エア・インディアの機内食をコンセプトにしたインド・レストランがあれば、楽しそう♪
調理技術が普通ならば、たのしい店のコンセプトが必要でしょ、という話。
ぼくは西葛西在住で、料理人を含むインド人の友達も多い。したがって、街に新しいインド系レストランができると、その週と翌週の話題は「食べた? どうだった?」が挨拶になる。なお、世間には西葛西という土地柄ゆえ、さぞやレヴェルの高いインドレストランが多いだろうという幻想があるけれど。しかし、実際にはぼくの審美眼においては、レヴェルの高いレストランが2軒。(パンジャビ系&ケーララ系)。準じてそこそこおいしい店が2軒(ムンバイ系とタミル系)である。ただし、西葛西にはスパイス&インド食材屋も多く、それなりに楽しめる街ではある。
そんなわけでぼくは、本日開店、駅近2階日当たり良好、赤を基調にしたソファのボックス席中心に35席の新店のランチブッフェ1000円を食べに行ってみた。正午過ぎにお客はぼくを含めて6人。スタッフに出身地を訊ねると、コルカタだそうな。なお、店名から察するに、西葛西の周縁部に激狭店舗を出してバスマティ、スパイス、食材などを格安で売ったり、ビリヤニだのケバブだの小商いを続けてきたジプシーみたいな人たちである。
キャベツとキューリとトマトのサラダ。
オレンジ色も華やかなチキンビリヤニ。
純白のプラオ。カシューナッツ、シナモン、ブラックカルダモン入り。
ダイスカットされたタンドリーチキン。(スパイスの味わいが深く、おいしい)
アルバジ(じゃがいもフライ)。
じゃがいも煮込みトマトソース。
チキンカレー。(可もなく不可もない。)
パロタ。
イディリ。(ほんらい、かるかん饅頭あんこ抜きみたいな空気を孕んだ軽さが欲しいものの、しかしカマボコみたいな仕上がりだ。)
ミニドーサ。(薄く綺麗に焼き上げられて上手)
グラブジャムン。
飲み物1品。ぼくはコールドチャイを選んだ。
ぼくの感想は、エア・インディアの機内食みたい。可もなく不可もない。しかも、平日ランチに至ってはどこの店でもふるまっている料理構成でぼくにとってもインド人にとっても魅力はまったくありません。そもそも家賃は35万円以上いきそうなのに、儲けたくとも儲けられうる仕組みがどこにもない。開店そうそう経営に苦労するでしょう。(しかも、一週間後かれらはこの週末ランチ・ブッフェの価格を1250円に上げた。)せっかく貯めた小資本で出店したにもかかわらず、気の毒にもおそらくお店は1年持たないでしょう。
西葛西のインドレストランにはどくとくの難しさがある。それは日本人客とインド人客の両方をよろこばせなくては経営できないこと。なお、日本人客のなかにもインド人さながらのマニアもいるとはいえ、しかし、西葛西とて多数派の日本人はビッグナンとバターチキンカレーにしか興味がない。これだけ違った味覚を持つ2種の客をともに満足させることはけっしてかんたんではありません。とはいえ、たとえ料理が並だろうと、商売繁盛する店だってある。
もしも開店まえにぼくがアドヴァイスを求められていたならば、飛行機のイラストをあしらって店名にflight meal Indiaを提案したでしょう。開店準備段階でエア・インディアのメニューを徹底的に研究して、メニューを組み立てる。フロア・サーヴィスはネパール女子かバングラ女子で、彼女たちに客室乗務員ファッションを着せる。「アテンション、プリーズ。あなたを魅惑のスパイシーランドにご案内します♡」なんて言ってくれたらさらにいい。なお、店内はボックス席ではなく、アイスクリームパーラーみたいにしましょう。どう? 楽しそうでしょ? このコンセプトならば秋葉原でも原宿神宮前でも渋谷の裏手でもいけますよ。月の売り上げ400万円越えも夢じゃない。インド人経営者も、このくらいのことを考えればいいのにね。
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