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数学で何を学ぶか

SNS上で

「三角関数不要論」

がうろうろしているらしいが、この問題に対して一つの答えは、ちくま学芸文庫「数学序説:吉田・赤著」を読むことだろう。

この本の原型は、半世紀以上前に立教大学の、文系の教養課程で行われた講義であるが、現在でも

最新技術理解のための数学的基礎力

を身に付けるには、最良の本の一つだと思う。それどころか

論理的な思考

の基礎付けにも役立つ。

実は、私は工学部出身だが、この本の数学の基礎がなかったため、とんでもない回り道をしてしまった。例えば「誤り訂正符号」を理解するためには、「群」の概念を使うと見通しがよくなる。しかし本当に「群」について理解するためには、この本の「代数学の脱皮」の部分を、理解する必要があった。

この本の根底には、論理的な思考法を身に付ける、と言う狙いがあると思う。

第1章「幾何学的精神」では、パスカルの「説得術」から

定義・公理・推論

曖昧を除去

して行う大切さを示し、その一例として、エウクレイデスの幾何学から説明している。しかしながら、現在の数学の立場では、エウクレイデスの幾何学ですら、厳密性に欠けている。そこで最後に「ヒルベルトの公理主義」など、現在数学の成果を用いて、数学の基礎付けが理解できるようにしている。これが判れば

本当に論理的な議論

をもっと早く身に付けることができたと思う。

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