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ドラゴンランスCP『暗黒竜の黒き翼』 プレイレポート

大変動という神々の怒りによって打ちのめされ、その破壊から立ち直りかけていた世界に突如として襲ったドラゴンが率いる悪の軍団と戦う冒険者たちにフォーカスしたドラゴンランス世界におけるD&D5e公式キャンペーンシナリオ『暗黒竜の黒き翼』の第1回をDMとして参加させていただきました!

この記事では前半部にセッションの中で起こった出来事、後半部ではシナリオについての感想やセッション中にDMとして思っていた雑感や反省点、シナリオから変更した点も書いていくつもりですので、PLとして参加を予定されている方、ネタバレが嫌な方はご注意ください。

プレイヤーキャラクターの紹介

今回、セッションに参加してもらうプレイヤーキャラクターたちについて紹介していきます。事前に卓に参加するプレイヤーに冒険のフックやシナリオの重要NPCを提示し、全員でキャラクターの作成について話し合っていたので全員がシナリオと世界観に結びついた魅力的なキャラクターとなってくれました。

PC1 クラナ・ウス=ヴィハリン(パラディン/ヒューマン)
キャンペーンの開始地点となるヴォグラー村に住む少女。故郷を戦火によって失い孤児となり、ヴォグラー村に駐屯するソラムニア騎士ベクリンに拾われて、今はベクリンに憧れて騎士となるべく訓練を積んでいる騎士見習いとして経験を積んでいます。パーティーの中で唯一の前衛アタッカーなのでパーティーを勝利に導く騎士となれるか期待です。また、彼女の憧れるソラムニア騎士はストーリーに深く関わっているので、是非キャンペーンで大暴れして欲しいです。

PC2 グレア(影の魔法のソーサラー/ティーフリング)
ドラゴンランス世界における魔法使いたちによる組織、高位魔法の塔に所属する見習い魔術師。実は、クラナの生き別れの双子の妹でもあります。故郷を失った際にグレアは黒ローブの魔術師であるローゼッタに拾われ、暗黒の儀式によってティーフリングのような特徴が発現したという設定で、純粋なティーフリングではありません。(ドラゴンランス世界にはティーフリングがいないため)パーティーの中でも闇が深い設定のキャラクターなので光を背負う姉クラナとの関係性がどうなっていくかが気になる所です。

PC3 ミハイ・ウルマン(ドルイド/ハーフエルフ)
ヒューマンの父とウッドエルフの母を持つハーフエルフの青年。母の故郷であるカゴネスティの森にも父親が属するヒューマンの社会にも馴染むことができずにヴォグラー村の近郊にある森にすみ、時折人里に降りて人々に交わり生活をしているようです。序盤における重要NPCイスピンの友人でもあります。キャンペーンの中で自身に流れるエルフとヒューマン両方の血について折り合いをつけて、自分の居場所を見つけ出せるのでしょうか?

PC4 シア・タン(光の領域クレリック/ヒューマン)
癒しの女神ミシャカルを信仰する少女。神々が人々を見捨てたとされるドラゴンランス世界では冒険の始まり時点では、クレリックは存在せず、人々も神々への信仰が失われているという世界観なのですが、シアはそれでも癒しの力を求めてミシャカルの痕跡を探す信仰の旅を続けています。キャンペーンの中で神々を見出し、信仰の復活を世界にもたらすことがシアのクエストになることでしょう。

PC5 フェリクス(ローグ/ヒューマン)
カラマンを拠点に盗賊として活動する青年。ソラムニア騎士の血を引くものの騎士を嫌悪しています。それは、彼に流れる血が呪われた騎士ローレン・ソスの系譜を引いているからであり、その血を疎むあまり、騎士団に対して敵愾心を抱いているようです。フェリクスはパーティーの中でもドラゴンランス世界における一般的な価値観を体現していて、魔術師を嫌悪していたり、神々が世界を見捨てたものという意識が強く、神々に仕えていると自称している神官を嫌悪しているようです。そのため、パーティーのほぼ全員に対して良い印象を持っていないという尖った設定になっています。彼がキャンペーンを通して、価値観や仲間との関係が変化していくことを最も楽しめるキャラクターだと思うので、DMとして楽しみにしています。

オープニングシーン

暗黒竜の黒き翼ではプレイヤーキャラクターをドラゴンランス世界に結びつけるオープニングシーンが用意されています。ですので、今回のキャンペーンでも、それぞれのプレイヤーキャラクターのためにオープニングシーンを用意しました。

クラナ
クラナは弟弟子のダレット・ハイウォーターと共に、騎士としての師匠でもあり育ての親でもあるベクリンからの言いつけで、ベクリンが集めた古文書の整理をしていました。その古文書の中に二人は興味深い文書を見つけます。それはオニャーリという都市に住むデメリンという魔術師が書いた日記でした。日記の中にはその都市でサーラミルというソラムニア騎士が伝説の武器ドラゴンランスを用いてドラゴンを打ち倒したということ、そのドラゴンランスはヴォグラー村の近くにあるカラマンに持ち帰られたことが書かれていました。その日記を読み終わると、騎士団の会議に出席するために旅に出ていたベクリンがちょうど帰ってきました。クラナは帰ってきたベクリンの顔が失望と失意によって沈んでいることに気づきます。ベクリンはクラナに共通の知人であるイスピンが死んだことを伝えます。そして、クラナにイスピンの葬儀にやってくるであろう、村外からやってくるであろう帰るとすぐに弟子の二人に訓練を付け始めます。クラナは旅装も解かずに訓練を始めたベクリンから焦りを感じ取りますが、それが何故かは分からずに、いつもの日常へと帰っていきました。

グレア
グレアは師匠であり、育ての親のローゼットからの指示によってヴォグラー村の近郊にあるバーブの塔という廃墟へと向かいます。バーブの塔は普段は廃墟ですが、眼の日というドラゴンランス世界の夜空に浮かぶ三つの月が重なり合い、まるで目のようになり、魔法の力が最も高くなる日には、魔法の力が復活し、見習い魔術師が一流の魔法使いとなるための大審問への訓練である予備審問を受けることができます。バーブの塔に訪れたグレアはバーブの塔に現れた黒ローブの女性からの指導のもと予備審問を受けます。予備審問の内容は目に見えない透明の壁によって形作られた迷路の中を進み迷路のゴールにある一冊の魔導書を手に入れるというものでした。迷路を進む中でグレアは幻視を見ます。師匠であるローゼッタから攻撃を受けたり、両親や生き別れの姉から武器を向けられるという内容でした。見事に迷路を抜けたグレアは魔導書を手に入れます。その魔導書はラノックという魔術師の霊が乗り移った呪われた魔導書だったのです。その本からラノックの霊が現れます。グレアはラノックとの問答の末、グレアはその魔導書の所有権を主張して、魔導書の主人となりました。試験を終えたグレアの前に再び試験官が現れ、その正体を現します。その試験官は黒ローブの長ラドンナでした。ラドンナは黒ローブの魔術師たちの信仰する神のヌイタリからの願いとしてグレアに黒ローブの魔術師たちが加わっている陣営と敵対するように命じて、そして一冊の巻物を託してカラマンに住む魔術師ワイアンに届けるように命じます。その後、グレアの元にローゼッタの使い魔であるカラスが文を携えてやって来て、ローゼッタからの指令を伝えます。指令の内容はヴォグラー村に向かい、緑の盾を見つけ出し、その力を確かめよというものでした。グレアはローゼッタからの任務を果たすためにヴォグラー村に向かうのでした。

ミハイ
ある日、ミハイの元に一人の女性が訪ねてきます。その女性はリーダラと名乗り、ミハイの友人であるイスピンが冒険の中で死んだということ、彼の遺骸を彼女が持ち帰ったことを伝える。また、リーダラはミハイにイスピンの葬儀に参加して、イスピンから託された形見を受け取って欲しいと頼んできます。ミハイはイスピンの葬儀に出るためにヴォグラー村へと向かう際に奇妙な一団と出会う。その一団は全員がフードを深くかぶり、頭と手に包帯を巻きつけたという出で立ちをしていました。その集団はミハイに話しかけ、イスピンについて尋ねます。そして、包帯の男はイスピンの死を知ると、イスピンが彼らの寺院から緑の盾を盗み出したのだと言い、緑の盾を見つけのなら渡して欲しいとだけ伝えて去っていた。その奇妙な一団を怪しみつつヴォグラー村へと向かいます。

シア
信仰の旅を続けているシアはある夜、野営をしている時に不思議な夢を見ます。その夢の中では酷い戦の中で魔法の力によって負傷者を癒して回っている人物についての夢でした。目を覚ますとシアは自分の荷物の中に見慣れぬアミュレットを発見します。それはミシャカルの聖印でした。そして、視線をあげると目の前に廃寺院があることに気付く。寺院の中に入ったシアはミシャカルと交信します。その交信を通じてミシャカルからシアは力を授かり、クレリックとして覚醒します。そして、ミシャカルはその力を使う場所はヴォグラー村に見出すことができると啓示を与えて、シアをヴォグラー村への旅へと導き、シアもそれに答えてヴォグラー村に向かいました。

フェリクス
カラマンに住むフェリクスはある夜、夢の中で、ソラムニア騎士団の守護する三神の中の一柱であるキリ=ジョリスと交信します。キリ=ジョリスはフェリクスに、カラマンが炎に包まれるものと黒いソラムニア騎士の鎧を身に着けた死の騎士によって4人の冒険者が戦い殺されていくという映像を見せる。キリ=ジョリスはこれがフェリクスが戦いに加わらなければ起こることだと告げる。フェリクスはその言葉を受けて、戦いに向かうことを決意する。翌朝フェリクスが目を覚ますと、寝室の壁にカラマン周辺の地図が刻まれており、ヴォグラー村を指し示されていました。フェリクスはそれがキリ=ジョリスからの導きだと考え、ヴォグラー村へと向かいました。

セッションの中で起こったこと

今回のセッションではオープニングシーンとキャラクター紹介で時間を使った分、冒険の進みは少なかったのですが、内容は以下のようになります。

ヴォグラー村にそれぞれの目的でやって来たグレア、ミハイ、シア、フェリクスはちょうど同じタイミングで村にやって来て、村の入口で鉢合わせることになりました。そして、村の入口でヴォグラー村への客人を迎えていたクラナは四人をヴォグラー村を案内して、村の各施設を紹介します。
それぞれの冒険者たちはクラナからの案内でイスピンの葬儀に参加する流れになり、葬儀場になっている宿屋へと向かいます。宿屋には村中の人々や村外からやって来た客人などもいて大変込み合っていました。その場に居合わせているキャラクターやNPCたちの自己紹介を行おうとしているところで次回へという感じです。

セッションの雑感

今回のセッションでは主にオープニングシーンに焦点をあてて準備していたかいがあり、オープニングシーンやセッションを通して伏線や今後の展開の暗示など今後の下準備的な側面が強かったのですが、プレイヤーの皆さんは楽しんでいただけたようで胸をなでおろしていました。次回からはセッションが本格的に始まり、五人の運命が交わるので、それを様々なイベントを通して絆を深める機会を提供できると良いなぁ。

これ以降の文章はシナリオの今後の展開に関わる情報があるので、暗黒竜の黒き翼を踏破した方、DMをされる方以外は読まないことを推奨します。




シナリオの感想

上の方で触れている通り、暗黒竜の黒き翼ではキャラクターが世界に自然に入り込むことができるように三つの導入が用意されていて、それを使うことによってキャラクター像を確立しやすくなっているのが好印象です。また、今回のセッションでは戦闘は無かったのですが、シナリオのオリジナルモンスタ-も多彩な能力を持っているので、戦闘が楽しいものになると思います。ただ、導入部分に難点を抱えていると思うので、個人的にそれを自分なりにカバーした点について紹介していきます。

シナリオの改善案

フックを複数用意する

暗黒竜の黒き翼では冒険の始まりの地であるヴォグラー村へ向かうためのフックとして、パーティー全員の友人であるイスピンの葬儀に訪れることになるのですが、正直、フックとして弱いですし、キャラクターの色付けにも余り機能していない印象があります。ですので、私はプレイヤーに提示するフックとして、神々からの啓示や騎士見習いとしてベクリンの従者となる、魔法使いの見習いとして師匠からヴォグラー村に向かうように命令を受けるなどのフックを提示しました。これは概ね機能して、キャラクターに複数の動機を与えることができたと思っています。

イスピンの死の変更

イスピンの葬儀は暗黒竜の黒き翼の序盤では中々に大きなイベントで、周辺のイベントも含めて結構な分量が用意されているのですが、肝心のイスピンは自然死で、その後のイベントに全く関わってこないし、彼が所持している緑の盾ももったいぶって渡される割には、物語がなく味がしないです。
ですので、かなり大きな変更を加えることにしました。

イスピンは自然死ではない

ミハイさんの導入で分かる通り、イスピンは自然死ではなく冒険の旅の中で死んでいます。彼は最後の冒険としてこの地を去った神々の痕跡を探す旅に出て、遂にそれを見つけ出します。しかし、それは災いを呼ぶことになります。彼は各地に侵略を始めたドラゴン軍が占拠した寺院の中で、その痕跡を見つけたのです。彼は自然を司るハバクク、チスレヴ、ゼボイムの三神の力の一部をドラゴン軍が封じ込め、利用していることを見出しました。彼はその力を搔っ攫い、自身の持つ緑の盾に込めて、逃げ出しました。その逃亡の中でドラゴン軍に協力するソス卿に襲われて命を奪われました。しかし、彼の遺骸と緑の盾はリーダラによって持ち去らわれ、冒険者たちに渡ることになります。

緑の盾は重要なアイテムに

前述のとおり緑の盾は重要なアイテムに変わっています。その盾は自然の神々の力が込められており、ドラゴン軍によって狙われることになります。このアイテムに込められた力を神々に還すことは重要なイベントとなり、ドルイドやレンジャーといった自然に深く関わっているキャラクターにとって重要なサブクエストとなると思います。幸いなことにシナリオではハバククの寺院が出てくるので、そこやカラマンで廃れた寺院をだして神々と交信する機会を与え、その恩恵として強力な祝福や恵みが与えられるというようにすれば面白くなるのではないかと思っています。

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