますが、それ以外の地域で、種族固有の国家やそれに類するコミュニティも存在します。以降の種族の紹介ではその種族が一般的にどう暮らしているか、どのような歴史をたどって来たか、そしてその種族固有のコミュニティについて紹介していきます。

エルフ

エルフの歴史はゼンドリック大陸で巨人族たちの隷属から解放されるために反乱を起こしたことから始まります。この戦いはエルフたちがゼンドリックを逃れてエアレナルという島国へと移住したことによって終わりました。このエルフたちは内省的なエアレナルと戦争好きのダーナダルの二つのグループに分かれました。全体的にエルフ族は保守的で伝統や過去への敬意について突き動かされ、父祖の技を再現することに心血を注ぎます。エルフの社会が何千年も変わらない中でコーヴェア大陸は変わり続けています。その中でコーヴェア大陸に暮らすことを選んだエルフはその変化に戸惑うことでしょう。

オークとハーフオーク

オークはコーヴェア大陸でも古い種族であり、狩猟と最終をして暮らしていましたが、やがてゴブリンのダカーン帝国が構成すると辺境へと追いやられていきました。その中で沼沢地のシャドウ・マーチで暮らすようになったオークは魔法を授けられ門を守る者という称号を与えられ地下に封じられた邪悪な悪魔たちの封印を維持する役割を果たしてきました。やがて、シャドウ・マーチにヒューマンがやってくると混血が進み、今ではシャドウ・マーチにはオークと同数のハーフオークが存在するようになりました。やがてハーフオークたちはヒューマンの国々へと移住するようになりましたが、都市の住民たちはハーフオークのことを理解しておらず、沼地からやってきた頭の悪い奴らというステレオタイプを信じいる場合も多いです。

ゴブリン類

ゴブリンとホブゴブリン、バグベアたちは、コーヴェア大陸を統一する偉大なダカーン帝国を築き上げました。しかし、エベロンを襲った異形の軍勢との戦いによって文明は衰退し、勝利を得た者の帝国は崩壊しました。やがて、コーヴェア大陸にやってきたヒューマンは部族単位で生活していたゴブリンたちを襲撃し、帝国の遺構を礎にして建造物を建て、ゴブリンたちを奴隷にして労働力として酷使しました。後に奴隷制が廃止され、市民として受け入れられた今でも、奴隷制の影響は根強く少なくない数のゴブリンがヒューマンの都市で貧困にあえいでいます。ですが、ゴブリンたちはそのようなヒューマンの都市に住まうものだけでなく独立したコミュニティを背景に持つものもいます。例えば英雄ハルークによって建国されたダーグーン(他記事参照)に統率された諸部族に席を持ち部族と自分の名誉に重きを持つ戦士としてのゴブリンやマーグルーと呼ばれる山地に住まい平地の共同体を襲撃して暮らしを立てているバグベアの戦士、果てはダカーンの末裔を名乗り、崩壊したダカーン帝国の技術を保存するのに成功した者たちのエージェントなど冒険者として優れた素地を持つゴブリンたちを使うことが出来るでしょう。

ティーフリング

エベロンにおけるティーフリングは地下に封印されている悪魔の王たちによる影響を受けたことによって生まれます。悪魔を信奉する部族で産まれたティーフリングは祝福の子として歓迎され部族の指導者と育てらます。
一般的にティーフリングを都市で見かけることは珍しく、冒険者としれティーフリングのキャラクターを作る際はなぜ辺境の地を離れ、異邦人としてやってきたことを考えるべきでしょう。

ドラゴンボーン

エベロンにおけるドラゴンボーンはドラゴンに仕えるために生み出され、ドラゴンの敵であるフィーンドと戦うための尖兵でもありました。ドラゴンボーンはコーヴェア大陸に封じられた悪魔の封印を守るためにドラゴンによって移住させられましたが今ではその務めを忘れ、クバーラの密林の奥深くで暮らすようになりました。ドラゴンボーンはヒューマンと関わることはありませんでしたが、クバーラの開拓が進むにつれて接触が増え始めていますが、一般的には一風変わったリザードフォークとして見られています。

ドワーフ

ドワーフはかつてコーヴェア大陸の地下に巨大な帝国を作り、数多の貴重な鉱石を掘り返し、鍛冶の腕によって素晴らしいアーティファクトに変えていきました。この帝国が滅び地上に追い出された後もこの偉大な帝国はドワーフたちにとって誇りをもたらしてきました。今でもこの帝国を再建することを夢見るドワーフは多いですが、帝国の残骸に住み込む異形によって夢は実現していません。
ヒューマンの国々においてドワーフは氏族ではなく自分が育った国々や都市に愛着を感じるています。ドワーフは建築家や技師として国を支え、戦争では勇敢な兵士として重宝されました。
ドワーフのキャラクターを作る際はヒューマンと同じように育った共同体について着目するべきでしょう。ドワーフが何に対して愛情を持っているか、そして、愛情を注いでいる作品を害しようとしている者をどれほど恨んでいるかを考えてみましょう。

ノーム

陰謀と策謀の腕にかけてはノームほど優れた者はいないでしょう。多くのノームは暴力を嫌い、言葉によって問題を解決することを好みます。ノームは知識を求める欲望、底なしの好奇心、知人の有用な情報のコレクションを持っています。ノームはその性質から商人、技師、学者、ならず者などあらゆる職業の者がいます。そして、どの職業においても、コネを重視して情報のネットワークを築いているものがほとんどです。一般的にノームの共同体で育ったノームは子供の頃から人身を操り欺くことを学び、成人になるまでにいくつものいたずら、小さな陰謀や策謀に関与しながら育っていきます。貴方が作るノームのキャラクターもその例に漏れないことでしょう。

ハーフエルフ

ハーフエルフはヒューマンとエルフの間に産まれる種族で、多くのハーフエルフは両親のどちらかあるいはどちらの影響も受けて育ちます。ですが、コーヴェア大陸の長い歴史の中でハーフエルフ独自の共同体と文化を持つ者たちが現れました。特に嵐のドラゴンマークを持ち世界の海と空に影響力を持つリランダー氏族を中心としたものたちはハーフエルフという言葉を嫌い自分たちをエルフ語でコーヴェア大陸の子を意味するコラヴァールという自称を使っています。
コラヴァールの共同体で育ったハーフエルフは他のハーフエルフをもてなすことが重視されます。このもてなしは命を懸けるほどに重いものではありませんが、情報や隠れ家などの提供を進んで行ってくれます。コラヴァールたちは週ごとに共同体の全員を集めた食事会を行い、ニュースやイベントが共有され、共同体としての絆を強めます。
多くのコラヴァールは架け橋という思想を尊びます。これは、異なる文化や種族を結び付け協力しあえるように努めることこそコラヴァールの使命だという考え方です。
冒険者としてのハーフエルフを考える際に重要なのは冒険者が育ったのがコラヴァールの共同体なのか、もしくはエルフとヒューマンのどちらか、あるいはどちらの文化も尊重する共同体で育ったかを考えてみましょう。ハーフエルフであることを誇りに思っているのか、それとも両親や育ったコミュニティの文化を誇りに思っているのか、あるいはそのどれもを嫌悪しているのかを。

ハーフリング

ハーフリングはタレンタ平原として遊牧民として暮らし、平原から外に出ることはありませんでした。ですが、ヒューマンがコーヴェア大陸に移住し始めるとヒューマンについて移民を始めるものが現れ、やがてヒューマンの都市で文明的な生活を謳歌するものと、昔ながらの遊牧民としての生活を続けるもので分かれました。タレンタ平原に住まうハーフリングについては冒頭の記事を参照ください。以降は都市に住まうハーフリングについて解説します。
都市のハーフリングたちは種族特有の機敏さと社交能力を活かして、バードや弁護士、商人、政治家として活躍することが多いですが、その才能を泥棒や詐欺師などの犯罪行為として利用する者も決して少なくはありません。ハーフリングの犯罪組織で特に悪名高いのがボロマール・クランです。エベロン最大の都市シャーンに根を下ろしたこの組織は長い年月をかけて、警察組織との癒着、政界に家族を送り込むことで、シャーンの裏社会を掌握しました。貴方の冒険者がシャーンに住むハーフリングならばボロマール・クランからの勧誘や仕事の依頼を受けたことがあるなどのつながりがあるかもしれません。

ヒューマン

ヒューマンの移民がコーヴェア大陸に現れたのは3千年も前のことです。それからヒューマンは徐々に住処を増やしていき、国を作り、偉大なガリファー王国の元にコーヴェア大陸を征服さえしました。ヒューマンじゃ今ではコーヴェア大陸で最も繫栄した種族です。ですが、ヒューマンはヒューマンが育った環境によってまるで別の種族のように姿を変えます。例えばデーモン荒野に住み、太古の悪魔を信奉するバーバリアンとブレランドの工房で驚異の発明品を生み出すアーティフィサーとでは共通点を見出すことが難しいのです。ヒューマンのキャラクターを作る際は育ったコミュニティに着目するとよいでしょう。特に記事の最初に紹介した「エベロンの主要な国家」が役に立つはずです。

エベロン特有の種族

エベロンでは上記のような他のD&D世界一般で見られる種族以外にもユニークで使って見たいと思わせるようなプレイアブル種族がいます。特にウォーフォージドは最もエベロンらしい特質を持っているので人気がある種族です。

ウォーフォージド

ウォーフォージドは最終戦争の後半に創造のドラゴンマークを持つカニス氏族によって生み出された機械人間です。当初は与えられた命令をこなすだけの人形でしたが、やがて改良が加えられたことで知性と人格、そして魂さえも獲得しました。
戦争が終結すると各国はウォーフォージドを単なる機械ではなく新たな市民として迎え入れ他の種族と同じ権利を与えました。しかし、ウォーフォージドのほとんどは戦争を戦うために生み出され、本人たちも製造の際に与えられた使命を果たすことが自分のアイデンティティだと考えているために、現在の平和になった世界で苦悩しつつ過ごしています。
ウォーフォージドの中にはかつての戦友や上官と共に冒険者となって暮らしている者も少なくなく、その中で個性が芽生え始めたものは金を使って自分の体をカスタマイズするものも多いです。

ウォーフォージドは鉄と繊維で形作られている

カラシュター

カラシュターは生まれながらにクォーリと呼ばれる別次元に住む霊的な存在と結びついた種族です。霊との絆は血統と結びついて、通常は親から子に自分と繋がる霊が何者であるかを語りつないでいます。カラシュターはクォーリと直接に意思疎通することが出来るわけではなく、クォーリの過去の記憶が一方的にカラシュターに流れ込んでくるだけですが、その絆によってカラシュターは超能力を使いこなすことが出来ます。
カラシュターと絆を結んでいる霊たちは夢の世界ダル・クォールを支配する邪悪な霊から逃れてきた者達で、ダル・クォールを奪還するために力をためていますが、ダル・クォールを支配する邪悪な霊たちもドリーミング・ダークという勢力を通じて現実世界に影響を与え、カラシュターを皆殺しにしようとしています。カラシュターの中にはこのような策謀を阻止するために冒険者に身をやつします。

カラシュターは強い感情を表に出すとき両目が光る

シフター

シフターは動物としての衝動を体の内に宿した種族です。その起源はヒューマンとライカンスロープとの間の子とも原始の次元界ラマニアによって祝福されたものだというものがありますが、どちらにしてもライカンスロープとは別個の種族として確立されています。
シフターは成長するうちに自分の中に眠る内なる獣と呼ばれる獣性を発見していきます、内なる獣は感情的な強い衝動としてシフターを突き動かします。精神的な衝動はシフターの内に眠る獣の種類によって異なり、猫族の動物であれば狩猟本能を、狼であれば群れを守る使命を果たしたがるようになります。内なる獣の影響は精神だけでなく肉体にも表れ、爪が鋭く伸びたり、牙が生えたりなどの影響が肉体に現れ、それを武器にして戦うこともできます。
シフターは一般的に自然の影響が多くみられる場所でヒューマンに交じって暮らしていることが多いですが、シフター一般に伝わる「未だ訪れぬ旅路に備えよ」という格言通り、大きな変化と機会を見つけ出した時は故郷を離れて冒険の旅へ身を投じるシフターも多いようです。

シフターは己の宿す獣の霊が肉体に変化を及ぼす

チェンジリング

チェンジリングは、青白い肌と髪という特徴的な見た目をしていますが、本来の姿で現れることは稀です。なぜならチェンジリングは一度見た人型種族の姿を模倣した姿に変身することができ、大抵はお気に入りの姿に変身して人前に現れるのです。チェンジリングは仮初の姿に架空の設定を作ることを好みます。この種族特有の変身能力は詐欺師やスパイに適性があるために一般的に不信感を持たれていますが、生まれながらに悪の道へと進むことは望みませんが。その能力を買われて犯罪組織にスカウトされることも多いです。

チェンジリングは姿かたちを自在に変える


エベロンではどの種族もどのクラスにもなることが出来、それぞれの特性を活かして冒険者となる可能性があります。種族ごとの個性と文化の違いは、エベロンの冒険を魅力的にし、キャラメイクに無限の選択肢と背景を提供します。エベロンの広大な世界での冒険を通じて、各種族の魅力と可能性を存分に楽しんでください。

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